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 日産が満を持して7月25日から発売したミドルクラスのクロスオーバーSUV、新型エクストレイル。2013年に登場した先代型から実に9年ぶりのFMCとなったが、e-POWER車として最速となる発売から約2週間での1万台超え、さらに歴代モデル最高の1万7000台を8月31日現在で突破している絶好調ぶりを示している。

 果たして新型エクストレイルの販売面での好調ぶりを裏付ける理由とは何か!? 国沢光宏氏がリアルワールドでの公道試乗インプレで解き明かす。

文/国沢光宏、写真/中島仁菜

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■待たせたな! ようやく登場の新型エクストレイル、公道での実力は?

日産の主力モデル、ミッドサイズSUVの新型エクストレイルの出足は絶好調だ。最高級グレードとなるGの4WD(449万9000円)が65%という比率からもその好調ぶりがわかるというもの

 新型エクストレイルはとっくに海外(北米名:ローグ)で販売しており、日本でも兄弟車の三菱アウトランダーPHEVが半年前に登場ずみ。なんでこんな遅れたのかといえば、開発の途中からVCターボをe-POWERのエンジンとして採用することを決めたからにほかならない。

 VCターボの仕上げに時間がかかってしまい1年も遅れた、ということになります。果たして1.5LのVCターボ+e-POWERの仕上がりやいかに?  

 ドライバーズシートに座り、起動のためスタータープッシュボタンを押す。賑やかな起動グラフィックの後、スタンバイの緑ランプ点灯。クルマを複数所有の人だと、少し慣れが必要なセレクトレバーをDレンジにシフトし、アクセルを踏む。

 スタートは走行用電池から供給される電力でモーターを駆動。再確認しておくが、エンジンと車軸は完全に分離している。駆動は100%モーターです。

■驚くほど静かで滑らかなVCターボのe-POWER

1.5LのVCターボe-POWERを搭載する新型エクストレイル。常用域から加速時にいたるまでエンジン回転数を抑え、圧倒的な静粛性の高さを実現しているのが大きな特徴だ

 車速が上がってくるとタイヤノイズに代表されるさまざまな騒音が出てくる。そんなタイミングでコッソリとエンジン始動。気にしていないとエンジンがかかったのはわからないほど。エンジンがかかると、エンジンで稼働させる発電機で作った電力で走行用モーターを稼働。

 巡航中は基本的にエンジンで作った電力でクルマを走らせます。巡航時も走行用モーターの電力だと思っている人がいるけれど違う。

 そいつを基本とし、アクセル開ければ必要なぶんだけ走行用モーターから電力を取り出し、アクセルを戻せば走行用モーターを発電機に切り換え、回生した電力を走行用モーターに蓄える。

 セレナe-POWERが採用している3気筒1200ccと比べた時の1500ccVCターボは、低負荷時の振動が少なく、高負荷時に大きなパワーを出す点にある。一定速巡航で回っている時のVCターボ、驚くほど静かで滑らか。

 一方、アクセルを全開すれば144psを発生する。短い時間なら走行用モーターから60ps程度のパワーを同時に引き出せるため、トータルで204ps程度を出せる! ほとんど同じ車重のセレナは最大136ps程度なので、圧倒的にパワフル!

 しかもキツい登り坂が連続していてもVCターボが出す144psはずっとキープ可能。静かで燃費がよくてチカラ持ちなのだった。パワーユニットは完全に合格点! 足回りやいかに?

■コーナリングでのライントレース性は文句なし!

ハンドルを握った際のリニアリティのよさに舌を巻いたという筆者。そのドライビングファンに思わず笑みがこぼれるといった感じだ

 といっても共通プラットフォームのアウトランダーPHEVでポテンシャルはわかっている。ボディ剛性感は素晴らしく、ステアリングにWピニオン(アシストモーターをラック直付けにしている)を採用したのが決定的なんだと思う。ハンドルを握った時のリニアニティ(路面感覚)が圧倒的にいいのだった。

 結果、コーナーでハンドルを切ってもライントレース性能は文句なし! 高速道路の直進安定性も素晴らしい! 文字どおり意のままに走ってくれる。運転が上手な人だけでなく、ビギナードライバーでもクルマの挙動になって現れるから興味深い。

 ハンドルの操作量が減るため、明らかにクルマが落ち着いた動きになるのだった。全長4660mm×全幅1840mmという大柄なボディも気にならない。

 乗り心地は余裕の合格点だ。乗り心地オタクの私すら、ノーマルで乗れるレベル。やや荒れた路面ではドタバタ感が出ていたけれど(空気圧などの調整で改善可能か)、国産SUVのなかじゃ上々。

 ハンドリングも今回試乗したワインディングロードでは素直に曲がってくれるしスタビリティ良好。新型エクストレイルに乗って不満を感じる人はいないと思う。とにかくバランスがいい。

 4WDは後輪も136psのモーターで駆動する「e-4ORCE」とネーミングされたというシステム。残念ながら舗装路を走っていると、後輪モーターの存在は感じないものの、回生時など前後モーターの制御を行って車体の落ち着きを出しているという。おそらく新型エクストレイルの滑らかな走りを作りだしている要因になっているのだろう。とにかくジェントルな走りをするクルマです。

■純正装着タイヤは韓国製のハンコックだった

新型エクストレイルに採用されていたタイヤは韓国製のハンコックタイヤだった。これには筆者も驚愕していたのだが……

 そうそう。新型エクストレイル、履いているタイヤは韓国製のハンコックだった。ディーラーに聞いたら強い嫌韓の方もいるようで、タイヤを交換して納車して欲しい(もちろん有償)というケースもあるようだ。

 今までの流れからすれば韓国製タイヤの採用=コストダウンと考える人も多いだろうが、今やハンコックってメルセデスが純正採用しているほど。日本以外だと日本製タイヤと同じように使われている。

 新型エクストレイルのタイヤ選択に当たり、日産の開発陣は純粋に性能で選んだという。日差の部品調達部門、しがらみや忖度をしない。同等価格の日本製タイヤより性能で勝っていた、ということだ。むしろ日本製タイヤが頑張らないと厳しいぞ、と思う。

 弱い嫌韓の人で韓国製タイヤが気になるなら『ウヨンウは天才弁護士』みたいな韓国ドラマを見ることを薦めておく。少し、嫌韓は収まると思う。

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