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当たり前のように見積書に入るけど……マットやバイザーってホントにみんな付けるの?

 クルマを買うときに一度は目にする見積書。車体価格に諸費用、それにオプションなどかかる金額がすべて掲載されているわけだが、必ずといっていいほど計上されているオプションが! それがフロアマットとサイドバイザーである。

 装着率が高いゆえに計上されているのか。はたまた利益率が高いからなど、さまざま考えられるが実際のところどうなのか?

文/佐々木 亘、写真/HONDA、MAZDA、TOYOTA、AdobeStock

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■フロアマット装着率は9割越え!! 一方でサイドバイザー離れも

高級車や輸入車では装着車が少なくなっているサイドバイザー(sora_nus@AdobeStock)

 メーカーや地域などによっても変わるが、日本を走る自動車全体で考えると、フロアマットの装着率は9割を超え、サイドバイザーも7割以上が装着している。

 サイドバイザー装着が、特に多いのは国産車。SUVやミニバン、軽ハイトワゴンなどでは、サイドバイザーを付けていないクルマを探す方が大変だ。逆にこれだけ高い装着率を誇るサイドバイザーだが、高級車や輸入車では、装着しているクルマを見かけるのが少なくなってきている。

 実際の商談時に、どの程度の人が純正のフロアマットやサイドバイザーを装着するのかも聞き取りをしてみた。直近100件の注文書を確認してもらったところ、フロアマットは92件で装着、サイドバイザーは61件の装着となっている。(数字は筆者の取材に行った販売店での一例)

 サイドバイザーに関しては、装着率が下がってきているものの、フロアマットはほとんどの注文で付帯されている。

 取材に応じてくれた営業マンも「マットの品質(毛足の長さや素材)等を尋ねることはありますが、マット必要ないですよねと聞くことはないです。ご用命が無くても、スタンダードタイプのものは見積書に入れます。」と話してくれた。

 筆者は、お客様から要望が無かった時に、マットとバイザーを見積書に入れなかったことがある。その時「なぜ入ってないんだ、入れるのは当たり前だろ」とお客様から怒られた。逆に、勝手に見積書に入れたマットとバイザーに対して「入れて欲しいと言ってないのに、なぜ入れるんだ」と、これまた怒らたことがある。

 当たり前であり、当たり前だと思い込んでもいけないモノ、それがフロアマットとサイドバイザーの存在なのだろう。

■たしかに利益率高いけどそれだけじゃない!! ディーラーマンが純正品を推奨するワケ

車種ごとに社外品も多く販売されているフロアマットだが、耐久性に関しては、やはり純正品に敵うものはない

 フロアマットやサイドバイザーは、販売店装着オプションの中では利益率は高い方だ。お店の経営を考えれば、どんどん販売していくほうが良いのは間違いない。ただ、各メーカーの営業マンは、利益だけでマットとバイザーを勧めているわけではないのだ。

 まず、サイドバイザーに関しては、クルマの外側に装着される部品なので、誤った装着方法で走行中に外れてしまうといった事故を防ぎたいという意識がある。

 社外品の安価なサイドバイザーも数多く売っているが、車種専用に作られた純正品よりは装着が甘く、万が一の際には外れて飛んでいってしまう可能性もあるだろう(飛来物が人にあたれば事故)。大切なオーナーが背負うリスクを減らすためにも、純正サイドバイザーの装着をディーラーは勧める。

 また、フロアマットでは耐久性に大きな差が出る。最近では車種専用を謳う社外品も多く出ているが、こと耐久性に関しては、純正品に敵うものはないと思う。

 購入後、10年近く乗り続けるかもしれない愛車。長く愛用するクルマには、長く使えるオプションを装着しておく方が良いのではないだろうか。

■お店や営業マンの年代によって様々! 勝手に見積もりに入れるお店と聞くお店の違い

 最近ではディーラーによって、マットやバイザーの取り扱いが変わってきたように感じる。

 筆者の実感ではあるが、トヨタ・レクサス、マツダ、スバルでは、「フロアマットはお付けしますか?」「サイドバイザーは必要ですか」と聞かれることが増えてきた。逆に、ホンダ、日産、三菱、スズキ、ダイハツ等では、聞かれることが少なく、見積書には何も言わなくてもマットとバイザーが入っていることが多い。

 また、中核店舗などで2~30代の若手から中堅層が多いお店では、マット・バイザーの確認が多いが、小さめのお店で営業マンの年齢幅が広いお店では、自動的に見積書に組み込まれている場合が多いのだ。内部教育や研修などで生まれる差のようにも感じた。

 ある販売店では、パソコンの見積書作成画面を立ち上げると、自動的にフロアマット、サイドバイザー、ナンバーフレームが入っている状態になっているという。最近では一つ一つご要望を伺いながら見積書を作るケースが多いため、こうしたデフォルト機能をやめてほしいという声も聞こえてくる。

 みんなが当たり前につけるものだったフロアマットやサイドバイザーの立ち位置も変わってきたようだ。売る側も買う側も、「選ぶ(選ばせる)」意識をもち、時代と自分に合わせた選択をしたい。

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