世界的な半導体不足を要因とする、新車の納期遅延が続いている。新車が手に入らないため、ユーザーは中古車に選択肢の幅を拡大させた結果、中古車相場の高騰が起こっている。
そんな中古車相場の高騰の裏で、買い取り価格の上昇も起きているのではないかということで、リセールバリューの高い軽自動車10モデルを調べてみた。
選定方法は、5年落ちの2017年式の中古車の買い取り価格を新車価格で割った残価率とした。1車種の中で最も高い残価率を示したグレードによってランキングを作成した。
セールスが好調なスーパーハイトワゴンを抑えて、No.1に輝いたクルマははたして?
文/萩原文博、写真/AdobeStock(トビラ画像=xiaosan@AdobeStock)、ベストカーWeb編集部(※掲載写真は当該グレードと異なる場合があります)
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■10位:ダイハツ コペンセロMT車(残価率69.1%)
小型・普通車編では、10位のモデルでも残価率は70%台だったが、軽自動車の第10位は残価率69.1%でコペンセロのMT車がランクインした。
2022年6月に生誕20周年記念車を1,000台限定で発売したが、即完売となるなど軽オープンカーのコペンは安定した人気を誇り、残価率も高くなっている。
ちなみに、コペンセロのCVT車の残価率は65.3%。ビルシュタインサスペンションなどを装着したセロSのMT車の残価率は66.6%と、現行型コペンはほとんどのグレードで残価率60%をキープしているのだ。
2017年式なのでGR-SPORTはないが、このグレードならばさらに高い残価率を示すのではないだろうか。
■9位:スズキ アルトラパンL 4WD(残価率70.5%)
2022年6月に一部改良を行うと同時にレトロ感漂う新グレードの「ラパンLC」を追加したアルトラパン。2015年登場してから7年が経過しているが、ラパンL 4WDの残価率は70.5%と驚異の70%台をキープした。
アルファードなどのミニバンなどでは、4WDより2WDのほうが残価率は高くなる傾向があるのだが、軽自動車は4WD車優勢がトレンド。4WD車を設定している多くのグレードで4WDのほうが残価率は高くなる。これは軽自動車の中古車は4WDが圧倒的に少ないことが影響していると考えられる。
アルトラパンの興味深いところは、2WDより4WDが高いことではなく、グレードのよる買い取り価格の差が非常に小さいこと。したがって新車時価格の高い上位グレードではなく、スタンダードなLグレードの残価率が高くなっているのだ。
これはアルトラパンの場合、グレードによる装備差が小さいということも影響しているのではないかと言える。
■8位:ホンダ N-BOXカスタムG・Lパッケージホンダセンシング4WD(残価率71.4%)
この数年間、軽自動車の新車販売台数NO.1に輝いているホンダN-BOXがリセールバリューランキング第8位にランクイン。残価率71.4%を示したのは、N-BOXカスタムG・Lパッケージホンダセンシング4WDだ。
車両重量の重いスーパーハイトワゴンだから、ターボのほうが高いのでは? と考えてしまうが、自然吸気エンジンのカスタムG・Lパッケージホンダセンシング4WDがトップとなった。
旧型、現行モデル問わず圧倒的な中古車の流通台数を誇りながら、値崩れせずこの高い残価率をキープしているのは、さすがキングオブKカー。
ホンダセンシングを全車標準装備した高い安全性と、軽自動車の枠を超えた質感の高い造り込みや走りが人気の秘訣だ。
スーパースライドシートを採用したEXモデルは通常のベンチシート仕様よりも残価率が低いのがポイントだ。
■7位:スズキ エブリイワゴンPZターボスペシャル4WD(残価率73.3%)
日産 NV100クリッパーリオ、三菱 タウンボックス、マツダ スクラムワゴンと3社にOEM供給され、軽1BOX車では圧倒的なシェアを誇るのがエブリィワゴン。
しかし、これだけ世の中に流通していながら、エブリイワゴンPZターボスペシャル4WDの残価率は73.3%で、リセールバリューの高い軽自動車の第7位となった。ちなみに、OEM供給された日産のNV100クリッパーリオも50%後半の残価率を実現している。
N-VANやスペーシアベースなどFFベースのビジネスモデルが登場しても、FRベースの軽1BOXの牙城を崩すのは厳しいかもしれない。
■6位:スズキ ハスラー G 4WD(残価率74.8%)
軽クロスオーバーの人気モデル、スズキ・ハスラーは2019年にフルモデルチェンジを行っており、残価率74.8%を記録したのは、旧型のハスラー G4WDだ。
ターボモデルや特別仕様車のJスタイルなどのほうが人気に感じるが、ベーシックな自然吸気車のG 4WDが最も高い残価率を示した。充実した装備が魅力のJスタイルでも残価率70%と非常に高くなっている。
現行モデルが登場して2年が経過し、中古車も出回るようになってきたので、旧型がこの高い残価率をキープするのは難しくなるだろう。また、旧型ハスラーは一部のグレードに5速MT車が設定されていたが、残価率は60%台に留まっている。
■5位:ダイハツ ムーヴキャンバス XリミテッドSAIII 4WD(残価率75.9%)
2022年7月にフルモデルチェンジを行い、新型が登場したムーヴキャンバス。従来の自然吸気エンジンに加えて、ターボ車を設定し、幅広い層にアピールしている。
旧型となったムーヴキャンバスだが、XリミテッドSAIII 4WDが残価率75.9%となり、リセールバリューランキングの第5位となった。このほかのモデルでも70%超えのグレードを続出している。
ムーヴキャンバスもアルトラパンと同様、グレードによる買い取り価格の差が小さくなっており、上級グレードだから買取価格が高いとは限らない。したがってGメイクアップよりもXリミテッドSAIII 4WDが最も高い75.9%となっているのだ。
ただし、フルモデルチェンジしているので、この高い残価率をキープするのは難しいというのが一般的だ。手放すならば早いほうがいいだろう。
■4位:スズキ スペーシアカスタムXSターボ2WD(残価率76.1%)
2017年12月にフルモデルチェンジを行い、現行型にスイッチしたスペーシア。現在、軽自動車の売れ筋モデルとなっている軽スーパーハイトワゴンの中でスペーシアカスタムXSターボ2WDが76.1%という最も高い残価率となった。
これまでのモデルで高い残価率を示したのは4WDが中心だったが、スペーシアカスタムは4WDよりも2WDが高くなっているのが特徴。
すでに、一部改良を行い外観のデザインを変更しているが、現行モデルなので残価率に大きな変動は起きないと考えられる。
■3位:スズキ ジムニーランドベンチャーMT車(残価率76.5%)
いよいよベスト3の発表だ。2017年式でリセールバリューの高いクルマ第3位となったのが、ジムニーランドベンチャーMT車で、残価率は76.5%となっている。
ジムニーといえば、2018年7月にフルモデルチェンジを行っているが、現在でも新車の納車期間は1年近くと長くなっている人気車種だ。
ランドベンチャーは装備の充実した特別仕様車だが、モデル末期の2017年頃はこのランドベンチャーしか販売されていなかった。
カタログモデルでもMT車の残価率は70%台、AT車でも60%台とジムニーは旧型となっても安定した人気となっている。
■2位:ホンダ S660αMT車(残価率76.8%)
軽自動車の残価率2位となったのは、2022年3月に生産終了した軽オープンカーのS660。その残価率は上級グレードのαのMT車で76.8%となっている。
2021年生産終了がアナウンスされた際には市場から中古車が姿を消して、中古車相場が高騰した。その後、平均価格は高値安定が続いている。
S660の中でこの76.8%の残価率を超えそうなのが、コンプリートカーのモデューロX。ファイナルバージョンは残価率80%を超えても全然驚かない。
■1位:スズキ アルトワークス4WD MT車(残価率80.7%)
軽自動車のリセールバリューの高いランキングでNo.1に輝いたのが、アルトワークスだ。アルトワークス4WDのMT車は、軽自動車で唯一残価率80%を超えている。
ベースとなるアルトは、2021年12月にフルモデルチェンジを行っているが、アルトワークスの登場はまったく耳にしていない。
絶版モデルとなったアルトワークスは2015年に登場。最大トルクを高めたエンジンをはじめ、1速から4速までクロスレシオ化し、専用開発の5速MT。
ステアリング操作に対して、リニアに応答する操作性やダイレクトな操舵感を実現した専用チューニングを施したサスペンションなど様々なチューニングが施されている軽スポーツカー。
アルトワークス2WD MT車の残価率は77.2%、4WD AGS車の残価率は64.7%となっている。
軽自動車でリセールバリューの高いベスト3は奇しくもすべてMT車となっている。特にS660やアルトワークスといったスポーツモデルは今後登場する可能性は低いので、買い取り価格が急落することは考えにくい。もしあなたがオーナーだったら大切に乗られることをオススメする。
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