もっと詳しく
知らんかったーじゃすまされない!! びっくり仰天の違反行為

 道路交通法をはじめとした自動車に関わる法律には数えきれないほどの規則が記載されていて、最新の情勢に合わせて定期的な改正が実施されている。そんなこともあり、「えっ!! こんなことも違反なの!? 聞いてないよー」という法律もいっぱい。なかには、常習的に行っている行為が違反だったりすることもある。

 取り締まりを受けてからでは後の祭り!! 意外なものも間違いなくあるはずなので、ぜひチェックしてみてほしい。

文/室井 圭、写真/写真AC、イラストAC

【画像ギャラリー】やりがち…だけど意外と重罪の違反行為(13枚)画像ギャラリー


高速道路でのガス欠は違反行為!?

知らんかったーじゃすまされない!! びっくり仰天の違反行為
ギリギリまでガソリンを入れないという人は多いが、もしガス欠になったら、道交法違反で反則金どころか違反点数まで科せられてしまう

 ガソリンのギリ走行は常習者は多い。しかし、高速道路でガス欠すると道路交通法違反として反則金と違反点数が科されてしまう。

 具体的には、道路交通法第75条の10(自動車の運転者の遵守事項)において、ドライバーには高速道路などを走行する時には事前に車両を点検することが義務づけられているのだ。つまり、高速道路上でガス欠になった場合は車両点検を怠ったと見なされ、違反点数2点と9000円(普通車)の反則金が科されるということだ。

 にもかかわらず、2021年度JAFロードサービス出動理由の高速道路での出動理由の2位が燃料切れ……。反則金どころか違反点数まで科されるなんて知らない人が多いことはまちがいない。ガス欠になったらJAFを呼べばいいなんて思っているのかもしれないが、実は、けっこうイタい違反行為なのだ。

 気になるのはEV車だ。既出のJAFのよくあるロードサービス出動理由を見ると、過放電バッテリーは4位とかなり多くなっている。ただし、EV車の電欠に関しての記載は現行の道交法ではない。

 こうしたことから、現状では電欠は取り締まりの対象にならない可能性がある。ただし、電欠だってガス欠と同じはず。おそらく、今後はEV車も追記されることも予想される。

泥はね・水はね運転は立件は難しいものの……

 歩行者に泥や水をはねたりした場合、「泥はね運転違反」でと取り締まられることがある。道路交通法第71条の1には、「ぬかるみ又は水たまりを通行するときは、泥よけ器を付け、又は徐行する等して、泥土、汚水等を飛散させて他人に迷惑を及ぼすことがないようにすること」と明記されているのだ。この違反は反則金は普通車6000円だが、違反点数は科されない。

 ただし、ドライバー自身が水はね・泥はねの行為に気づかないままその場を立ち去ってしまい、相手を特定することが困難なケースがほとんどであるうえ、歩行者はドライブレコーダーのようなものを持っているわけではないため立件することはかなり困難。

 ということで、たとえ歩行者がナンバーなどを覚えていてナンバーが特定されて後で呼び出しがきたとしても実際に反則金を科される可能性は低いと考えられる。

 だからといって、歩行者なんかおかまいなしに走ってOKというわけではない。万一、泥に石が混じっていて歩行者がケガをさせるといった事態の発生も考えられるからだ。歩行者が近くにいる時は雨の日にかかわらず徐行するというマナーは守って走ることを心がけよう。

窓の閉め忘れやキーの挿しっぱなし&エンジンのかけっぱなしでクルマを離れる

知らんかったーじゃすまされない!! びっくり仰天の違反行為
エンジンかけっぱなしでドライバーはいない……。コンビニの駐車場ではよく見かける光景だ。しかし、これもれっきとした違反行為。ドライバーは自分のクルマを管理する義務があるのだ

 道路交通法第71条第5号の2では、「自動車又は原動機付自転車を離れるときは、その車両の装置に応じ、その車両が他人に無断で運転されることがないようにするため必要な措置を講ずること」と規定されている。

 クルマの所有者は、他人が所有しているクルマを勝手に運転しないように、クルマから離れる時には窓を閉めたり施錠をしてするなどの防犯対策をする義務があるということだ。この場合、普通車で6000円の反則金が科される。

 エンジンをかけっぱなしにしてコンビニなどに買い物に行く人をよく見かけるが、これも「車両等を離れるときは、その原動機を止め、完全にブレーキをかける等当該車両等が停止の状態を保つため必要な措置を講ずること」という第71条第5号の違反。停止措置義務違反をとられた場合、違反点数1点、反則金は普通車の場合6000円が科される。

 盗難の被害に遭って、窓の閉め忘れ、キーの刺しっぱなし、エンジンのかけっぱなしが判明したら、被害者であるにもかかわらず反則金、違反点数が科されるという泣きっ面に蜂状態になることもあり得るのだ。

自動車損害賠償責任保険証明書&車検証の不携帯

 自動車損害賠償責任保険証明書&車検証はセットでグローブボックスに入れっぱなしにしているという人がほとんどだろうが、掃除をした時などに戻し忘れることも……。そんな時に事故を起こして自動車損害賠償責任保険証明書&車検証の不携帯が判明した場合も罰金が科されてしまう。

 自動車損害賠償責任保険証明書不携帯は道交法違反ではないため反則金は科せられないが、自動車損害賠償法違反として30万円以下の罰金が科される。

 車検証不携帯の場合は、道路運送車両法違反となり50万円以下の罰金が科される。

 軽く見てしまいがちだが、実は、これらの違反は反則金ではなく罰則金。罰金刑がつくと前科がつく可能性があるので注意してほしい。

鳴らすより鳴らさないほうが重罪!?

知らんかったーじゃすまされない!! びっくり仰天の違反行為
鳴らしすぎより鳴らさないほうが罰則が厳しいのは意外という人も多いはず。とにかくクラクションは適材適所で使用することが求められているということだ

 クラクションの乱用は知られているところだが、「鳴らすべきところで鳴らさない」ことも取り締まりの対象となる。

 実は、こちらの違反のほうが罰則は重くなる。警音器を使用してはならない場所で使用した場合には警音器使用制限違反となり、反則金は普通車で3000円、違反点数なしであるのに対し、鳴らすべきところで鳴らさなかった場合は警音器吹鳴義務違反となり、反則金は6000円、違反点数1点が科されてしまうのだ。

 鳴らすべきところとは、「警笛鳴らせ」の道路標識がある場所。この標識のある道では、危険がないからOKなどと自己判断するのはNGで、危険の有無にかかわらずクラクションを鳴らさなくてはならないのだ。

ヘッドレストは休息ではなく安全のためのもの

知らんかったーじゃすまされない!! びっくり仰天の違反行為
体型は人それぞれなので、しっくりこないという人が多いのは理解できるが、ヘッドレストは快適装備ではなく、安全装備。そのため、カスタマイズはNGなのだ

 ヘッドレストの形状や位置がなんとなくしっくりこない時、外してしまいたい衝動に駆られるが、これはれっきとした法律違反。ヘッドレストを外したり、自分に合ったものに換えたりして走行することは道路交通法の「道路運送車両の保安基準第22条第4号」の違反に該当するのだ。ただし、これは道交法違反とは異なり、罰則はなく厳重注意となることが多い。

 ヘッドレストは、道路運送車両の保安基準 第22条の4「頭部後傾抑止装置等」に基づき、万が一事故にあった場合の頭部や首を守るために運転席と助手席に装着しなくてはならないと定められているのだ。実際、ヘッドレストは事故による死亡や重症化の確率を下げることが実験でも明らかになっている。

 最近、後席の子どもにアニメやDVDを見せたりできることからモニター埋込み式のヘッドレストに変更するといったカスタマイズを行う人が増えているようだが、ヘッドレストモニター付きのヘッドレストは車検に通らないので注意しよう。

 ステーやアームを取り付けてヘッドレストの後ろや横に取りつけるタイプのモニターの場合も場合によってはNGになる可能性がある。つまり、ヘッドレストというのはそれほど重要な装備ということだ。

 どうしてもモニターを付けたい場合は天井に取り付けるタイプのフリップダウンモニターを。このタイプであれば、メーカーのオプションとしても販売されている。

 ちなみに、サンバイザーモニターも車検は通らない。

【画像ギャラリー】やりがち…だけど意外と重罪の違反行為(13枚)画像ギャラリー

投稿 知らんかったーじゃすまされない!! びっくり仰天の違反行為自動車情報誌「ベストカー」 に最初に表示されました。