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 乗りバスでグルメまで楽しんでしまおうというこのシリーズ、今回は京成タウンバスの「新小51」系統だ。総武線の新小岩駅と常磐線の綾瀬駅を南北に結ぶ路線である。今回レポートするグルメは綾瀬駅なので、新小岩駅からバスに乗車した。そのあたりの事情からスタートする。

文/写真:古川智規(バスマガジン編集部)


南北交通に弱い城東地区

 新小51系統は京成タウンバスが運行する。城東地区は京成バスの路線も多くあるが、東京都内であればICカードに発行する1日乗車券で京成タウンバスでも使用可能だ。

 新小岩駅がある葛飾区、その新小岩駅が区役所最寄り駅である江戸川区、そして足立区や江東区は東西の鉄道路線は比較的充実しているが南北の鉄道はない。

 正確には線路はあるが旅客輸送をしていない貨物線であったり、人口密集地を通らない路線であったりと、何かと南北の交通について話題になる地区だ。

新小岩駅1番のりばから発車する

 よって南北の交通はもっぱらバスに頼ることになる。今回乗車した新小51系統もそんな南北の鉄道駅を結ぶ路線で便数も乗客もかなり多い。新小岩駅から綾瀬駅までの乗車時間は30分強だが、途中の鉄道連絡は京成本線の堀切菖蒲園駅のみで、他はほぼ住宅地を走るので全線を通して乗客は多い。

 新小岩駅でも綾瀬駅でも時間を問わず乗車待ちの列ができる。場合によっては始発地でも座れないことがある。新小岩駅南口を発車したバスはすぐに総武線のガードをくぐり北西に向かって平和橋通りを走る。

人口密集地を走る

 中川を渡る橋は通り名にもなっている「平和橋」で、以前に記事にした平和橋自動車教習所やモンチッチ公園はこのあたりだ。

京成押上線の踏切で渋滞が発生すると遅延する

 その後に京成押上線の踏切を渡る。ここが本路線最大のネックで、時間帯によっては踏切渋滞が長くなることがある。そして平和橋通りを左に折れる。これは京成本線の堀切菖蒲園駅に寄るためだと思われる。最後にホッとするような、のどかな雰囲気の白鷺公園の脇を通り終点の綾瀬駅に到着する。

狭いターミナルに巧みに入線!

 綾瀬駅では常磐線のガード下に作られた非常に狭いターミナルに付ける。一度ガードをくぐり、転回して戻ったところが発着ホームだ。乗車待ちの列が長く伸びている場合は、バスは曲がりにくいので細心の注意を払い入線する。

新小51系統の路線系統図

 到着便は降車扱い後に、すぐに折り返し新小岩駅行きとして乗車扱いを行い発車する。ちなみに綾瀬駅に入るギリギリまでは葛飾区で、常磐線のガードをくぐった段階で完全に足立区になる。

テイクアウト専門のコッペパン

 綾瀬は常磐線と千代田線が乗り入れるので都心部に直通できる便利な立地だ。駅を中心に常磐線に沿って商業地が広がる。特にガード下はバスターミナル部分を除き、ほぼ商業施設で埋まっているので非常に便利だといえる。

焼きたてコッペ製パンを食べるためにバスに乗った

 ここに人気のコッペパン専門店がある。記者の年代だと給食でおなじみのパンで懐かしさと、給食用のお世辞にも美味しかったとは言えない思い出がある。若い方には最近のほんのり甘くて美味しいコッペパンは比較的ポピュラーな新しいパンなのかもしれない。

おかず系とデザート系とおやつ系

 店名は「焼きたてコッペ製パン」だ。製パンという名の通り、作りパン屋だ。店内で粉からパンを焼き、中におかず系の惣菜やフルーツやクリーム等のデザートを詰めて販売している。

 同店はなんとあの「丸亀製麺」が運営している。うどんと同様に粉と店内調理にこだわりコッペパンを提供している。しかも綾瀬にしかないので、取材日現在はここ1店だけだ。

焼肉コッペはボリュームも満足感も高い

 朝7時から開店しているため、近隣に早朝営業している飲食店が少ないことからおそらく夜勤明けだと思われる駅員や警察官や消防士が予約注文して買いに来ることもあるとか。そんな朝食需要はもちろん、日中はやはり女性客が多く夕方からは晩ごはん需要が多くなる傾向にあるそうだ。

 いろいろと食べてみたが、懐かしい「きなこ」たっぷりの揚げコッペや、がっつり食べることができる焼肉、女子に大人気のフルーツホイップあたりが定番で、どれも食べ応えがあり満足できるコッペパンだ。

近くの公園でまったりとコッペパン!

 やはり、おかず系が人気の中心だが、女性にはケーキの感覚で食べることができる「いちごショート」も大人気。駅近くの公園ではベビーカーで赤ちゃんをあやしながら一休みするママや、OLさんが昼休みを過ごしていた。

「いちご」もいいけど惣菜系も美味しそう!

 ちなみに店頭には表立ってメニュー表示はしていないが、言えばデリバリー用に販売しているパンを食べるために作られたパン好きの牛乳やカフェオレ、ミルクティーも売ってくれるので、飲み物が欲しい場合は一声かけてみるといいだろう。

綾瀬駅も1番のりばから発車する

 ラッシュ時は非常に混雑する綾瀬駅だが、日中はのどかな時間が流れる公園もあり、時間があれば数十種類もあるコッペパンを買いに行くためだけにバスや鉄道で行く価値はありそうだ。ただし新小51系統は常時混雑しているので、お戻りのバスは早めに並ぶことをお勧めする。

投稿 京成タウンバス「新小51系統」はメディアでもよく露出しているあのコッペパン店がゴール!?自動車情報誌「ベストカー」 に最初に表示されました。