日野自動車に対し、8月から立入検査を行なっていた国土交通省は、9月9日、同社の業務体制の抜本的改革を促す「是正命令」を発出した。
また、立入検査の結果から、小型・中型トラック用および中型・大型バス用のエンジン計3機種などについては、排出ガス性能が基準に適合していることが確認できたとして、出荷の再開を認めた。
文/トラックマガジン「フルロード」編集部、写真/国土交通省、「フルロード」編集部
小型・中型トラックの出荷再開を認可
出荷再開が認められたトラック・バス用エンジンは、4.0リッター直4エンジン「N04C(HC-SCR)」、5.1リッター直4エンジン「A05C(尿素SCR)」、5.1リッター直4エンジン「J05E(尿素SCR)」の3機種。いずれも日野自動車で行なわれた認証試験の測定方法に誤りはあったが、正確に測定された再試験で排ガス規制に適合していたことを、国交省が確認した。
搭載モデルとしては、N04C(HC-SCR)が小型トラック「デュトロ」、J05E(尿素SCR)が中型路線バス「ポンチョ」、A05C(尿素SCR)が中型トラック「レンジャー」240ps車および260ps車、中型バス「メルファ」、大型観光バス「セレガ」全長9m車、大型路線バス「ブルーリボンハイブリッド」となる。
また、デュトロのトヨタ・ブランド車「ダイナ」、メルファのいすゞ・ブランド車「ガーラミオ」、セレガの同「ガーラ」9m車、ブルーリボンハイブリッドと同じパワートレインを搭載する「エルガハイブリッド」の出荷再開も可能となる。
このほか、建設機械用の5.1リッター直4エンジン「J05E(尿素SCR)」2機種と7.7リッター直6エンジン「J08E(尿素SCR)」2機種の計4機種も出荷再開が認められている。
エンジン3機種が型式指定取り消しへ
いっぽう、9月9日にリコールが発表された大型トラック・大型バス用12.9リッター直6エンジン「E13C」1機種と、建設機械等用12.9リッター直6エンジン「E13C」2機種と同じく10.5リッター直6エンジン「P11C」は、排出ガス性能が基準に満たないことから型式指定を取り消す。
そのため、すでに型式指定を取り消されたエンジンを含めて、大型トラック全車、大型観光バス12m車、大型連節バス、中型トラック190ps車および210ps車は出荷停止のままであり、主力製品の多くが生産できない状況が続くことになる。また、これまで日野自動車がエンジン(生産終了)を供給してきたトヨタ自動車の小型バス「コースター」も出荷が止まっている。
改革実施の報告を義務づけ
今回の是正命令は、国交省が道路運送車両法に基づいて発出した行政処分で、同日、日野自動車の小木曽聡社長を国交省に呼び出し、斉藤鉄夫国交相が直接交付した。
日野自動車に対する是正命令は、型式指定申請における不正行為を再発させないための防止策を1カ月以内に策定するとともに、その実施状況についても3カ月ごとに報告することを義務づけている。
なお、是正命令にあたっては、一連の不祥事に対して「極めて悪質かつ杜撰」「ユーザー、サプライヤなどの関係者、さらには国民の信頼を裏切るもの」「我が国の製造業への信頼をも傷つけるもので極めて遺憾」と強く批判し、同社の一部署だけの問題ではなく、組織風土や体質に重大な問題があると指摘している。
トヨタ、日野小型エンジン認証業務で協力
トヨタ自動車は同日、トヨタグループの一社である日野自動車への是正命令を受けて、「トヨタとしても、日野がステークホルダーの皆さまの信頼に足る企業として生まれ変われるのか見守っていく」とのコメントを発表、8月30日に日野自動車が協力を要請していた「小型トラック用エンジンの認証業務」については、「支援可能な領域や業務を通じて協力やサポートを行う」と表明した。
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