もっと詳しく

 なでしこトラッカーのPUNKさんは、アメリカに渡ってトラックドライバーをしている日本人女性ですが、今では、自分のトラックとトレーラを保有しているオーナーオペレーター(O/O)です。

 愛車のフレイトライナー・カスケディアがけん引するのは53フィートのトレーラ。53フィート=16.15mは、さすがにデカすぎて日本じゃ走れません。

 そんな長大トレーラにいったい何を積んでいるのか、PUNKさんにアメリカントラックの積み荷のアレやコレやを聞いてみました。

文・写真/なでしこトラッカーPUNKさん
*2021年3月発行トラックマガジン「フルロード」第40号より


冷蔵物以外なんでも運びます

 私の引っ張っているトレーラは53フィートのドライバン。メーカーはWabashの2007年式です。

 個人事業主のO/Oですから、冷蔵物以外なんでも運びます。 

 今までアメリカでOTR(オン・ザ・ロード=長距離ドライバーのこと)をしていて、いろんな荷物を積んできましたが、荷主さんのところで積む前に、いつも必ず気を付けていることがあります。

 特に食品関係を扱うところでは、トレーラ内のゴミや塵、匂い、ダメージがあって穴が空いたりしてないかなど、積む前に内部を検査するところもあるので、ブラシで掃いてゴミを取ったりします。

 ブラシでは取りづらい細かい塵やなかなか落ちない匂いがある場合は、事前に洗車場に行ってトレーラの中をウォッシュアウトしたり、屋根や床に酷いダメージがあれば修理しなければなりません。

 積む直前にトレーラがリジェクト(拒否)されれば荷物をキャンセルしなくてはなりません。そうなるとお客さんやブローカーにも迷惑をかけてしまいます。なので、なるべくベストな状態で現場に入るようにしています。
 
 そのおかげで今まで一度もリジェクトされたことはないのですが、中にはそれを怠っている会社、またはオーナーやドライバーもいて、時々ですが門前払いされているのを見かけます。 

さまざまなものを運ぶオーナーオペレーターだからこそトレーラを清潔に保つことは大切

トレーラ番号は007

 各会社のトレーラには、外側や中の目に付くところに持ち主が決めた番号をステッカーなどで張り付けなければならず、伝票にも必ず記載されます。

 これは、間違えて別の行先のトレーラに荷物を積み込まないように作業員が確認できるようにするためです。

 その他にもトラックストップで重量を測る時やトレーラを修理に出したりする時にも、その番号を聞かれます。

 私の場合は、買ったトレーラが2007年式なので、覚えやすいように「007」という番号を付けました。

 たまたま思いついたのがこのナンバーだったのですが、かの有名なあの映画「007」と同じなので、受付の方に「アハハ! ダブル・オー・セブンね!!」とよく言われます(笑)。

積み荷はさまざま 汚れもさまざま

 パレット積みで汚れなさそうな荷物でも、袋に入った粉物や廃棄物、穀物など、降ろした後に見てみると少しこぼれ落ちてたりして、けっこう床の隙間に入り込んでしまうんですよね。

 フォークリフトで降ろす時に、引っかかって削れたパレットの細かい木クズがよく散らばっていたりしますが、コレはすぐブラシで取れるので掃除しやすいかな~。
 
 いつだったか、アルミや鉄くずのリサイクル屋さんに行った時は、降ろした後にたくさんの鉄くずが残っていて、ブラシでは掃けないので、大きな袋に3つ分くらい、手作業で一生懸命拾い集めたことがありました。

 ゴミ箱に持って行くとき凄く重かったです。コレ、銀貨だったら捨てないで取っておくんだけどなぁ~、なんて思ったりして(笑)。

 積んだ荷物で一番汚れて取りづらいなと思うのは、やっぱり粉物でしょうか。特にバラ荷(粉物や細かい木材、オイル、リサイクル品、土類など)は、中を水洗いしても汚れや細かい粒子が床の隙間に入り込んで中々取れないんですよね~。でも、できる限りのことはします。

ユニークな積み荷アレやコレや

 今までの荷物の中でユニークだったな~っていう荷物を思い出すと、電動で動く恐竜の置物、日本メーカーのKONAMIのスロットマシーンをカジノまでとか、コンサートに使う機材などなど。

 あっ、そうそう! 会員制の大手ショッピングセンターからショッピングカートをトレーラのルーフギリギリまで積み重ねて積んだ思い出もあります。

この日の積荷は恐竜!! なんだって運んじゃいますよ!

 モノが何だったかは忘れちゃったんですけど、コレどうやって積み降ろしするの、っていうながーい荷物もありました(画像ギャラリーの写真をご覧ください)。その時は、フォークリフトに付けた特殊な爪を穴に差し込んで引っ張り降ろしていました(笑)。

 私は以前、日本でもアメリカでもキャリアカーに乗っていました。もちろん積み荷は毎日クルマでしたが、それでも「今日はどんな車種を積むのかな~~!」っていう、チョッとしたワクワク感がありました。

 そういう些細な楽しさを見つけて、今後もできるだけ長く楽しみながら続けていけたらいいな~って思います! さーて、明日は何を積むのかな?

投稿 アメリカではドデカいトレーラにこんなものを積んでいた! なでしこトラッカーに聞く米国のトラック積み荷事情自動車情報誌「ベストカー」 に最初に表示されました。