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Image:TadaImages/Shutterstock.com

イーロン・マスク氏とTwitterの間の買収契約問題は、先日にマスク氏が突然の心変わりを見せ、当初の契約どおり1株あたり54.2ドルでの買収を再び申し出た。これでこの件も一気に決着に向かうかと思われたが、そうもいかないようだ。

マスク氏の申し出には、マスク氏が買収のための融資を受けることができ、10月17日に開始される裁判の延期が条件として提示されていた。そしてNew York Timesが報じたところでは、Twitter側は取引成立して同社の株主に報酬が支払われるまで、裁判を中止させたくないと考えているとのことだ。

Bloombergは火曜日に、マスク氏が買収の申し出の裏で自身がTwitterに対して「スパムやフェイクアカウントの数についてTwitter幹部がマスク氏や他の投資家を欺いた」と主張して起こしたTwitterへの反訴については、これを起こす権利を留保しようとしていると報じた

そして、木曜日にマスク氏側がデラウエア州衝平法裁判所に提出した新たな書類では、マスク氏は買収完了に必要な資金調達のため、10月17日に開始を予定している裁判を10月28日まで延期するよう要請している。ただし、その申請書類には「Twitter側はイエスとは答えないだろう」と記され、「驚くべきことに、彼らはこの裁判を進めることを望み、取り引き成立を危機にさらして株主の利益を損ねている」との意見も示されているという。

マスク氏側が提出した書類に対して、Twitterの弁護士は木曜日に「マスク氏およびその弁護団は不誠実だ」とコメント。裁判があと少しの時点になって突然そのようなことを言い出したと述べ、「結局、彼らは買収のための支払いから逃れるつもりだ」として訴訟の延期に難色を示した。またBBCは、マスク氏の買収資金調達を支援する銀行は今週、買収を進める計画について、マスク氏から何の連絡も受け取っていないと証言したと伝えている

裁判所のKathaleen McCormick判事は、マスク氏の申し出を受け、裁判の開始を予定されていた10月17日から10月28日まで保留することを決めた。しかしマスク氏が28日午後5時までに買収の取引が終了できなければ、11月になるであろう新たな裁判日程を決定する手続きに入るとしている。

なおArs Technicaは、マスク氏が資金調達に失敗した場合、裁判所がマスク氏の努力不十分として、Twitterの要求に沿った決定を下す可能性があると指摘。McCormick判事は2021年にも今回と似たケースで、被告側のKohlberg & Companyが買収のための債務融資を取得するために合理的な最大限の努力を怠ったとして、買収契約を完了させる命令を下している