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今シーズン締めくくりのシリーズチャンピオンを賭けたレースが快晴に恵まれた、11月6日(日)栃木県のモビリティリゾートもてぎで決勝(63周)が行われた。最終戦は全車サクセスウエイトがないため、文字通りガチンコ勝負の激しいレースとなった。

2022 Rd.8 MOTEGI GT 300km RACE GRAND FINAL

GT500は、11月5日(土)に行われた予選で、前のレースで2位となった#100 STANLEY NSX-GT 山本尚貴/牧野任祐がPPを獲得。ドライバーランキングトップの#3 CRAFTSPORTS MOTUL Z 千代勝正/高星明誠は予選4位。ランキング2位の#12 カルソニック IMPUL Z 平峰一貴/ベルトラン・バゲットが2位を獲得。前戦で優勝し、ランキング3位であった#17 Astemo NSX-GT 塚越広大/松下信治 は10位に沈んでしまった。

栃木県警察のパトロールカーと白バイを先導に交通安全啓蒙活動のパレードラン
栃木県警察のNSX、GTR、Zのパトロールカー

いよいよ最終戦決勝がスタート。ポールポジションスタートの#100 STANLEY NSX-GT牧野を先頭に、予選2位の#19 WedsSport ADVAN GR Supra国本、予選3位の#12 カルソニック IMPUL Zバゲットが続く。

GT500クラススタートシーン

開始早々ターン5で #3 CRAFTSPORTS MOTUL Z 千代と#8 ARTA NSX-GT野尻がグラベルにはじき飛ばされてスピンしてしまうアクシデントが発生。9LAP目にドライブスルーペナルティーを課せられた#3 CRAFTSPORTS MOTUL Z 千代は12位まで順位を下げ、チャンピオンへの権利はほぼ絶望的となってしまった。またその周のターン3コーナーでGT300クラスのマシンの接触スピンにより多重クラッシュが発生し、GT300クラス2台、GT500の#39 DENSO KOBELCO SARD GR Supra中山、#24 リアライズコーポレーション ADVAN Zが巻き込まれその2台がリタイアとなってしまった。

GT500クラス3位 #14 TGR TEAM ENEOS ROOKIE ENEOS X PRIME GR Supra

この多重クラッシュの処理中、セーフティーカーが先導を行うセーフティカーランとなっていたが、なんとその最中にホームストレートでGT300の#31 apr GR SPORT PRIUS GT中山が#5 マッハ車検 エアバスター MC86 マッハ号に激しく追突してしまった。

GT500クラス4位となった#3 CRAFTSPORTS MOTUL Z

21LAP目にレースは再開。早々にピットインしてタイヤ交換、給油、ドライバー交代を行うチームが5チーム、その後2周以内に#36号車以外は全てピットインをし、残り周回数約2/3を交代後のドライバーに託した。

GT500クラス優勝 #100 STANLEY NSX-GT

その後、大きな順位変動はなく、見事なポール・トゥ・ウインを決めた#100 STANLEY NSX-GT(山本尚貴/牧野任祐)が優勝。チェッカー後のウイニングラン中にガス欠なのか、マシンがストップしてしまう。少しでもマシンを軽くするために燃料を絞っていたようだ。
2位は#12 カルソニック IMPUL Z(平峰一貴/ベルトラン・バゲット)となりシリーズチャンピオンを決めた。3位は#14 ENEOS X PRIME GR Supra(大嶋和也/山下健太)、4位に#3 CRAFTSPORTS MOTUL Z(千代勝正/高星明誠)、5位#17 Astemo NSX-GT(塚越広大/松下信治)がチェッカーを受けた。

GT500クラス表彰台

2022スーパーGT第8戦もてぎ GT500決勝正式結果
1位 #100 TEAM KUNIMITSU/STANLEY NSX-GT/山本尚貴/牧野任祐
2位 #12 TEAM IMPUL/カルソニック IMPUL Z/平峰一貴/B.バゲット
3位 #14 TGR TEAM ENEOS ROOKIE/ENEOS X PRIME GR Supra/大嶋和也/山下健太
4位 #3 NDDP RACING/CRAFTSPORTS MOTUL Z/千代勝正/高星明誠
5位 #17 Astemo REAL RACING/Astemo NSX-GT/塚越広大/松下信治
6位 #37 TGR TEAM KeePer TOM’S/KeePer TOM’S GR Supra/S.フェネストラズ/宮田莉朋
7位 #19 TGR TEAM WedsSport BANDOH/WedsSport ADVAN GR Supra/国本雄資/阪口晴南
8位 #8 ARTA/ARTA NSX-GT/野尻智紀/福住仁嶺
9位 #36 TGR TEAM au TOM’S/au TOM’S GR Supra/坪井翔/G.アレジ
10位 #38/TGR TEAM ZENT CERUMO/ZENT CERUMO GR Supra/立川祐路/石浦宏明

GT300クラス優勝 #55 ARTA NSX

GT300は、7戦を終えた時点でのドライバーランキングトップの# 56 リアライズ日産メカニックチャレンジ GT-R 藤波清斗/ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラは予選7位となった。ランキング2位の#61 SUBARU BRZ R&D SPORT 井口 卓人/山内 英輝がなんと予選タイムアタックの最終LAPの最終コーナーでスピンしてクラッシュ、その結果16位で予選を終える。3位の#10 TANAX GAINER GT-Rも不調で10位となってしまい、ポイントランキング上位勢が下位からの決勝スタートとなり、波乱のレースになることは容易に想像できた。

クラス3位 #52 埼玉トヨペットGB GR Supra GT

レース序盤はポールポジションの#55 ARTA NSX GT3木村と予選2位の#18 UPGARAGE NSX GT3が数周に渡りバトルを展開していたが、#18がトップに浮上。#56 リアライズ日産メカニックチャレンジ GT-R(藤波清斗)が6位に浮上、#10 TANAX GAINER GT-R大草も順位を7位まで上げた。一方、#61はペースが伸びず、予選16位からポジションを落としてしまっていた。

セーフテーカーラン終了後に続々とピットイン。トップの18号車もピットイン。しかしマシンにトラブルが発生し、ピットアウトが遅れポジションを落としてしまった。No.52 埼玉トヨペットGB GR Supra GTは早々のピットインが功を奏し予選9位から後半には2位まで浮上する。

2番手だった#55はピットインのタイミングを遅らせる作戦が成功し、見事にトップをキープする。42周目にシーズンタイトルトップの#56に4コーナー立ち上がりで右フロントタイヤが脱落してしまうアクシデントが発生。リタイアかと思われたが、幸いにもピットに戻ってタイヤを交換してレースに復帰するも21位まで順位を落としてしまう。

クラス2位 #87 Bamboo Airways ランボルギーニ GT3

この時点で#10 TANAX GAINER GT-Rと、#52埼玉トヨペットGB GR Supra GTにタイトルの可能性が出て来たが、各車ペースが上らない中、良いペースで周回を重ねた#87 Bamboo Airways ランボルギーニ GT3だが2位でレースを終える。アクシデントにより今大会でポイントゲット出来なかったが、#56 リアライズ日産メカニックチャレンジ GT-Rが悲願のシリーズチャンピオンの奪還を果たすことになった。

GT300クラス表彰台 武藤 英紀 / 木村 偉織

2022スーパーGT第8戦もてぎ GT300決勝正式結果
1位 #55 ARTA/ARTA NSX GT3/武藤英紀/木村偉織
2位 #87 JLOC/Bamboo Airways ランボルギーニ GT3/松浦孝亮/坂口夏月
3位 #52 埼玉トヨペット Green Brave/埼玉トヨペットGB GR Supra GT/吉田広樹/川合孝汰
4位 #18 TEAM UPGARAGE/UPGARAGE NSX GT3/小林崇志/太田格之進
5位 #88 JLOC/Weibo Primez ランボルギーニ GT3/小暮卓史/元嶋佑弥
6位 #96 K-tunes Racing/K-tunes RC F GT3/新田守男/高木真一
7位 #4 GOODSMILE RACING & TeamUKYO/グッドスマイル 初音ミク AMG/谷口信輝/片岡龍也
8位 #10 GAINER/TANAX GAINER GT-R/富田竜一郎/大草りき
9位 #7 BMW Team Studie × CSL/Studie BMW M4/荒聖治/A.ファーフス
10位 #360 TOMEI SPORTS/RUNUP RIVAUX GT-R/青木孝行/名取鉄平

GT300シリーズチャンピオン#56 リアライズ日産メカニックチャレンジ GT-R 近藤真彦監督/清斗/ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ

また決勝終了後の翌日、同サーキットにてレース界においてのカーボンニュートラルに向けての第一歩となる、2023年から使用予定のカーボンニュートラルフューエルの走行テストも行われており、テストしたチームから好感触との意見が多数出ている。次世代への挑戦、来シーズンに向けてのテストがもう始まっている。

Photo/text:Hisao.sakakibara

【筆者の紹介】
Hisao sakakibara
モータスポーツフォトグラファー。レーシングカー好きが高じて、サーキット通いに明け暮れる。モータスポーツの撮影取材を始めて25年のベテランフォトグラファー。