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新型M2と同様、BMW M社が設立50周年を記念して独自に開発したブランニューモデルの正体は、意外にもクロスオーバーPHEVだった。しかし、そこはMモデルの新作。その絶対性能は「スポーツ」を語るに相応しいものだった!

パワーユニットの構成はまさに最新Mモデルに相応しい内容

果たしてBMW Mはいま何を考え、どこに向かおうとしているのか? 筆者のそんな疑問に対して、M社でXMプロジェクトリーダーを務めたスヴェン・リッター氏は単刀直入にこう答えてくれた。「もはや2シーターボディが、スポーツカーに求められる絶対的な形態だった時代は終わりました。ポルシェもランボルギーニもアストン・マーティンもSUVで成功し、その流れはフェラーリ・プロサングエの登場で決定的になったとも言えます。そこで、我々もクロスオーバーのボディに、当社が持ち得るダイナミックパフォーマンスを与えることにしたのです」

ではBMW Mが考える新しい高性能車、XMの成り立ちとは? 早速、そのスペックをチェックしてみよう。まず、ボディサイズは全長が5110mm、全幅は2005mmで全高が1755mm、ホイールベースは3105mmという堂々たるもの。フレキシブルなアーキテクチャー、CLARをベースとしていることは間違いなく、全体的なサイズとシルエットはiXのそれに近い。ただし、ゴールドに輝く8角形の大型キドニーグリルはダミーではなくV8エンジンの冷却用。そのフレームは最新のBMWモデルと同様、LEDにより発光する。そのグリルからボンネットにかけてはパワードームが形成され、M社のプロダクトであることを主張。また、ライトユニットにはフェイスリフトを機にX7で導入されたフォーアイズデザインを採用している。つまりボンネット先端に薄いデイドライビングライト、その下にLEDヘッドライトというレイアウトだ。

サイドに回ると、M専用デザインのドアミラー、そしてキドニーグリルと同じゴールドのウインドーフレームがグリーンハウスを取り囲むが、これはリアウインドー上部左右のBMWエンブレムと同じく、かつてのM1へのオマージュ。ここ以外のリアエンドは比較的穏やかな表情で、造形はiXのそれに近いものとなる。

【写真19枚】新時代のMモデルに相応しいハイパフォーマンスPHEV、BMW XMの詳細を写真で見る

一方、パワーユニットはまさにM社の真骨頂と言えるもの。あえてBEVではなく、最高出力489ps、最大トルク650Nmを発揮する4.4L V8ユニット(S68)に197psと280Nmの電気モーターを組み合わせたPHEVシステムが搭載される。その総出力は653ps、同最大トルクは800Nmに達し、8速ATを介しての0→100km/h加速は4.3秒、最高速度は270km/hというリアルスポーツ級の高性能ぶりを発揮する。ちなみに、床下に搭載される総電力量29.5kWhの電池の恩恵で最大82~88km、最高速度140km/hのEV走行も可能だ。

それでいながら、室内は外観から想像される通りラグジュアリーな仕立て。特に注目すべきはリアコンパートメントで、十分以上のゆとりと上質な素材でパッセンジャーを迎え入れてくれる。「Mラウンジ」と名付けられたこの空間は、XMを象徴するもうひとつの顔と言えるだろう。

その生産は北米で2022年末から始まり、翌年4月から世界市場に向けて出荷の予定。現状、価格は未発表だが約17万ユーロ(約2500万円)と予想される。ところで、M社のサプライズはこれで終わらない。フランク・ファン・メール社長は「レッドラベル」と命名する旗艦の存在をすでに明らかにしていて、その最高出力は748psで最大トルクは1000Nmとか。つまり、次の50年へ向けたM社のパワフルな未来はすでにスタートしているのだ。

【Specification】BMW XM
■全長×全幅×全高=5110×2005×1755mm
■ホイールベース=3105mm
■トレッド(F:R)=1726/1690mm
■車両重量=2710kg
■エンジン種類=V8DOHC32V+ツインターボ+電気モーター
■総排気量=4395cc
■最高出力=489ps(360kW)/5400-7200rpm
■最大トルク=650Nm(66.3kg-m)/1600-5000rpm
■電気モーター最高出力=197ps(145kW)/7000rpm
■電気モーター最大トルク=280Nm(28.6kg-m)/100-5500prm
■トランスミッション=8速AT
■サスペンション(F:R)=Wウィッシュボーン:5リンク
■ブレーキ(F&R)=Vディスク
■タイヤ(F:R)=275/45R21:315/40R21

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