ついにAirPods Pro(第2世代)が、8日の「Far Out」イベントで発表された。ノイズキャンセリングの強化や音質向上、バッテリー持続時間の改善やイヤホン単体によるボリューム調節など、長年のユーザーの要望に応える数々のアップデートが話題となっている。
その一方で、噂されていたLE Auditoや新コーデックのLC3、ロスレス伝送への言及はなかった。一部からは肩透かしとの声もあったが、アップルがBluetoothとは別の独自プロトコルを開発しており、いずれ「AirPodsでのロスレス再生」が実現するとの予想が報じられている。
アップルがLC3とLE Audio対応に取り組んでいる可能性は、iOS 16ベータ版からも手がかりが見つかっていた。そもそもLE Audioの規格には同社の上級エンジニアが深く関わっており、新AirPods Proでの対応が検討されていたとしても不思議ではない。
またアップルは独自開発のロスレスオーディオ技術AAC(Advanced Audio Codec)を、すでにiPhoneやiPadに実装している。「スタジオで録音されたオリジナルの音源と実質的にほぼ変わらないオーディオ」と誇られながらも、AirPodsシリーズについては「Bluetooth接続はロスレスではありません」として対象から外されているのだ。
その最大のネックとなっているのが、Bluetooth帯域の狭さである。かつてアップルの音響担当副社長のGary Geaves氏は、Bluetoothを直接に批判することは避けつつも、「もっと帯域幅が欲しいのは事実です」と歯がゆさをほのめかしていたことがある。
さて今回の情報は、アップルの社内事情に詳しいBloombergのMark Gurman記者が、ニュースレター「Power On」最新号で述べていることだ。Gurman氏は新AirPods Proを「初めて使う人にとって素晴らしい選択肢になりそうだ」と絶賛しつつも、ロスレス再生に対応していないことを惜しんでいる。
さらにロスレスオーディオを導入する上で、Bluetoothが「高音質のオーディオをストリーミングするには十分なパワーを持っていない」と指摘。しかし、アップルが社内で解決策を練っているのは「周知の事実」として、いずれ「Bluetoothの代わり」がロスレス再生を将来のAirPodsにもたらすと述べている。
それが現在のハードウェアの元でソフトウェア更新により追加されるのか、それとも数年後の次期AirPods Proを待つことになるのかは明らかにされていない。アップルがあらかじめ独自開発チップに隠し機能を搭載しておき、後にアップデートで有効にするのは珍しくないだけに、現行のAirPods ProやAirPods Maxでロスレス再生が実現することを期待したいところだ。
- Source:Bloomberg