Lenovo Slim 9i 14は最強のマルチメディア向けラップトップ
良い点 | 悪い点 | 評価 |
2.8Kと4Kの素晴らしいOLEDディスプレイ | USB-Aポート非搭載(USBハブ付属) | 9.2/10 |
美しいデザインと確かな品質 | X1 Carbonに比べると少し重い | |
優れた音質 | 価格 | |
最高の生産性パフォーマンス | 1759ドル〜 |
新しい「Lenovo Slim 9i 14」は、2つの目的を念頭に置いて作られました。1つ目は、市販される初のカーボンニュートラルなラップトップだということです。2つ目は、多くのリサイクル可能な素材で作られているにも関わらず、最高のエンターテインメント体験とモバイルラグジュアリーを提供することです。今回のレビューでは、Lenovoが採用した選択肢とデザイン戦略を確認し、それが実際に市場と合致しているのかを見て行きます。
Slim 9iのスペック
Lenovoは、Slim 9i 14のハードウェアオプションを非常にシンプルに構成しているので、購入を検討している人はそれについて心配する必要はありません。用意されているのは、プロセッサが1種類(統合グラフィックス)と2つの素晴らしいOLEDディスプレイのオプションだけです。RAMは16GB/32GB、ストレージは512GB/1TBと、ニーズに応じて簡単に選択出来ます。
今回レビューに使用しているモデルは、Intel Iris Xeグラフィックスが統合されたIntel Core i7-1280P(高性能コア6個+高効率コア8個)を搭載しています。また、RAM 32GBとストレージ1TBを備えていますが、メモリやストレージが少ないモデルと比較した場合、これらはベンチマークのパフォーマンスには影響しません。
2つのディスプレイオプションには、2.8K(90Hz)と4K(60Hz)のOLEDパネルが用意されており、リフレッシュレートと解像度を除けば同じの性能となっています。ディスプレイの項目で、さらに詳細を確認しているので、そちらをご覧下さい。
Lenovoは、低い電力使用量でも性能を引き出せるように電力とディスプレイの設定をスマートに管理する「A.I. Core 2.0」を導入しています。人が沢山いるような場所でも、ユーザーが席を立つのを検知すると、セキュリティと節電のためにコンピューターを即座にロックします。
製品デザイン
Lenovo Slim 9i 14のデザインは、このラップトップにおける最も心躍る部分の1つで、今年見た他のラップトップとは一線を画す独自の外観と質感に仕上げられています。
Slim 9i 14は、湾曲したエッジとディスプレイ背面の強化ガラス面を備えており、スマートフォンのような作りになっています。ガラスの質感によって、非常に滑らかでエレガントな見た目に仕上がっていると同時に、ガラスはアルミよりも小さな傷に強く、掃除が簡単です。残念ながら、扱いを誤ると割れる可能性もあります。
Lenovoは、ラップトップを出来るだけ新品に近い状態に保ちたいと思うユーザーのために、お洒落なラップトップケースも同梱しています。ガラス面は、高さ50cmからの落下にも耐えるようテストされていますが、落とさないよう気をつけるのが良いでしょう。ラップトップケースにはペンホルダーが付いていますが、残念ながらこのラップトップはスタイラスペンには対応していません。スタイラスペンを使いたいという方は、同じく新型の「Yoga i9 14」をご覧下さい。
非常に滑らかでエレガントなガラスの質感
丸みを帯びたエッジのおかげでラップトップは非常に持ちやすくなっており、持ち運ぶ際にはその快適性が高く評価されるでしょう。本体の厚みはわずか14.9mmで、スマートフォンを2つ重ねた程度しかありません。
このラップトップの設計の大きな特徴は、製品の二酸化炭素排出量の計算方法を定義するISO 14067:2018規格に準拠した「世界初のカーボンニュートラルなラップトップ」だということです。製品パッケージに使用されている紙も、FSC認証を受けています。
このラップトップをカーボンニュートラルに作り上げるということは、エンジニアリングによる素晴らしい技術的偉業であり、ビジネス的にも可能性を秘めた方向へと進んでいます。多くの企業は、投資家を満足させるためにESG(環境、社会、ガバナンス)目標を達成する方法を探しています。
”カーボンニュートラルなラップトップ”という技術的偉業
このラップトップの本体サイズは、315 x 214.4 x 14.9mmで、そのカテゴリの中でも非常にコンパクトなコンピューターに仕上がっています。アルミニウムとガラスで作られているので、その重量は1.37kgですが、超軽量ラップトップである「ThinkPad X1 Carbon」および「ThinkPad X1 Carbon Nano」よりは重くなっています。
Slim 9i 14は軽く、手に取れば「高品質な素材」が使われていることがすぐにわかるでしょう。少し興味があるだけでも、機会があれば店頭で実機を確認することをお勧めします。
キーボードとトラックパッド
キーボードは、Lenovoが一般消費者向けのハイエンドモデルで使用しているものと同様です。Smile-Shapeキーは、キートラベル0.9mm(推定値)で、しっかりとした快適な打ち心地を提供します。このキーボードのバックライトは、2段階のモノクロLEDとなっています。
ガラス製トラックパッドは、新しいThinkPad X1 Carbonよりも最大50%大型化しており、Lenovoにとって大きな変更です。3本または4本の指を使った複雑なジェスチャーにも最適で、作業で頻繁に使う人にとっては嬉しいトラックパッドと言えます。
ポート類
特にThunderbolt 4を使用している人にとって、3つのUSB-Cポートを搭載しているのは便利です。3.5mmオーディオプラグも搭載しており、LenovoはUSB-Cマルチポートアダプタ(VGA、HDMI、USB-A対応)も用意しています。
サウンド
Slim 9i 14にはDolby Atmos対応の4つのスピーカーが搭載されており、下部に2つのウーファー(3Wx2)とキーボード両側に2つのツイーター(2Wx2)を備えたBowers&Wilkins製のサウンドシステムとなっています。
世界トップクラスのオーディオ体験
そのスピーカーセットは、同じサイズのラップトップだけでなくあらゆるサイズのラップトップと比較しても、世界トップクラスのオーディオ体験を提供します。例えば、その音質は17インチの大型ゲーミングラップトップよりも遥かに優れており、それは驚くべきことです。
それは、Lenovoがこのラップトップ向けに採用した高音質の部品とチューニングの証です。結局のところ、オーディオは音の物理に依存しており、大型のラップトップの方が優れた強力なオーディオ性能を備えている可能性がありますが、実際はそうではありません。
ディスプレイ
私達がテストを行った「Lenovo PureSight 4K OLEDディスプレイ」は、素晴らしいものです。もちろん、これまで聞いてきたOLEDの利点を全て備えています。強烈な黒と優れた色の再現性は、特に薄暗い環境で、このラップトップを完璧なエンターテインメントメディアにしてくれます。
PureSightは、最高のフラットパネルの品質レベルを表すLenovoの独自規格です。技術は時間と共に進化しますが、PureSightはその時点におけるワークステーションレベルのディスプレイであることを表しています。
屋外のような明るい環境では、ディスプレイが表現出来る全てのニュアンスを認識するのはより困難です。このディスプレイは仕様では400ニトとなっていますが、実際に計測したところ558ニトで嬉しい誤算となりました。どちらのオプションも光沢ディスプレイであるため、非光沢ディスプレイに比べて色やディティールの見え方が良くなりますが、光の反射率が高いことが欠点です。
16:10の画面比率によって垂直方向のスペースが少し増えており、これは2022年のハイエンドラップトップの標準的な仕様となっています。DCI-P3のカバー率100%、sRGBのカバー率125%という色精度の高さとX-Riteのカラーチューニングによって、最高の条件下で作品を表示する必要がある2Dグラフィックスの専門家のニーズにも間違いなく応えることが出来ます。
1080pのウェブカメラは、従来の720pから進化しており、顔認証で安全にログインするための赤外線センサーを備えています。ラップトップ右側には、プライバシー保護のための物理シャッタースイッチも搭載されています。ウェブカメラのオン/オフをファンクションキーで切り替えるには、Windowsの設定を変更する必要がありますが、それによってログアウトされている状態でもカメラのオン/オフを切り替えることが可能になります。
このラップトップには遠距離マイクが搭載されているため、あらゆる方向からの音を録音出来るように最適化されています。これは当初、MicrosoftのCortanaやAmazonのAlexaといった音声アシスタントをサポートするために追加されました。
パフォーマンス
Slim 9i 14の”i”はIntelを意味しており、このカテゴリのラップトップ向けに用意されている中で最も性能の高いプロセッサの1つである「Intel Core i7-1280P」が搭載されています。私達のデータでは、i7-1260P(X1 Carbon)やi7-1230U(Dell XPS 13)よりも大幅にパフォーマンスが向上します。
あらゆる作業やマルチメディアは簡単かつ迅速に処理されます。ただ、このプロセッサは2DグラフィックスのデザインやWEB開発にも非常に適しています。32GBのRAMと1TBのストレージオプションが用意されているので、軽い動画編集も可能ですが、専用GPUは搭載していないので、動画編集で出来ることは制限されるかもしれません。
ThinkPad X1 Carbon Gen10等の法人向けラップトップでは、ディスクの読み書き速度がより高くなっており、それによって動画ファイルの圧縮等の負荷の高い作業でも生産性が多少向上する可能性があります。ただし、Slim 9i 14のディスクの読み書き性能は、一般消費者向けラップトップの中では非常に優れています。
バッテリー
PCMark 10 Modern Officeでバッテリーテストをしたところ、輝度110ニトの状態でオフィスワークを連続460分(7.6時間)行うことが出来ました。ただ、消費電力の多い4K OLEDディスプレイである、というのが重要なポイントです。2.8Kディスプレイでは9.5時間以上バッテリーが持続する可能性がありますが、実際に計測したわけではありません。
Lenovoは、輝度150ニトでローカルファイルの動画を再生した場合、4Kモデルが11.5時間、2.8Kモデルが11.7時間、それぞれ連続使用出来ると説明しています。どちらも現実的な数値ですが、それは最高の条件下での話です。
14インチの薄くて軽い筐体にしてはかなり大きい75Wのバッテリーを備えていることから、Lenovoはこのプロセッサとディスプレイを採用しながら、ほとんどのユーザーにとってストレスの無いバッテリー寿命を実現出来ると説明しています。
65WのコンパクトなACアダプタが付属しており、「EZQuest UltimatePower 90W GaN Wall Charger」のようなサードパーティ製のUSB-PD対応アダプタを使用することも出来ます。
基本的な作業にしか利用せず、より長時間バッテリーを維持したいという方は「ThinkPad X13s」もチェックすることをお勧めしますが、Slim 9i 14で想定されている使用状況とは全く異なります。
まとめ
Lenovo 9i 14は、小型のフォームファクタの中に”最高のエンターテインメント”を詰め込んだ、高級感のあるカーボンニュートラルなラップトップを目指して設計されています。その観点から言えば、その目標を達成されており、おそらくそれ以上の仕上がりとなっています。
このラップトップは、14インチというサイズで究極のディスプレイとサウンド体験を提供する、マルチメディアの化物です。娯楽用途だけでなく、2Dグラフィックをデザインするワークステーション、WEB開発を行うウルトラモバイルラップトップとしても十分に使用出来るRAMとストレージのオプションが用意されています。
データによると、Slim 9i 14は新しいYoga 9iと比較されることが最も多く、それには正当な理由があります。内部的には、両方のコンピューターに多くの共通点がありますが、Yoga 9iにはスタイラスペンの対応に加えて、360度回転するヒンジ機構という特徴があります。
絶対的なマルチメディアの化物
Dell XPS 13も、人気のある比較対象です。ただ、私達はそのユースケースは異なると考えています。XPS 13は、Slim 9iよりも大幅にコンパクトですが、それは13.3インチだからです。XPS 13のCPUオプションはそれほど強力ではなく、OLEDディスプレイのオプションもありません。どちらかと言えば、X1 CarbonやX1 Nanoの競合となるかもしれません。
Lenovoがこの製品で取り組んだ点を私達は高く評価しており、製品デザイン、ビルドクオリティー、厳選されたテクノロジー等、感銘を受けました。
この記事は、編集部が日本向けに翻訳・編集したものです。
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