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CX-60 ハリアー RAV4 ヴェゼル… 人気だけど最廉価グレードならギリ300万円以下のSUVたち 8選

 最廉価グレードならば300万円以下となる人気SUV8台(+ランクルプラド)をピックアップ。“グレード研究の鬼”こと自動車評論家 渡辺陽一郎氏が車種ごとにその長所、短所を明らかにして、「最廉価グレードに向いてる人」「向いていない人」を指南!

●ラインナップ
・マツダ CX-60(最廉価グレード:25S Sパッケージ 299万2000円)
・トヨタ ハリアー(最廉価グレード:S 299万円)
・トヨタ RAV4(最廉価グレード(4WD):X 4WD 300万5000円)
・トヨタ カローラクロス(最廉価グレード:G“X” 199万9000円)
・ホンダ ヴェゼル(最廉価グレード:G 227万9200円)
・マツダ CX-5(最廉価グレード:20Sスマートエディション 267万8500円)
・スバル フォレスター(最廉価グレード:ツーリング 293万7000円)
・マツダ CX-8(最廉価グレード:25S 299万4200円)
・トヨタ ランドクルーザープラド(最廉価グレード:TX 367万6000円)※「300万円以下」ではないがラインナップ

※本稿は2022年9月のものです
監修/渡辺陽一郎、文/ベストカー編集部、写真/ベストカー編集部 ほか
初出:『ベストカー』2022年10月26日号
※写真は当該グレードと異なる場合があります。

【画像ギャラリー】300万円なら手が届く…かも!? 8台の人気SUVと最廉価グレードの価格をギャラリーでチェック!(16枚)画像ギャラリー


■マツダ CX-60(最廉価グレード:25S Sパッケージ 299万2000円)

マツダ CX-60。お得なセットオプション利用で、最廉価グレードでも充分楽しめる(!?)

「25S Sパッケージ」は、CX-60のなかで価格が唯一300万円を下回るグレードだ。

 エンジンは直列4気筒2.5Lガソリンで、駆動方式は後輪駆動。前後輪の重量配分が優れ、走行安定性も高い。装備も充実して、衝突被害軽減ブレーキ、車間距離を自動制御できるクルーズコントロールなどは標準装着する。

 その代わり後方の追走車両を知らせるブラインドスポットモニタリング、ハイビームを維持しながら対向車の眩惑を抑えるアダプティブLEDヘッドライトなどはオプションだ。

 それでもセーフティパッケージには、これら11種類の安全装備がセットされ、価格は9万9000円と安価に抑えている。標準装着される装備が物足りなくてもオプションで補える。

 ちなみにCX-5の20Sプロアクティブ、価格は290万9500円だが、エンジンは直列4気筒2Lだ。CX-60 25S Sパッケージは2.5Lだから、動力性能に余裕がある。しかも、タイヤも18インチでアルミホイールを装着し、走行性能、運転感覚、外観はいずれも立派だ。

 ただし、インパネを中心とした内装には注意したい。25S Sパッケージと、XDハイブリッドのプレミアムスポーツ/プレミアムモダンを比べると「これが同じCX-60か!?」と思えるほど質感が異なる。25S Sパッケージに安っぽい印象はないが、上級グレードとの格差は大きい。

 25S Sパッケージの価格は300万円以下だが、XDハイブリッドプレミアムスポーツ/プレミアムモダンは547万2500円だ。2倍近い開きがあるから質感も違って当然だが、25S Sパッケージは販売の主力にはならないだろう。

 25S Sパッケージは、ツールとして使い倒したいユーザーに魅力だ。新開発された後輪駆動のプラットフォームによって走行性能も高い。300万円以下で買える走りの上質な後輪駆動車は貴重だ。

 一方、CX-60の上級感覚を満喫したいなら、直6、3.3LクリーンディーゼルターボのXD・Lパッケージがおすすめ。ディーゼルに、相応の内装と装備を組み合わせて価格は400万4000円になる。価格の近いハリアーハイブリッドGも意識して、買い得な上級グレードといえる。

■マツダ CX-60
・最廉価グレード…「25S Sパッケージ」
・長所…動力性能は同じ/約10万円で11種の安全装備がセットオプション/「ツール」として使いたい人向き
・最廉価グレードを買っちゃダメな人…標準の安全装備が乏しいので、それを重要視する人

■トヨタ ハリアー(最廉価グレード:S 299万円)

トヨタ ハリアー(2022年9月26日マイチェン!!)

 Sの価格は、同じエンジンを搭載する中級のGよりも42万円安い。装備を比べると、SにはGに標準装着されるアダプティブハイビーム、リアゲートの電動機能、デジタルインナーミラー、運転席の電動調節機能などが備わらない。

 またシート生地には合成皮革が使われない。高級感を求めると、Sでは物足りないからG以上の人気が高い。

 しかし実用性を重視すると、Sでも不都合はない。衝突被害軽減ブレーキや運転支援機能は、Sを含めて全車に同じ内容が備わる。

 そしてGとSの価格差は42万円だが、装備の違いを考えると、差額が大きすぎる。Sは価格を300万円以下に抑えるため、少し安価にした。装備に不満がなければSを積極的に選びたい。

■トヨタ ハリアー
・最廉価グレード…「S」
・長所…実用面では最廉価でもOK/中級グレードと比べ42万円安い/差額を考えるとSは買い
・最廉価グレードを買っちゃダメな人…アダプティブハイビームなどの安全装備にこだわる人/高級感や質感をかなり大切にする人

■トヨタ RAV4(最廉価グレード(4WD):X 4WD 300万5000円)

RAV4・Xを選ぶと9インチナビなどの装備が簡略化されるが、それでも必要充分な選択といえる

 RAV4では悪路走破力は譲れない。安いグレードでも4WDを選ぶ。中級の4WD Gは、Xに比べて44万2000円高いが、実用的な装備に大差はない。

 衝突被害軽減ブレーキはXにも標準装着され、パーキングサポートブレーキとブラインドスポットモニターも、6万8200円でオプション装着できる。ディスプレイオーディオは、G以上に装着される9インチではないが、8インチが備わる。

 細かな装備を多岐にわたって充実させたいなら、G以上のグレードが適するが、そうでない場合はXで充分だ。シンプルなRAV4 Xを日常の移動に使うのもカッコイイ。

 また購入後に外装パーツを交換する場合、G以上のグレードに標準装着される上質な18/19インチアルミホイールを廃棄するのは惜しい。その点で17インチアルミホイールを履くXであればムダを抑えられる。用途によってはXは合理的な選択だ。

■トヨタ RAV4
・最廉価グレード…「X」
・長所…実質的装備は上級グレードと大差なし/各種安全装備もオプション選択可/カスタムベース車としても合理的/用途次第ではXでも充分
・最廉価グレードを買っちゃダメな人…走りよりナビにこだわり、細かい装備を充実させたい人

■トヨタ カローラクロス(最廉価グレード:G“X” 199万9000円)

トヨタ カローラクロス

 カローラクロスG-Xは、Gから主に安全装備を取り去ったグレードだ。

 パーキングサポートブレーキやバックガイドモニターが省かれ、ブラインドスポットモニターのオプション設定も外れている。快適装備では、スマートエントリーや充電用のUSB端子も装着されない。

 価格は割安で、G-XはGに比べて24万1000円安い。200万円を下まわる価格で安さを強調すべく、G-Xの価格は、Gから省いた装備以上に値下げされている。安全装備を省いたから積極的には推奨できないが、とにかく安く買いたいユーザーには注目されるグレードとなっている。

■トヨタ カローラクロス
・最廉価グレード…「G “X” パッケージ」
・長所…とにかく低価格で買える!/上級グレードより約24万円安い/欲しい装備だけオプション選択可
・最廉価グレードを買っちゃダメな人…パーキングサポートなど充実した安全装備が欲しい人/USB充電ポートなどの装備も必須だと感じる人

■ホンダ ヴェゼル(最廉価グレード:G 227万9200円)

ホンダ ヴェゼル

 ヴェゼルのパワーユニットは、直列4気筒1.5Lと、1.5Lをベースにしたハイブリッドのe:HEVだ。グレード構成はe:HEVが圧倒的に多い。

 エンジンは主に発電を行い、駆動はモーターが担当する。そのために加速感は電気自動車に近く、滑らかで瞬発力もある。

 その点で1.5Lのノーマルエンジンは平凡だが、自然な運転感覚が特徴だ。モーターでは、アクセルペダルを踏んだ次の瞬間には駆動力が一気に盛り上がるが、エンジンは回転の上昇に連れて駆動力を高めていく。この高揚感は魅力だ。

 またGの価格は、同等の装備を採用する「e:HEV X」に比べて約38万円安い。

■ホンダ ヴェゼル
・最廉価グレード…「G」
・長所…ナチュラルな走りが心地よい/同等の装備があるe:HEV Xにくらべて約38万円安い
・最廉価グレードを買っちゃダメな人…e:HEVが生む走り出しのスムースさを求めたい人/実用燃費面からして、ハイブリッド車じゃないとダメな人

■マツダ CX-5(最廉価グレード:20Sスマートエディション 267万8500円)

マツダ CX-5

 2L直4ガソリンエンジンを搭載する20Sスマートエディションは、20Sプロアクティブに比べ23万1000円安い特別仕様車だ。

 360度ビューモニター、運転席の電動調節機能、前席シートヒーター、アドバンストキーレスエントリーが省かれるが、それ以上に価格を下げた。前述の実用装備が必要なユーザーには推奨できないが、それらが不要ならば20Sスマートエディションは合理的だ。

 なおライバル車のRAV4で価格が最も安いX 2WDは277万4000円だから、CX-5 20Sスマートエディションはさらに約10万円安い。価格競争に対応して安く抑えた面もある。

■マツダ CX-5
・最廉価グレード…「20Sスマートエディション」
・長所…装備面は簡素だがコスパは充分/RAV4 Xと比べても安い/価格以上の価値アリ/装備がなくてもOKな人向き
・最廉価グレードを買っちゃダメな人…実用系装備と快適装備を、なにより一番に考えている人

■スバル フォレスター(最廉価グレード:ツーリング 293万7000円)

スバル フォレスター。最廉価グレード、ツーリングのエンジンは水平対向4気筒、2Lのe-BOXER。最高出力はエンジン=145ps、モーター=13.6psで、上級グレードと同じ。いいじゃないですか!

 価格が300万円を下回る唯一のグレードだ。それでも人気の高いXブレイクとの価格差は14万3000円。

 パワーユニットは電動機能を併用するe-BOXERを搭載して、安全装備と運転支援機能を併せ持つアイサイト、17インチアルミホイールなどを標準装着。Xブレイクの外装パーツを取り去り、外観を一般的なデザインに仕上げたのが、このツーリングになる。

 価格と装備を考えると、ツーリングよりもXブレイクが割安だ。それでも過剰な存在感を好まず、実用的なSUVを安価で買いたいならツーリングを推したい。

 その理由は走行性能は2Lエンジンの上級グレードと変わらず、アイサイトセイフティプラス、運転席と助手席の電動調節機能、ルーフレールなど、使い方に応じてオプション装着できるからだ。

 したがってツーリングは、落ち着いた雰囲気のフォレスターを安価に手に入れたいユーザーに適する。高性能な走りが好みなら1.8LターボのSTIスポーツを推奨する。

■スバル フォレスター
・最廉価グレード…「ツーリング」
・長所…e-BOXERを搭載/走行性能は同じ/アイサイトも標準装備/割安な実用的SUV/割安に買いたい人向き
・最廉価グレードを買っちゃダメな人…とにかく「走りイチバン」な人

■マツダ CX-8(最廉価グレード:25S 299万4200円)

3列目シートがあるSUVとして評判の高いCX-8。25Sのパワートレーンは直4DOHC、2.5Lガソリンエンジン。最高出力は190ps/25.7kgmというスペック

 CX-8の25Sの価格は300万円以内。80km/h以下で作動する衝突被害軽減ブレーキは標準装着されるが、それ以上の速度域で作動するタイプはオプションになる。

 この装備を含めたセーフティクルーズパッケージはほかの装備も加えて8万2500円だ。10.25インチのセンターディスプレイなども含めてオプション装備は多いが、安価に充実させられる。

 そしてCX-8の3列目シートは、国産SUVのなかでは最も快適。多人数で乗車する機会が多いのに、ミニバンは好みに合わないユーザーにも適する。特に25Sの価格は約300万円だから、2LのNAエンジンを搭載するノアのGの297万円に近い。

 つまりCX-8 25Sなら、ミドルサイズミニバンの中級グレードに近い価格で、全長4900mmの3列シート上級ミニバンを購入できる意味合いになる。またCX-8ではクリーンディーゼルターボが人気だが、運転感覚が穏やかなガソリンの2.5Lを選ぶユーザーもいる。

■マツダ CX-8
・最廉価グレード…「25S」
・長所…安全装備オプションを充実させても約307万円/貴重な3列シートSUV。ミニバンの中級グレードほどの価格で買える
・最廉価グレードを買っちゃダメな人…安全装備を重要視する人

■トヨタ ランドクルーザープラド(最廉価グレード:TX 367万6000円)

トヨタ ランドクルーザープラド

 価格が最も安いTXのエンジンは、直列4気筒2.7Lのガソリンだ。最大トルクは25.1kgmだから、2.8Lクリーンディーゼルターボの51kgmに比べると半分以下になる。加速は少し貧弱だ。

 その代わり車両重量はディーゼルに比べて130kg軽い。峠道を走るとディーゼルよりも軽快だ。ボディが軽いから雪道でも慣性の悪影響を受けにくく、走行安定性を妨げるムダな挙動も生じにくい。6速ATのマニュアル操作を的確に行い、限られた駆動力を有効活用することも、ガソリンエンジンの楽しさだ。

 そして衝突被害軽減ブレーキや運転支援機能などの必要不可欠な装備は、上級グレードと変わらない。価格は367万6000円だから、ディーゼルのTZ-Gに比べると約187万円安い。上級のランドクルーザーが受注を停止した今、後輪駆動ベースの貴重な悪路向けSUVとなっている。

■トヨタ ランドクルーザープラド
・最廉価グレード…「TX」
・長所…軽量な車体で走りが楽しい!/少ないパワーを使いきれる楽しさ/上級グレードとほぼ同じ安全機能装備を持つ
・最廉価グレードを買っちゃダメな人…パワフルな走りを求める人/余裕ある加速感が欲しい人

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