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 先日、中国製EVの黒船ともいうべき「BYD」が日本市場に上陸。新興勢力を含めた国内EVマーケットの争奪戦はすでに始まっているが、EV先進国、テスラのあるアメリカのマーケットはどうなっているのだろうか。

 この夏、コロナ対策が緩和されたこともあり、アメリカ西海岸から中部山岳部へ移動しながらEVの実情を取材する機会を得た。最後に渡米したのはコロナ前ということもあり、ある程度変わっていることは予想していたが、アメリカはまさにテスラ一色だった。

文、写真/青山義明

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テスラには航続距離問題は存在しない!?

移動距離は日本とは比較にならないアメリカ。テスラはそんなハイウェイを普通に飛ばしていく

 渡米するたびに、テスラを見かける機会がどんどん増えていると実感する。テスラは2003年に創業したEV専業メーカーだが、最初のモデルであるロードスター以外に、モデルS、モデルX、モデル3、モデルY(日本では現在受注受付中だが未発売)の4車種がラインナップされているわけだが、それらが西海岸はもちろん内陸部でもうじゃうじゃ。そう、まさにうじゃうじゃいる。

 また、カリフォルニア州フリーモントにあるテスラファクトリーから完成車をのせたローダー積載車が、せっせとロサンゼルス方面へハイウェイを南下していく姿も普通に見かける。

 日本では航続距離の問題で、EVは敬遠されがちと言われているが、アメリカ国内の雰囲気を見ている限り、内陸部のインターステートハイウェイでも普通にテスラは走っている。同じBEV(バッテリー式電気自動車)では日産リーフとBMW i3(REXモデルかもしれない)を見かけたが、ごくわずかだ。

テスラ専用充電スペースがそこかしかに

インターステートハイウェイの出口を降りたガソリンスタンドなどが並ぶ脇にあるテスラの充電施設。このスーパーチャージングステーションには39基のSCが並んでいた

 来て見てビックリ。高速の脇やショッピングモールの駐車場といったところ、まさにそこかしこにテスラのスーパーチャージングステーションがある。テスラの発表では、全世界にすでに2万5000台のスーパーチャージャーを設置しているというが、それにしても多く感じる。

 驚くのはそのステーションに設置しているスーパーチャージャー(SC)の台数である。テスラのソーラーパネルがルーフがわりに設置されているその西海岸のステーションには、39基のSCが並んでいた。週末になるとそれなりに埋まってしまうということだが、平日の昼下がりはこんな感じだ。一応言っておくが、このSCはテスラ専用だ。他社のBEVが来てもコネクタ形状が異なるため、充電は出来ない。

 国内でも最大250kWの出力を持つスーパーチャージャー(V3)が登場し、充電時間を気にする必要もなくなってきたが、やはりテスラは他のEVより優位だと感じてしまう。ちなみにステーションはあっても、テスラの販売店はない。なぜならテスラは対面ではなくネットで購入するクルマだからだ。

日本国内にこのような充電環境がそろう日は来るのか?

 テスラの充電網のすばらしさを述べてきたが、意識しながら充電スポットを探していると、このテスラのスーパーチャージングステーション以外のチャージングスポットを、ショッピングモールなどを中心に見つけることができた。

 ここで気が付いたことがひとつ。障がい者用のスロットにも充電器があるのが興味深い。日本ではEV用のスロットと障がい者用駐車場は全く別物という印象だから、ちょっと驚きである。もちろん、車いすユーザーでも充電プラグの取り扱いや充電操作は問題なさそうで、ユーザーを選ばない設置もフレンドリーだ。

 日本では首都高速の大黒PAで最大90kWの急速充電器が6台並ぶシーンを見ることができるが、それ以外でもひとつの充電スポットにようやく複数台の充電器が並ぶようになってきた。また、最大出力150kWの急速充電器の設置も始まっている。

 が、アメリカはその比ではないことを実感した。EVのニューモデルのニュースが頻繁に流れる昨今だが、日本のサービスエリアなどに、これぐらいの充電器が並ぶ日が来るだろうか。そうすれば、充電待ちのない電動化の世界も見えてくるだろう。あ、国内には、それ以前に電力供給問題という厄介な問題がありますな……。

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