未婚率の上昇に伴い、単身世帯が急激に増加しています。そんな単身者はさまざまなリスクが高いとされ、そのなかのひとつが「貧困」。特に定年を前にした50代の単身者は、事態も深刻だといいます。みていきましょう。
50代で単身者増加にみる、日本の惨たる現状
2020年に行われた『国勢調査』によると、単身世帯は2,115万世帯。そのうち男性は1,093万世帯、女性は1,021世帯で、やや男性単身者のほうが多くなっています。5年前、2015年調査では、単身世帯は1,841世帯(男性:960世帯、女性:881万世帯)でしたから、1割以上も増えたことになります。
年齢別にみていくと、30~40代は単身世帯は減少しましたが、20代と50代、そして65歳以上の高齢者では単身世帯が増加しています。特に増加しているのが50代で、5年前に比較して2割、増加しています。
【年齢別「単身者世帯数」】
20代:347万世帯(111.5%)
30代:229万世帯(98.9%)
40代:230万世帯(98.8%)
50代:251万世帯(120.2%)
60代:247万世帯(92.2%)
65歳以上:786万世帯(110.1%)
出所:総務省『令和2年国勢調査』より
※(かっこ)内は、2015年調査との比較
少子化による人口減少の影響が30~40代では顕著だったものの、未婚率の増加の影響が50代では大きいよう。ちなみに男女別・年齢別にみていくと、最も増えたのが50代女性の単身者で、5年前と比較すると24%増。理由別にみていくと、未婚が127%、別居(有配偶)が119%、離婚が115%、死別が93%。これは男性においても同じ傾向にあります。
50代、特に男性で少子化の影響よりも未婚の影響が上回っている理由として、考えられるのが「団塊ジュニア×就職難」という世代にあたることが考えられます。
団塊ジュニアは、団塊の世代のちょうど子ども世代にあたる世代で、1971~1975年生まれ、2022年には47~51歳にあたります。日本の人口には、2つのボリュームゾーンとなる世代がありますが、団塊ジュニアはそのうちのひとつです。
そして就職氷河期はバブル崩壊後の就職難の時代を指し、1993年から2005年卒業で就職活動に差し掛かった年代を指します。高卒であれば、1974年から1985年に生まれで、今年37~48歳になる人たち、大卒であれば、1970年から1980年に生まれ、今年41~52歳になる人たちです。
ボリュームが多く、就職難の初期にあたる50代。「大学を卒業したけど就職先がなく……」と、不本意ながら非正規社員で社会人をスタート。このまま結婚適齢期を迎えるも「お金がなく、結婚なんて考えられない……」。そうこうしているうちに、50代を迎えたという人が多いと考えられます。
未来を描くことができない非正社員の低賃金
貧困、介護、孤独……といった、昨今の日本の社会問題のリスク回避や解決において、重要な役割を担ってきたのが「家族」です(そこにも大きな問題が内包されていますが)。単身=身の回りの家族がいない、というわけではありませんが、二人以上世帯に比べてリスクへの対応は難しいといえるでしょう。
単身者の可処分所得の分布をみていくと、5人に1人が可処分所得100万円に満たず、月々8万円程度の生活費で暮らしているという状況。もちろん、持ち家か賃貸か、都会暮らしか地方暮らしか、働いているのか無職か……単身者といってもいろいろなので、一概にいうことはできませんが、厳しい暮らしを強いられている単身者が多いことが伺えます。
【単身世帯「可処分所得」分布】
100万円未満:21.6%/15.1%/26.3%
100万~150万円未満:20.2%/18.2%/21.6%
150万~200万円未満:17.3%/15.8%/18.4%
200万~250万円未満:13.6%/13.6%/13.7%
250万~300万円未満:8.2%/9.3%/7.3%
300万~400万円未満:7.7%/12.0%/4.5%
400万~500万円未満:4.4%/6.0%/3.3%
500万~600万円未満:2.8%/3.3%/2.5%
600万円以上:4.4%/6.5%/2.7%
出所:厚生労働省『令和3年国民生活基礎調査』より算出
引用元: ・手取り12万円「今日はお肉が食べられた…」大卒50代・非正規、あまりに悲惨な極貧生活 [愛の戦士★]
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