最新のApple Watch Series 8やApple Watch Ultra、Apple Watch SE(第2世代)に搭載されているS8チップについて、S6およびS7チップと全く同じCPUを使っていることが判明したと報じられている。
米MacRumorsによると、Apple Watch Series 8のS8チップ(公式には「S8 SiPデュアルコアプロセッサ)には、Apple Watch Series 6用のS6、およびApple Watch Series 7のS7チップと同じく、識別子「T8301」のCPUが搭載されているという。これはアップルが、ニュースリリースでS8をApple Watch SE(第1世代)のチップ、つまりS5としか比べていないことと符合しているとも思われる。
ちなみにアップルは、Apple Watch Series 7発表時にも(S7を)「Apple Watch SE(第1世代)よりも20%高速」と述べていたことがある。さらにApple Watch Series 6では、Series 5搭載のS5よりも「最大20%高速化」と謳われており、暗に「3年間、同じCPUを使っている」と認めていたともいえそうだ。
つまり、Apple Watch Series 6、Apple Watch Series 7、Apple Watch Series 8、Apple Watch Ultra、そしてApple Watch SE(第2世代)は、すべて同じCPUを搭載していることになる。なおSiP(システムインパッケージ)は複数の半導体を1つにまとめたもので、S8では衝突事故検知のために新たに搭載したセンサーなど、CPU以外の部分については変わっている可能性もある。
S6、S7、S8は、iPhone 11シリーズに搭載されたA13 Bionicチップをベースに、TSMCの7nmプロセスで製造されている。iPhone 13やiPhone 14の標準モデルに搭載するA15 Bionicでは5nmプロセスに移行し、iPhone 14 Pro用のA16 Bionicは4nmプロセスで製造される初のAppleシリコンとなった。
なぜSシリーズチップのCPUが、3世代にわたって停滞したままなのか。MacRumorsは、これ以上のパフォーマンスの向上がApple Watchにとって不可欠ではなくなっているから、と推測している。たしかにApple Watchは近くにあるiPhoneとの連携で運用されるため、過大な処理能力を与えられても持て余すのかもしれない。
とはいえ、TSMCの3nm技術が本格的に投入されたなら、省電力の改善もより意義あるものとなり、ひいてはApple Watchのバッテリー持続時間にも貢献するはず。4年連続で7nmプロセス……とはならないよう祈りたいところだ。
- Source:MacRumors