Vox Media主催のテクノロジー業界向けカンファレンス「Code 2022」で、Googleが推進しAndroidがメッセージングに採用するRCS(リッチコミュニケーションサービス)と、アップルのiMessageとの互換性に関して質問されたアップルのティム・クックCEOが、「Android端末をiPhoneに買い替えると良い」と冗談めかして発言した。
この質問したのは、Vox MediaのジャーナリストLiQuan Hunt氏だ。同氏は自身がAndroidユーザーの母親に動画を送信したものの、母親はそれを見れなかったとクック氏に訴えた。これは、iPhoneとAndroidのユーザー間でのテキストメッセージのやりとりにおける、いわゆる “あるある” な問題で、SMSの進化版ともいえるRCSと、iMessageの間の互換性がないことから起こる問題ともいえる。
クックCEOは、「われわれのユーザーがそのことをそれほど問題視しているという話を聞いていない」と返答した。そしてHunt氏の個人的な事例に、冗談めかして「ぜひそのお母さんにiPhoneを買ってあげて頂きたい」と返答したという。
Googleは8日、アップルに対してiMessageのRCS対応を求める宣伝キャンペーンを開始。Androidとの間ではSMSおよびMMS形式でのやりとりしかサポートしていないこと、そしてiMessage同士の会話が青いフキダシで表示される一方、Androidとの会話が緑のフキダシで表示されることが、結果的に人々の間で差別的な要素になっていることを指摘している。
今年1月にはWall Street Journal(WSJ)が、米国の10代の若者たちの間で、iMessageが最も人気あるテキストメッセージアプリになっており、その一因にiMessageのフキダシの色分けが絡んでいると報じている。ティーンエイジャーの間では、相手からのメッセージが緑色で表示されたときに、スムーズな情報のやりとりがしにくい可能性があるからか、ネガティブと取れる反応が見られるとのことだ。
WSJは、アップルが意図的にそのような状況になるように仕向けたのかはわからないとしつつも、iMessageがAndroidユーザーをiPhoneに乗り換えさせるために有効に作用していることを認識していると、Epic Gamesとアップルの裁判資料に記されたクレイグ・フェデリギの発言を紹介しつつ説明していた。
なお、こうしたiMessageの「青か緑か」の問題は、ほとんどが米国内に限った話だ。その他の多くの国では、たとえばTelegramやWhatsAppなどといった、サードパーティー製アプリが実質的に共通のテキストメッセージングサービスとして定着しており、日本では言わずもがなLINEがその地位にあたる。
- Source:The Verge
- Source:Engadget