東京大学が今月23日、仮想空間「メタバース」を活用して工学の専門教育を受けられる「メタバース工学部」を開設する予定で、ネットの注目を集めている。中高生への教育のほか、社会人の学びなおしのための講義も提供する。
協力するのは、鹿島建設、ソニーグループ、DMG森精機、丸井グループ、三菱電機、リクルートの6社。各社はメタバース工学部の情報発信に協力するほか、社員の学びなおしにも活用するという。
ネット民「新しくて面白い試み」
このニュースにネットでは主に歓迎の声が寄せられていた。
新しくて面白い試みだな。今の時代にはいいかもね。
素晴らしい知の公開が日本の最先端技術の継承と発展に繋がる事を期待します
社会人向けのリスキリングを考えてるのはさすが
このところ、東大以外にも大学でメタバースの講座を取り入れる動きが目立ち始めている。
関西外国語大学は来年4月、「英語」と「デジタル」を学ぶ英語・デジタルコミュニケーション学科を新設するのに合わせて、VR演習室「Hello,World.」を開設。最新鋭のVR機器を導入し、高度な英語力とデジタルスキルの両方を高められるメタバースの演習空間だ。
順天堂大学は日本IBMとコラボし、メタバースを活用した新たな医療サービスの構築に向けて共同研究を始めている。今年中をめどに、順天堂医院の実物を仮想空間に再現した「順天堂バーチャルホスピタル」を構築。来院前の見学や外出困難な家族と入院患者との交流などを想定している。
アメリカでは“メタバースキャンパス”も!
他方、海外の大学は日本より一歩も二歩も進んでいる。
アメリカのスタンフォード大学では、メタ(フェイスブック)が開発したVRヘッドセットを活用した「Virtual People」という講義がスタートしている。スタンフォード大学で初めて、講義のほぼすべてでVRを利用する。すでに、数百人の学生が履修登録しているという。
イギリスのサンダーランド大学では、コロナ禍を機に2020年から教育やビジネスに特化したメタバーズプラットフォーム「Virbela」を講義に活用している。
また、アメリカのVR・AR教育企業「VictoryXR」はメタと共同開発した、メタバース仮想大学キャンパス「メタバーシティ」を開設する計画を発表している。モアハウス大学、ニューメキシコ州立大学、サウスダコタ州立大学など10校が参加しているプロジェクトで、この秋から一部の大学でメタバースキャンパスを立ち上げる。近い将来、日本にいながらにして、アメリカの大学のメタバースキャンパスに気軽に通うということもできそうだ。
日本ではいまだに、メタバースと聞くとオンラインゲームなどの「遊び」をイメージする人も多いだろうが、世界ではすでに教育に活用する事例が相次いでいる。お隣の韓国も今年1月に、政府がメタバースアカデミーや専門大学院の設立支援を発表している。
メタバースが教育にうまく取り入れられれば、たとえば家庭の事情で東京に行けない子どもが地元から気軽に東京の大学に通うということも可能になるかもしれない。また、地理的制約もなくなるため、社会人の学びなおし教育も受けやすくなる。東大をきっかけに日本の大学でもメタバースの活用が本格的に広まっていくか、注目したい。