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インディアンレッドに塗られた「真っ赤なポルシェ」がオークションに出品されていた。このポルシェ911 GT3ツーリングのインテリアはポルシェ エクスクルーシブ マニュファクチュールのもので、2万ユーロ(約300万円)近くも追加費用がかかっている。

「ポルシェ911」の赤は、決して一般的な色ではない。近年は、GTのオーナーも大胆になった人が多いようだが、特に「GT3ツーリング」については冒険せずに、慎重に設定されることが多いようだ。

bringatrailer.comに出品されていた、このアメリカの「GT3ツーリング」の最初のオーナーは、そんなことはまったく気にしていなかったようだ。そこで彼は、翼のない「GT3」を「インディアンレッド」でオーダーしただけでなく、ポルシェが「ネオディム」と呼ぶゴールドのホイールと全体を組み合わせたのだった。

20/21インチのセンターロックホイールは、このGT3では「ネオダイム(Neodyme)」仕上げになっている。1,190ユーロ(約18万円)の追加費用。

2万ユーロ(約300万円)弱のプラスアルファのインテリア

さらに目を引くのが、眩しいブルーのインテリアだ。これは、ポルシェ エクスクルーシブ マニュファクチュールによって、カスタマイズされた純正エクスクルーシブ仕様で、オプションのフルバケットシートは、ドアパネルやダッシュボード下部と同様、「リビエラブルー」の表皮が張られていて、費用は15,350ユーロ(約230万円)相当となっている。

ポルシェ エクスクルーシブ マニュファクチュールによりカスタマイズされたインテリア。眩しいリビエラブルーとレッドステッチで仕立てられている。

ステッチとシートベルトを赤でオーダーし、さらに3,650ユーロ(約54万円)の追加費用がかかったというから、ワイルドとしか言いようがない。しかし、このワイルドな色の組み合わせは、我々の目には驚くほどうまく映り、黒やグレー、シルバーの個体が多い中で、ほっとするような存在とも言える。

GT3ツーリングに搭載された数々の追加装備とオプション

最初のオーナーは、どんな費用も惜しまず、510馬力の「GT3」を非常にうまく仕上げている。注目すべきは、ブラックブレーキキャリパー付きPCCB、カーボンルーフ、フロントリフト、スポーツクロノパッケージ、カーボンアウトサイドミラーキャップ、エクスクルーシブ デザイン リアライト、Boseなどなど。

結果的に「GT3」には5万ユーロ(約750万円)を大きく超えるエキストラが投入され、購入時の最終価格は218,590ユーロ(約3,280万円)になったそうだ。また、「ツーリング」には7速PDKではなく、6速MTがオーダーされたことも特筆すべき点である。

走行距離数はわずか248km

しかし、オーナーはマニュアルギアボックスの「GT3ツーリング」を本当に楽しんでいなかったようで、「911」は2022年9月まで納車されず、スピードメーターの走行距離がわずか248kmに相当する状態でオークションに出品されることになったのだった。

そうすると、「GT3」は最初からフリッピング、つまり純粋に金儲けのために発注されたのではないかという推測が成り立つ。もしそうだとしたら、この計画はうまくいったようだ。その落札価格は約30万ユーロ(約4,500万円)だ!

ツーリングパッケージはグースネックサスペンション付き固定ウィングが省略されている。

それならいっそ、定価(ドイツでは現在179,299ユーロ~)で、自分のアイデアで新型「GT3ツーリング」をオーダーしてみたらどうだろう。しかし、それも難しく悩ましい。というのも、GTモデルの需要は、供給をはるかに上回っており、発注しても、容易には手に入らないからだ。

992 GT3は定価を大きく上回る価格で取引されている

その結果、納期が非常に長くなり、中古車市場では定価を大きく上回る価格で取引されているのが現状だ。ドイツでは現在、最も安い「992 GT3ツーリング」が22万ユーロ(約3,300万円)で販売されている。しかも、走行距離8,000kmというだけでなく、5万ユーロ(約750万円)以上の価値のあるエキストラも搭載されていない。

レッドが似合うのはフェラーリだけではない。ポルシェ911 GT3ツーリングは、「インディアンレッド」がとてもよく似合う。

最後に、未来のオーナーに個人的なお願いだが、bringatrailer.comのコメント欄の提案に耳を傾けて、この「GT3ツーリング」を違う色に塗らないでほしい。この魅力的な佇まいは赤のおかげだと思う。

Text: Jan Götze
Photo: bringatrailer.com