カローラのマイチェンで1.2リッターターボが廃止に。併せてMTモデルもカタログ落ちしてしまった。
クルマ好きはもちろん、高齢ユーザーが多い車種だけにゼッタイMTという人も多いだろうにどうして廃止という選択をしたのか? おそらく大半がCVTを選ぶのだろうが、実際のところ現行カローラのMT比率はどんなモンだったのか?
文/佐々木 亘、写真/TOYOTA
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■値上げも最小限で超充実内容!! それだけにカローラMT廃止が残念
2022年10月に実施した一部改良は、乗用車のカローラシリーズを対象にしている。ビジネスカーにカテゴライズされているアクシオやフィールダーは対象外だ(アクシオ・フィールダーはひと足先の8月22日に一部改良済である)。
生まれて日の浅いカローラクロスは、改良群の中には含まれていない。GRカローラについては、発売時期を繰り下げる発表を加えている。
それでは改良の中身を見てみよう。筆者的にはマイナーチェンジ(MC)と大々的に銘打っても文句の出ない内容だと思っている。
ハイブリッド・ガソリン両モデルでのパワートレイン刷新、トヨタセーフティセンスの機能拡大(プロアクティブドライビングアシストに対応したのは大きい)、ディスプレイオーディオの機能拡大と画面拡大、前方ドラレコとバックガイドモニターを標準装備するなど、機能面の充実感はMCレベルだ。
この内容で、車両本体価格は約5~13万円の値上がりに抑えており、ハイブリッドの一部グレードでは値下げになっているものもある。全体的に見れば、非常に前向きで良い改良内容と取れた。それだけに、MT廃止が目立ってしまうのだ。
■MT比率たった4%と廃止も納得!! 先代モデルが最後の砦
トヨタの中でMTを選択できる車種は非常に少ない。その中で、販売台数に占めるMT比率が群を抜いて高いのはGR86だ。約半数がMTを選び、MTが存在する意味も大きい。
それでは、今回廃止になったカローラではどうだろう。表向きのデータとしては、カローラシリーズとしてまとめられた販売台数に対してのMT比率しかわからないが、その数字は4%にも満たない。
仮にカローラシリーズが年間10万台売れるとしよう。そのうちカローラスポーツのMTは、約4,000台。毎月全国で300台程度売れている計算だが、国内にあるトヨタの販売拠点は約6,000店舗。およそ3分の1の店では、MTのカローラを年に1台も販売していないことになるのだ。
実際にいくつかの店舗で、カローラスポーツMT廃止について聞いてみたが、それほど大きな影響は無いという返答が多かった。
ここ数年、カローラスポーツのMTが新車納車されているのを見たことが無いと語る営業マンが多く、その需要はかなり限定的だったようだ。販売対象も、高齢ユーザーよりはクルマ好きな若中年層に集中していたようで、今後は他車種への代替もききやすい。
MTしか乗りたくないと話す高齢ユーザーは、同時に5ナンバーサイズであることも重視するため、必然的にアクシオという選択肢になってしまうらしい。今回、アクシオのMTモデルは残ったままだから、カローラを愛する高齢ユーザーのニーズには、しっかりと応えられる体制を維持している。
需要が少なく、代替もきくカローラスポーツのMTモデルは、予防安全パッケージの進化を進める意味でも、廃止にせざるを得ないものであろう。さらに販売現場への影響は非常に限定的であることが分かった。
ネット界隈やSNSなどで「MT廃止」が悲観的に大きく取り上げられているが、販売現場レベルでは、「無くなるのは当たり前だよね」と言わんばかりの冷静な反応が多数を占める。
■GRカローラにMTが!! フツーのモデルは廃止が必然に
カローラスポーツのように、手頃なスポーツMTが無くなってしまったことは残念だが、カローラにはまだGRがある。
本年冬から抽選予約を開始、2023年年初から台数限定で販売と、所有するには非常に狭き門をくぐり抜ける必要があるが、スポーツMTに乗りたいクルマ好きの方々には、是非GRカローラを狙っていただきたい。
カローラスポーツにMTを設定した理由をトヨタは「需要の受け皿」としていたが、技術の進化等によって、需要の内容が変わってきたことは否めないだろう。
衝突被害軽減ブレーキ等の先進技術との相性の悪さを指摘されるMTだが、トヨタではGRヤリスで同時装着が行われている。法整備や機能拡充とともに、MTが絶滅する心配は少ないと思う。
ただ、カローラは時代の変化に合わせ柔軟に変化するクルマの代表格だ。カローラスポーツのMT廃止は、時代の出した答えとも言える。これをMTの存続可否に関して考えを巡らせるきっかけにしなければならない。
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投稿 高齢ユーザー&クルマ好き多いのに……カローラMT消滅のなぜ は 自動車情報誌「ベストカー」 に最初に表示されました。