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 モリタグループの特装車メーカー、モリタエコノスから、強力吸引車「パワフルマスター」の新型が発売された。同社が強力吸引車のフルモデルチェンジを行なうのは実に12年ぶりだ。

 新型は、労働力不足や長時間労働などの社会的課題を背景に、基本性能を底上げするとともに外装デザインも一新。外装デザインは、消防はしご車や消火器で有名なモリタグループの専属デザイナーの手によるもので、機能とスタイルを高い次元で両立しているのが持ち味。

 機能美溢れる新型パワフルマスターの進化のポイントを取材した!

文・写真/トラックマガジン「フルロード」編集部
※2022年9月12日発売「フルロード」第46号より


強力吸引車とは?

12年ぶりにフルモデルチェンジしたモリタエコノスの強力吸引車「パワフルマスター」

 空気は、圧力が高いところから低いところへ移動する性質を持つ。これを利用したのが真空ポンプだ。この真空ポンプを搭載した特装車がバキュームカーで、バキュームカーの楕円形タンクを固形物の排出がしやすい丸形とし、ダンプ機構を搭載したのが汚泥吸引車。

 そして、汚泥吸引車に風の力を利用して、より大きな固形物を吸い込む機能を搭載したものが強力吸引車だ。強力吸引車は、下水道や側溝の汚泥の吸引や、建設現場で発生する残土の吸引など、幅広い用途で用いられる。

 モリタエコノスは汚泥吸引車を「バキュームダンパー」、強力吸引車を「パワフルマスター」として展開。パワフルマスターの従来型「スマートシリーズ」は2010年に発売されており、フルモデルチェンジは実に12年ぶりとなる。

 新型「セレクトシリーズ」は、労働力不足や長時間労働などの社会的課題を背景とする作業現場の生産性向上や、作業環境改善、および外国人労働者をはじめとする労働力の多様化に対応するべく、吸引力の向上、低騒音化、操作性の向上などを図っているのが特徴。

 ちなみにサブネームのセレクトシリーズは、「(ユーザーに)選ばれる」や「多彩なオプションが選べる」ことにちなんだものだ。

新型パワフルマスターの進化のポイント

 セレクトシリーズの最大の特徴は、市場の「もっと高性能に」「もっと高効率に」という声に応えて吸引力を向上した点。

 具体的には、配管レイアウトを見直して空気抵抗を低減するとともに、数十回におよぶ流体シミュレーションを繰り返し独自設計した高効率排気サイクロンを採用し、吸引風量を従来比16%向上。

 併せて各部の振動低減、配管の固定方法の見直し、制振塗料の採用などで強力吸引車特有の大きな風切り音も低減。音量は、高負荷〜アイドリングの全域で従来比約5デシベル低減しているという。

 いっぽう、操作系に関しては、多機能かつ操作性に優れる液晶マルチモニターを初採用。キャブバック左側に配置される液晶マルチモニターは、労働力の多様化に対応するべく、誰でも直感的に操作できるユニバーサルデザインを採用。

 人間工学に基づくボタン配置や、ピクトグラムを採用したボタンアイコンの本格的な採用は、同社の特装車として初という。なお、従来型から引き続き採用される電子制御スロットルは、あらかじめ設定した回転数をワンタッチで呼び出すことができるプリセット機能を新採用した。

一新された外装デザインにも注目!

 新型は「長く使える、シンプルで機能的なデザイン」をコンセプトに外装デザインも一新。縦型テールランプを新採用することでハッチガードからの吐出量を低減し、一体感も創出した。

 また、吸管受けは作業従事者の腰の負担などを軽減するため従来より低い位置に搭載。後部吸管受けにはナンバープレートとバックアイカメラを搭載し、後方視認性も向上した。ちなみに取材したデモカーの車体カラーはモリタエコノスのオリジナルで、名前は「セイリューグリーン」という。

 ラインナップは理論風量(いずれも毎分)12リューベ、24リューベ、50リューベ、75リューベの4種類で、架装ベースは12リューベ、24リューベ、50リューベがGVW8t級、75リューベがGVW22t級。

 販売はまずGVW8t級ベースの50リューベモデル(タンク容量2.8〜3.0リューベ)を先行して行ない、2022年度中にフルラインナップが出揃う予定という。

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