バイクブームと呼ばれて久しいが、今年もセールスは好調だ。二輪車新聞によると、GB350とZ900RSはナント2022年の上半期だけで、前年の販売台数を突破するという人気ぶり。バイク全体のセールスも前年同期比を上回っている。
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※注記のない場合、販売台数は『二輪車新聞』(https://www.nirin.co.jp/)による推定値
文/沼尾宏明
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レブル250の人気継続中、前年から2倍以上の伸び!
日本自動車工業会二輪車委員会によると、現在は「第12世代バイクブーム」という。確かに人気車が手に入りにくくなり、中古車の相場価格も上昇している。実際、バイクのセールスは伸びており、販売台数は6年連続で増加中。2021年の年間販売台数は41万5892台で、6年ぶりに40万台の大台を突破した(自工会調べ)。
この流れは2022年も続き、さらに勢いを増すことになりそうだ。今年上半期は原付二種の販売が落ち込んだたため、全体で微増に留まったが、他のクラスでは大幅に増加。特に人気車種が一段とセールスを伸ばしているのが特徴だ。
まず目立ったのは軽二輪(126~250cc)のレブル250(ホンダ)。126cc以上で最多となる8050台を上半期だけで販売した。これは前年同期の3712台から2倍以上、販売2位のPCXに対して約4倍の圧倒的な数字で、昨年7月からずっと月間販売トップを維持している。
レブル250はシンプルながら飽きのこないフォルムを持ち、シート高690mmによる足着き性と車重170kgの軽さが好評。2017年に登場し、2020年のマイナーチェンジでLED4灯ヘッドライトなどを獲得した。
昨年は通年でベストセラーの1万2048台を記録。今年はこれを上回りそうな情勢だが、7月に受注が終了している。排ガス規制に対応した新型が12月22日に発売予定で、自身の記録を追い越せるかに注目だ。
同クラスの2番手であるPCX160(ホンダ)は2176台(1070台減)。3番手のNinja ZX-25R(カワサキ)は2045台(318台減)だった。
なお軽二輪の販売台数は、前年同期比で1046台増(2.8%増)の3万8608台となり、2019年から4年連続で上半期を前年同期比プラスで折り返した。この販売台数の2割をレブル250だけで占めるのだから、いかに驚異的かわかる。
レブル、PCX160の人気もあり、シェアはホンダが4年連続首位で46.1%と圧倒的。前年同期比16.5%増の1万7785台を販売した。次点のスズキは8.8%増の6952台でシェア18.0%。ヤマハはシェア16.7%(6444台 29.5%減)、カワサキはシェア11.9%(4587台 前年同期比15.0%増)だった。輸入車その他は前年同期比2.6%増の2840台でシェア7.3%となる。
GB350は好調を維持、251cc以上で初のトップを奪取
レブルには譲るものの、同じく大人気なのがGB350(ホンダ)だ。GBは2021年4月に登場し、昨年は4023台を販売。今年は前期で5826台を売り上げ、上半期だけで早くも昨年の販売台数を上回っている。
GB350は251~400ccクラスで上半期初の首位。さらに小型二輪(251cc~)においても初めて販売トップに立った。
新設計のロングストローク空冷シングルを搭載したGB350は、いかにもバイクらしいオーソドックスなスタイルと味のある走りが魅力。55万円と価格も手頃で、購入層の年齢も幅広い。
251~400ccクラスの販売2位はNinja400(カワサキ)で、907台増の2164台。前年に年間首位だったSR400(ヤマハ)は既に生産が終了しており、1457台(1471台減)と大幅に減少している。同じくロングセラーで、2022年10月末に生産終了となったCB400SF/SBはクラス4位。前年から133台増の1319台だった。
Z900RSは驚異の3.4倍増! なぜここまで売れたのか?
そして401cc以上の大型バイクでは、Z900RS/カフェが5年連続でトップを達成した。小型二輪(251cc~)クラスで見てもGB350に続く2位を獲得している。前年同期比3884台増の5510台を販売しており、前年から3.4倍もの驚異的な増産とセールスを実現。こちらも上半期だけで2021年の年間販売台数4853台を超えてしまった。
Z900RSがデビューしたのは2017年末。2020年まで小型二輪(251cc~)クラス全体を通しても3連覇を達成していた。2021年はファイナルを迎えたSR400が上回り、2022年はGB350/Sに惜敗したものの、発売以来401cc以上でダントツに売れ続けている。
それにしても昨年は入手困難でユーザーから悲鳴が挙がったZ900RSだったが、なぜ今年はここまで増産できたのか。
情報筋によると「2022年はスタンダードモデルに加え、50周年記念モデル、イエローボールのSEが登場したことが生産台数増加の要因」で、部品供給の遅延など生産体制が回復したわけではないという。それでもオーダーが殺到しており、需要をまだ満たしていないのが現状だ。
今年上半期は、恐らく他モデルの生産をストップしてZ900RSにリソースを割いたと思われ、下半期は上期ほどの量産は難しいと見られる。とはいえ、令和2年排出ガス規制に適合した2023年モデルが9月10日から発売開始。2022年は登場5年目ながら、過去最高の販売台数を記録するのは必至だろう。
人気の理由は、やはり往年のZ1を現代的に解釈したフォルム。王道でありながら装備は最新で、独特な存在感を放つ。走りの面においても旧車らしい吸気音などの味わいをしっかり再現しつつ、スポーティさを兼ね備えるのがポイントだ。
大型クラスでZ900RSに続いたのは、ハーレーのクルーザー系(従来のソフテイル)。3番手に同じくハーレーの新作、スポーツスターSだった。
上半期での5万台超えは23年ぶり、やはりバイクは売れている
小型二輪(251cc~)全体では、前年同期比+32.1%(+1万2410台)の大幅増で、5万1035台を販売。2年連続の前半プラスで折り返し、上半期での5万台超えは1999年の5万845台以来、実に23年ぶりの快挙となった。
メーカー別では、ホンダが前年同期比54.2%増の1万5142台を記録し、トップシェアの29.7%(4.3%増)。カワサキはZ900RSの躍進もあり、69.4%増の1万2792台で、ホンダに迫るシェア25.1%(5.6%増)を獲得している。なお、カワサキが小型二輪で前半1万台を突破するのも23年ぶり。ホンダと並んで、上半期5万台超えの立役者となった。
ヤマハは前年同期比6.8%減の5513台でシェア10.8%。前年にSRの販売が急激に伸び、今年はほぼ姿を消した影響が大きいようだ。スズキは19.4%増の3946台でシェアは7.7%となった。
125ccはハンターカブが絶好調、50ccも人気が回復傾向
原付二種(51~125cc)は、26.5%減(1万7975台減)の4万9797台と大きく落ち込んだ。これは、新型PCXなどが登場してセールスが伸長した昨年の反動や、生産の遅延などが要因と見られる。
一方で原付一種(~50cc)が9%増の6万6155台となり、2年連続となるプラスでの折り返し。また排気量別では、原付二種を抜いて2年ぶりにトップシェアへ返り咲いた。
原付一種と二種は全国的な販売データがないため、出荷台数から算出した二輪車新聞の推計値となるが、原付二種クラスの上半期販売首位はCT125ハンターカブで9200台。ホンダによると年間1万5000台規模で売れ続けているが、今年は上期だけで9200台(前年同期4700台)を記録した。
以下、PCX125=7600台、アドレス110=5000台、シグナス=4700台、リード125=3900台、ディオ110=3000台、スーパーカブ110/プロ=2900台、アクシスZ=2800台、クロスカブ110=2200台が続いた。
原付一種ではヤマハのジョグシリーズが1万6600台で販売トップ。ライバルより抑えた17万500円のプライスやスマートなルックスが特徴だ。これにタクト=1万2600台、ビーノ=8300台、レッツシリーズ=6150台、ジョルノ=5500台、ギアシリーズ=4900台が続く。
トータルの販売台数は微増、カワサキが38%もの増加を果たした
二輪車全体では、上半期で20万5595台を販売。前年同期比919台増=0.4%増に留まっている。
これは、原付二種の落ち込みが理由。前述の通り軽二輪、小型二輪とも増加しており、特に小型二輪は大幅なプラスとなっている。
メーカー別ではホンダが92271台(前年同期比3.3%減)、ヤマハ48453台(5.3%減)、スズキ27244台(2.6%増)、カワサキ16749台(38%増)。全体のシェアは、ホンダが50%(前年同期51.5%)、ヤマハ26.2%(27.6%)、スズキ14.7%(14.3)、カワサキ9.1%(6.8%)。カワサキがシェアを伸ばしている。
上半期の情勢を見ると、2022年は通年での前年超えが確実と見られる。それでも予約が殺到し買えない車種が多いのが現状だ。ある意味、手に入りにくい状況がバイクブームを作り出している側面があると思われ、このブームがどこまで続くか正直、不透明である。しかし、バイクファンとしてはもちろん新車の供給体制が好転することを願うばかり。そして11月のショーで魅力的なニューモデルが登場することを期待したい。
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投稿 Z900RSが脅威の3.4倍増! 大人気車続出! 「バイク大盛況」の2022年上期を振り返る は 自動車情報誌「ベストカー」 に最初に表示されました。