米半導体大手のインテルが、大規模な人員削減を計画しており、その人数は数千人にのぼるとの噂が報じられている。このリストラは同社の「消費者向けチップ」の需要減少に対応するもので、広くPC市場が低迷している一部だと見られている。
ちょうど先日、インテルは米CHIPS法(米国内の半導体製造を促進するための米政府の支出)から数十億ドルの資金を受け取ることになったにもかかわらず、である。このCHIPS法については米国企業のみを優遇しているとして、台湾TSMCからは不満の声が上がっていた。
今回の人員削減は、特にインテルの営業・マーケティング部門に大打撃となり、約20%のメンバーに影響を及ぼすという。リストラは早ければ今月中に発表され、10月27日(米現地時間)に行われる第3四半期業績報告と同時期に行われるとのことだ。インテルは現在、約11万3700人の従業員を抱えている。
新型コロナ禍のもとで2年間の好況に恵まれたPC市場は、今や苦境に立たされている。米ガートナーの分析によると、2022年第3四半期の世界出荷台数は6800万台で、前年同期より19.5%もの減少とのこと。これは1990年代半ばにPC市場調査を開始して以来、最も急激な落ち込みだという。
さらにガートナーは「今期の結果は、PC市場にとって歴史的な減速を示すかもしれない」とまで述べている。
学校向けに大規模なプロモーションや値下げが行われたものの、多くの消費者が過去2年間に新たなPCを購入済みのため、期待外れに終わったとのこと。かたや企業向けには、地政学的・経済的な不安からIT投資が厳選されており、その優先順位リストの中でPCは上位にないらしい。
すでにインテルは7月の第2四半期決算報告で、消費者向けチップの売上が25%縮小し、売上全体が22%減少したと発表していた。その報告のなかでパット・ゲルシンガーCEOは「2022年度に中核的な経費を削減し、下半期に追加的な行動を取ることを検討する」と述べていたが、その「追加的な行動」がまもなく行われるようだ。
そんなPC不況のまっただ中で、2022年第3四半期ではMacの出荷台数が前年同期より40%以上も増えているとのIDC報告もあった。Macは独自開発のAppleシリコンを採用してから快進撃が続いているが、それによりインテル製チップの需要が減った一面もある(一部Macはまだインテル版だが)。ゲルシンガーCEOは優れたチップを開発して「アップルとのビジネスを取り戻したい」と述べていたが、それは本心からの言葉かもしれない。
- Source:Bloomberg
- Source:The Verge