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広くて快適 のり心地がいい クルマ酔いしない 後席の快適な家族思いのクロスオーバーSUVは?

 世のなかは、まさにクロスオーバーSUVブーム。ライズからフルサイズのランクル300まで、豊富にラインナップしている。
 
 そんななか、家族を持つファミリー層にとって気になるのは、後席。乗り心地はいいのか? どのくらい広いのか? クルマ酔いしないのか……、気になる点は多い。

 はたして、後席の快適な家族思いのクロスオーバーSUV車はどのクルマなのか、モータージャーナリストの渡辺陽一郎氏が解説する。

文/渡辺陽一郎
写真/ベストカーweb編集部

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■百花繚乱! 選択肢も幅広いクロスオーバーSUV

クラウンまでがSUVを意識した「クロスオーバー」をラインナップするほど、現在ではSUVが主流となっている

 今、まさに猫も杓子もSUVブームといった状況で、CX-60、アリア、エクストレイル、ZR-Vなど、新型が続々と登場している。

 話題のクラウンクロスオーバーは、ボディタイプは後席の後ろ側に独立したトランクスペースを備えるセダンだが、大径タイヤの装着などSUVのスタイルを持っている。

 SUVは売れ行きも順調で、今では新車として売られる乗用車の約30%を占める。2010年頃は10%少々だったから、SUVの販売比率は急速に拡大した。

 このようにSUVが人気を高めた背景には、優れた快適性と実用性も挙げられる。ボディの上側はハッチバックやワゴンと同様のデザインだから、後席や荷室の広いSUVも増えた。

 トヨタの販売店では「ノアのようなミニバンのお客様が、子育てを終えて、カローラクロスなどに乗り替えることも多い」という。SUVでは頭上と足元に十分な空間があるから、ミニバンのような開放感を味わえて、4名で快適に移動できる。

 ただしSUVの3列目シートには注意したい。メーカーのウェブサイトに掲載された画像を見ると、ミニバンの3列目に近い印象も受けるが、実際の居住性は異なる。SUVの3列目は全般的に窮屈だ。

 その理由は、ミニバンとSUVでは、床面の形状が違うからだ。ミニバンでは、ボディの後方に設置された燃料タンクの位置まで、床を高めている。そのために車内の床がほぼ平らで、移動もしやすく、3列目の着座姿勢も1列目と2列目に近い。

 ところがSUVの床は、ミニバンと違って平らではない。燃料タンクのために、3列目の床だけが大きく持ち上がる。従ってSUVの3列目は、ミニバンに比べて、床と座面の間隔が不足している。座ると膝が持ち上がり、腰は落ち込みやすい。

 そのためにSUVの3列目は、ミニバンに比べると快適性が大幅に下がる。CX-8の3列目は、SUVでは最も快適だが、ミニバンに当てはめるとコンパクトなシエンタやフリードと同等か、それを下まわる。そのためにCX-8を除いたSUVの3列目は、荷室に装着された窮屈な補助席だ。

■後席の快適なクロスオーバーSUV:トヨタ クラウンクロスオーバー(19インチタイヤ装着車)

トヨタ クラウンクロスオーバー。「クロスオーバー」と名乗ってはいるが、なんといってもやはりクラウン。特に19インチタイヤ装着車の乗り心地は快適

 そこで3列目に限定せず、SUVの後席について、快適な車種を取り上げてみたい。

 後席の広いSUVは多いが、乗り心地も快適な車種になると選択肢は限られる。SUVは重心が高くボディも重く、走行安定性を確保するために、足まわりが硬めの設定になりやすいからだ。

 その意味でクラウンクロスオーバーに2.5Lのハイブリッドを搭載するアドバンストなど、19インチタイヤ装着車の乗り心地は快適だ。時速50km以下では路上のデコボコを少し伝えるが、段差を通過した時の突き上げ感は抑えた。

 クラウンクロスオーバーは、前述のようにSUVのスタイルながら、ボディ形状はセダンになる。後席とトランクスペースの間に骨格と隔壁があるため、ボディ剛性を高めやすく、後輪が転がる時に生じる騒音も乗員に伝わりにくい。後席と荷室が一体になった一般的なSUVに比べると、乗り心地と静粛性で有利になる。

 クラウンクロスオーバーは後席も広い。身長170cmの大人4名が乗車した時、後席に座る乗員の膝先には、握りコブシ3つ分の空間ができる。

 先代クラウンも広い部類に入ったが、握りコブシ2つ半だから、クラウンクロスオーバーはさらに余裕を持たせた。頭上にも握りコブシ1つ分の空間があり、着座姿勢は腰が少し落ち込むものの、快適性は満足できる。先代型から乗り替えても、後席の不満は生じないだろう。

■後席の快適なクロスオーバーSUV:マツダ CX-8

マツダ CX-8。足まわりを比較的柔軟に伸縮させることもあり、乗り心地は快適。6人乗りを選ぶと2列目シートがセパレートタイプのシートになり、ちょっとしたセレブ気分が味わえる

 CX-8は快適性に重点を置いて開発された。外観はCX-5のロング版に見えるが、実際には海外で売られるCX-9をベースに、全幅を狭める手法で造られている。

 ホイールベース(前輪と後輪の間隔)は2930mmだから、前輪駆動のプラットフォームを使ったSUVでは長い部類に入る。足まわりを比較的柔軟に伸縮させることもあり、乗り心地は快適だ。

 またCX-8では、6人乗りを選ぶと、2列目シートがセパレートタイプになる。特に最上級のエクスクルーシブモードでは、2列目の中央にカップホルダー、USB端子、小物入れなどをセットしたアームレスト付きコンソールも装着される。

 身長170cmの大人4名が乗車した時、2列目を後端までスライドさせると、その膝先には握りコブシ2つ半の空間が確保される。3列目は前述のように膝が持ち上がるが、2列目は、乗り心地、座り心地、見栄えとも快適かつ上質に仕上げた。

■後席の快適なクロスオーバーSUV:レクサス LX

レクサス LX。ランドクルーザーをベースにボディ剛性などを高めた悪路向けの上級SUV。ショックアブソーバーの減衰力が自動調節され、路上の細かな凹凸を柔軟に吸収する

 レクサス LXは、悪路向けの上級SUVだ。ランドクルーザーをベースに、ボディ剛性などの機能をさらに高めた。エンジンはV型6気筒3.5Lツインターボで、価格は1250万~1800万円に達する。

 生産規模が少ないために、レクサスLXは納期が遅延して、今は販売を中止している。つまり実質的に購入できないが、後席が快適だから、取り上げておきたい。

 乗り心地は快適で、路上の細かなデコボコを低速域まで含めて柔軟に吸収する。ショックアブソーバーの減衰力も自動的に調節され、悪路向けのSUVらしいリラックスできる足まわりに仕上げた。

 悪路向けのSUVだから、床は高めで、後席に座ると膝が持ち上がって腰は落ち込みやすい。後席の膝先空間は、前述の測り方で握りコブシ2つ分だ。

 ボディが大柄な割に広々感は乏しいが、後席に座る乗員の足が前席の下に収まりやすく、窮屈には感じない。内装の仕上げを含めて、後席は快適だ。

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