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SUPER GT 第8戦【GT500クラス 決勝レポート】
開催場所:モビリティリゾートもてぎ

開催日:2022年11月6日

2022 AUTOBACS SUPER GT Round8 MOTEGI GT 300km RACE GRAND FINAL

 今シーズン、決勝レースでの安定したラップと信頼性の向上を目標に取り組んできたタイヤ内部構造の大改革。前半戦はゴムとの相性が悪く苦戦を強いられていましたが、徐々にゴムと構造のマッチングが進んできた後半戦。優勝に手が届くところまで上り詰めてきました。楽なレースはひとつもありませんでしたが、そんなSUPER GTもここモビリティリゾートもてぎで最終戦を迎えました。前日の予選ではダンロップタイヤを装着する2台のNSX-GTが揃ってQ1を通過。7番手から64号車のModulo Nakajima Racingが、8番手からは16号車TEAM Red Bull MUGENが上位入賞を目指して決勝レースに臨みました。
 
 くじ引きの結果、決勝は予選Q1のタイヤでスタートしなくてはなりません。64号車はソフト、16号車はハードを装着。気温16℃、路面温度27℃の中では、タイヤのウォームアップが大きな課題になります。この状況下でいかに早くタイヤを発熱させて順位を上げられるかが重要です。13時にフォーメーションラップがはじまります。GT500クラス全15台がローリングスタートを切りました。タイヤがまだ温まらない序盤からプッシュする64号車と16号車。オープニングラップの混乱に乗じて64号車は5番手に、16号車は7位へポジションを上げます。そして8周目に64号車が大きく順位を落とすと、16号車は6番手に浮上します。さらにこの周にGT300の多重クラッシュがありFCYが宣言。事態の収拾に時間がかかると判断した主催者はさらにSC導入を決めます。これが燃費重視の作戦をとっていたチームに陰りを落とします。
 
 21周目にピットが解放されると、16号車は真っ先にピットへ。給油量を極限まで減らし、最初にドライバー交代義務を消化してポジションアップをとる作戦をとっていた16号車。裏の3番手でコースに復帰します。後半スティントもハードタイヤで安定したペースを刻みたい16号車でしたがレース中盤になるとピックアップが発生。思ったようにタイムを上げることができません。64号車も24周目にピットインし伊沢拓也選手から大津弘樹選手へドライバー交代を行いコースへ復帰します。しかし、2台とも路面温度の上がらないこの状況に苦しい展開を強いられます。我慢のレースとなった最終戦。サバイバルレースの様相を呈する中、2台のNSX-GTは最後まで走り切り16号車は11位で、64号車は12位でチェッカーを受けました。
 
 大改革1年目のシーズンは非常に苦しいレースが続いた1年となってしまいました。しかし、その中でもしっかり進化と成長を見せることができたレースもありました。2023年もダンロップタイヤは全てのモータースポーツファンの皆さんと共にSUPER GTを盛り上げていく所存です。今年1年間応援ありがとうございました。

2022スーパーGT第8戦もてぎ Red Bull MOTUL MUGEN NSX-GT(笹原右京/大湯都史樹)
2022スーパーGT第8戦もてぎ Red Bull MOTUL MUGEN NSX-GT(笹原右京/大湯都史樹)

GT500クラス 16位 16号車 Red Bull MOTUL MUGEN NSX-GT

2022スーパーGT第8戦もてぎ 大湯都史樹(Red Bull MOTUL MUGEN NSX-GT)
2022スーパーGT第8戦もてぎ 大湯都史樹(Red Bull MOTUL MUGEN NSX-GT)

・笹原右京選手 コメント
「きょうはやり切りました!本当にミサイルの飛ばしあいみたいなレースで、絶対に当たっちゃいけない中、なんとか次につなげるレースができました。タイヤがダメになってもとにかく順位を上げる走りをして大湯選手につなげることだけを考えました。きちんと順位も上げられましたし、自分の中ではやり切ったレースでした。超燃費走行で逆転を考えたんですがSCが入ってしまい、他の車両も燃費が上がってしまったのは誤算でしたね。でも、シーズン終わってみて正直悔しいですね。チーム無限は今シーズン本当に創意工夫に満ち溢れたチームでした。ダンロップタイヤさんも頑張ってくれましたし感謝のシーズンですね。皆さん応援ありがとうございました 」
 
・大湯都史樹選手 コメント
「シーズンを振り返れば、意地は見せられたし、チームも厳しい中でもやりきったシーズンでした。特に鈴鹿でしっかりと自分たちの力であとちょっとの所までいけたのは1番の収穫でした。ここ数年ポールポジションは獲れてもレースで結果が伴わないことが続いていましたから、きちんとダンロップタイヤの進化も感じられましたし、僕たちの成長も体感できました。でも、今シーズンだけをみればちょっと時間が足りませんでした…。いろいろ試しながら戦ってきましたから、こうなることもリスクを背負ってやってきました。SUGOしか結果を残せなかったのがとても残念ですね」
 
・田中監督 コメント
「SCのリスクを避けてミニマムでピットへ入って逃げ切る作戦でした。でも、右京選手が走ってみてペースが上げられないと無線で伝えてきたので大湯選手もハードを選択しました。それでも思った順位を得られることはできませんでした。今年1年を振り返ると、シーズン前半はちょっと手間取りましたが、鈴鹿では作ってきた結果がきちんと出たと思っています。1年間かけて作ってきたタイヤが偶然ではなく必然で結果がでましたよね。これまでやってきたことを凝縮して、データを蓄積していけばもっとより良いタイヤができると信じています。とにかく1年間応援ありがとうございました」

・ダンロップタイヤ開発責任者/安田恵直
「状況はまだしっかり整理できていないのですが、低温条件が弱いのとピックアップに関しては完全に解決ができていないので、明日の燃料テストで再確認しようと思っています。今シーズンは結果としてはついてきていませんが、良いところもありました。もちろん課題となる部分も多く、これをしっかり潰していくことが来年につながると信じています。勝てそうで勝てなかったときもあったので、2023年はしっかりと各レースで優勝争いを演じられるようなスペックのタイヤを開発してチームをサポートしていきたいと思います」

・ダンロップタイヤモータースポーツ部長/竹内二郎
「タイヤの開発は進んだ1年でしたが、結果が伴わないシリーズとなってしまいました。何度か優勝できるチャンスもあったと思うので悔しさも残ります。2023年はゴムのタフネスさを見直さなくてはいけないと思っています。もちろんタイヤのコンストラクションやプロファイルも含めて、もっと地面をしっかりと掴まえるタイヤを作ってきたいと思います。1年間、ダンロップタイヤを装着する2台のNSX-GTに熱いご声援を頂きありがとうございました。引き続き皆さんの応援を頂けますようお願い申し上げます」

■SUPER GT 第8戦【GT300クラス 決勝レポート】

 ドライバーズチャンピオン争いに5名のドライバーを残しているダンロップタイヤ。ここまでサクセスウェイトに苦しんできた61号車SUBARU BRZ R&D SPORTの2名が2.5ポイント差で、10号車TANAX GAINER GT-Rの大草りき選手が6ポイント差で56号車を追いかけます。しかしその61号車は前日の予選でリアセグメントを大破するクラッシュ。朝4時までかけてメカニックが懸命な作業を続け、なんとかグリッドへと送り出すことができました。

2022スーパーGT第8戦もてぎ TANAX GAINER GT-R(富田竜一郎/大草りき)
2022スーパーGT第8戦もてぎ TANAX GAINER GT-R(富田竜一郎/大草りき)

 そんな緊迫した条件の中、スタートを切ったGT300クラス。オープニングラップで細かい入れ替えこそあったもののシリーズに影響を及ぼす順位変動はなくレースは進みます。しかし、その中でチャンピオンシップを争う61号車のペースがあがりません。ストレートでのトップスピードが著しく遅く、後続車に続々と抜かれてしまいます。レースが大きく動いたのは8周目でした。3コーナーでスピンした車両に後続車が次々と接触。ここでFCYが宣言されます。しかし、事態の収束に時間がかかりそうだと判断した主催者はSCを導入します。さらに、このSC中の隊列の組みなおしの際にストレート上でさらに大規模なクラッシュが発生。このデブリの回収と路面に撒かれてしまったオイルの撤去に手間取り、レースが再開までに12周を要してしまいます。

 20周目にレースが再開すると、ピットウィンドが開いた21周目に続々とマシンがピットインしてきます。まずは61号車が入りドライバー交代を行いコースへと復帰します。そして10号車は24周目にピットへ。大草選手から富田竜一郎選手へとマシンを託します。全車ピット作業を終了すると、この時点で10号車は3位へ浮上。ランキングトップの56号車はこの時点で10号車の背後となる4番手に。このままだと大草選手はチャンピオンをとることはできません。

 しかし、42周目に56号車がまさかのコースオフ。その後フロントタイヤが外れてしまいポイント圏外へとドロップダウンしてしまいます。これで一気にチャンピオンの可能性が出てきた10号車。しかし、前を行く52号車を抜くのに手間取ってしまい、タイヤの温度が徐々に低下。その結果内圧も下がり、グリップダウンを余儀なくされてしまいます。さらにドライバーの富田選手からは「タイヤの摩耗が激しい」との悲痛な無線。前を抜くのではなく、守りの走りに切り替えた富田選手は徹底したブロックラインで順位を守りに入ります。しかし、ストレートスピードでGT-Rを上回るランボルギーニが富田選手をオーバーテイク。あとひとつ順位を落とすと逆転に必要な7ポイントを失ってしまう最終ラップ。懸命に後ろから迫りくる88号車をブロックします。しっかりとインを死守して飛び込んだファイナルラップの1コーナー。しかし、続く2コーナーで88号車はアウトから一気に10号車に並びかけます。このアタックを阻止できず富田選手はポジションダウン。最終ラップで大草選手のルーキーイヤーでの初タイトルの夢は惜しくも達成できませんでした。
 
 ダンロップタイヤ装着車による2年連続のタイトル奪取は叶いませんでしたが、全てのチーム、全てのドライバーが全力で挑んだシーズンでした。2023年はタイトル奪還に向け、さらなるタイヤ開発に勤しんで参ります。1年間応援を頂いた皆様に感謝し、2023年も引き続き強いタイヤを持ってSUPER GTを盛り上げることをお約束いたします。応援ありがとうございました。

2022スーパーGT第8戦もてぎ K-tunes RC F GT3(新田守男/高木真一)
2022スーパーGT第8戦もてぎ K-tunes RC F GT3(新田守男/高木真一)

<GT300クラス 結果>
優勝 #55 ARTA NSX GT3 BS
2位 #87 Bamboo Airways ランボルギーニ GT3 BS
3位 #52 埼玉トヨペットGB GR Supra GT BS #65 LEON PYRAMID AMG BS
4位 #18 UPGARAGE NSX GT3 YH
5位 #88 Weibo Primez ランボルギーニ GT3 YH
6位 #96 K-tunes RC F GT3 DUNLOP
8位 #10 TANAX GAINER GT-R DUNLOP
11位 #60 Syntium LMcorsa GR Supra GT DUNLOP
14位 #11 GAINER TANAX GT-R DUNLOP
20 位  #61 SUBARU BRZ R&D SPORT DUNLOP
21位 #20 シェイドレーシング GR86 GT DUNLOP
 
詳しい結果はこちら:
https://mos.dunlop.co.jp/motorsports/supergt/40215

GT300クラス/8位 10号車 TANAX GAINER GT-R

2022スーパーGT第8戦もてぎ 富田竜一郎/大草りき(TANAX GAINER GT-R)
2022スーパーGT第8戦もてぎ 富田竜一郎/大草りき(TANAX GAINER GT-R)

・富田竜一郎選手 コメント
「戦略的にもチームの作ってくれたクルマも、今週ダンロップタイヤさんが持ち込んでくれたタイヤも100%使い切ったレースでした。これ以上何かできたか?と言われても、何ができたか分からないくらい出し尽くした感じですね。正直、残り12周辺りでほとんどタイヤは使い切ってしまったので防戦一方のレースでした、そういう意味では100点でもないし、50点でもない…。本当にレースではちょっとだけ何かが足りなかったですね。でも、1年間良い戦いができたのはダンロップタイヤのおかげだったと思っているので感謝しています。大草選手の成長も感じられたシーズンでした。そして皆さんの応援が嬉しいシーズンでした。本当にありがとうございました」
 
・大草りき選手 コメント
「おつかれさまでした。悔しさもありますが、僕も富田選手もチームも100%のレースをして負けてしまったので、来年頑張ろうという気持ちですね。きょうのレースは波乱がいろいろあったんですが、第1スティントで後半タイムを落とさず帰ってこれたことは自分自身の成長を感じられたレースでもありました。最終戦に富田選手が帰ってきてくれて、心の支えにもなりました。最終戦はふたりで意見を言い合って、より良いマシン作りもできたと思います。最後の富田選手のスティントは見ていて感動しました。最後まであきらめないレーシングドライバーとしての姿勢は見習わなくてはいけないと思いましたね」

・ダンロップタイヤ開発責任者/安田恵直
「悔しいレースでしたね。決勝序盤に関しては予選の通りだったんですが、後半スティントに入って52号車に追いつて燃費走行をしたときに、そこでタイヤ温度や内圧も下がってしまいペースが上げられなくなってしまいました。終盤にバトルになってしまい、タイヤの摩耗も進んでしまい、非常に厳しいレースとなってしまいました。予選がしっかり走れていればまた違った結果になっていたと思いますがとても残念です。タイヤの実力もあるかもしれませんが、しっかりとデータを見直してしっかり修正して来年に臨みたいと思います。来年こそはチャンピオンをしっかり取り切れるタイヤを用意したいと思います」

ダンロップタイヤモータースポーツ部長/竹内二郎
「今年はJAF-GT用のタイヤと、GT3用のタイヤをそれぞれに開発してきて、しっかりとしたものが作れたと自負しています。しっかりと勝負できるタイヤを用意できたのではないかと思っています。2023年は今年失ったチャンピオンをしっかりと取り返しにいけるよう、さらなる開発を進めて、準備していきたいと思います。皆さんの応援を引き続きいただけますよう、よろしくお願い申し上げます」

メディア情報

 今年1年間、応援ありがとうございました。来年も引き続きダンロップタイヤ装着車両へ熱い応援をよろしくお願いいたします。ダンロップモータースポーツ公式ホームページでもレースレポートをご覧頂けます。

・ダンロップモータースポーツ Facebook:https://www.facebook.com/TEAMDIREZZA
・ダンロップモータースポーツ SUPER GTページ:https://mos.dunlop.co.jp/super-gt
・SUBARU LIVE配信:https://www.subaru-msm.com/2022/live/
・Red Bull TV:https://www.redbull.com/jp-ja/discover

2022スーパーGT第8戦もてぎ SUBARU BRZ R&D SPORT(井口卓人/山内英輝)
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2022スーパーGT第8戦もてぎ シェイドレーシング GR86 GT(平中克幸/清水英志郎)
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2022スーパーGT第8戦もてぎ GAINER TANAX GT-R(安田裕信/石川京侍)
2022スーパーGT第8戦もてぎ GAINER TANAX GT-R(安田裕信/石川京侍)
2022スーパーGT第8戦もてぎ Syntium LMcorsa GR Supra GT(吉本大樹/河野駿佑)
2022スーパーGT第8戦もてぎ Syntium LMcorsa GR Supra GT(吉本大樹/河野駿佑)