葉梨法相が9日夜、自らも所属する自民党岸田派議員のパーティーに出席した際に、「(法相は)朝、死刑のハンコを押して、昼のニュースのトップになるのはそういう時だけ」と述べた失言が波紋を呼んでいる。7日には読売新聞の世論調査で、政権支持率が前月比で9ポイントもダウンした岸田首相にとっては、さらなる打撃になった。
一夜明けた10日午前、葉梨氏は官邸で松野官房長官から厳重注意を受けた後、記者団の取材に応じた。パーティーの開催者は武井俊輔外務副大臣だったが、今回の発言の意図について、法務省が外務省と比較しても「極めて大切な行政であるということを全体としては申し上げた」と釈明。その上で閣僚としての発言でありながら軽率だったことを認めた。
岸田首相は葉梨氏の続投を認めたものの、葉梨氏には自民党内からも「政権を支えようと言っている時に大変不愉快だ」(遠藤利明総務会長)などの批判の声が上がっており、今後の世論の成り行きによっては炎上が続きかねない情勢だ。
そして、そんな葉梨氏が、自民党が野党時代だった2011年1月14日に書いていたブログに注目が集まりつつある。それは当時の民主党政権の菅直人首相による第2次改造内閣が発足した当日の記事で、次のように記述した。
昨年、柳田元法相が、「法務大臣は楽な仕事。国会答弁は、『個別事案の答弁は差し控える』と『法と証拠に基づき適正にやっている』という2つのフレーズでOK。」と発言して顰蹙を買い、辞職したことは記憶に新しい。
これは菅直人第1次改造内閣で法相だった柳田稔氏が、地元選挙区での国政報告会で自らの職務や国会対応について「軽視」しているとして前年に問題になった発言を指している。柳田氏はこれにより就任から2か月足らずで辞任に追い込まれた。
葉梨氏は、当時の内閣改造で交代となった国家公安委員長のことも挙げながら、「まあこの2大臣のように、閣僚としての適性を欠く方を交代させるのは当然のことと思うが」とも呆れたように綴っていた。当時の論評がブーメランとなって跳ね返り、その進退に影響する可能性もありそうだ。