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Image:Monster Ztudio/Shutterstock.com

アップルが独自の検索エンジンを開発中であることは、過去にも何度か噂されてきた。それはまさに、Googleと真っ向から競合するかもしれない機能である。

そのアップル内製検索エンジンが、開発を率いる主要メンバーがGoogleに移籍してしまったため、実用化は「少なくとも4年先」になるとの噂が報じられている。

有料ニュースメディアThe Informationの記事によると、アップルの検索エンジン開発チームの上級ディレクターだったSrinivasan Venkatachary氏は、Googleに“復帰”してしまったそうだ。アップルは2018年に機械学習スタートアップのLaserlikeを買収しているが、この会社はGoogleのエンジニア達が設立したもので、Venkatachary氏はその一員だった。

アップル社内でVenkatachary氏は、少なくとも200人のスタッフを統括していたとのこと。このチームはSpotlightや「Siriからの提案」などの機能開発、およびSiriによる回答などを担当していたという。が、Venkatachary氏は他のLaserlike共同創業者らとともに、Googleに里帰りしたと伝えられている。

またアップル在籍中、Venkatacharyは機械学習・AI(人工知能)担当副社長John Giannandrea氏の直属だったそうだ。ちなみに、Giannandrea氏も元Google幹部(AI担当責任者)である。その下でVenkatachary氏は検索チームの人員を拡充し、Googleから多くの検索関連スタッフを引き抜くことに注力していたという。

現在Venkatachary氏はGoogleの技術・社会担当上級副社長James Manyika氏の下でエンジニアリング担当副社長を務めており、その事業範囲にはAIなどの技術が社会問題にどう影響するかを追跡するグループが含まれているそうだ。

これまでのアップルとGoogleは検索機能で競合するよりも、むしろパートナーだった。GoogleはiPhoneやiPadのデフォルト検索エンジンであり続けるために莫大な額を支払っているのは公然の秘密でもあり、2021年には150億ドルにも上ったとの推測もある。これはアップルの年間利益(2020年)において、15~20%にも相当する額である。

なぜアップルが、Googleからの収入を捨てるリスクを冒して独自検索エンジンを開発しているのか? それは2年前、米司法省が両社の契約を反トラスト法の疑いがあると問題視したことも考慮されているのかもしれない。

しかし中核となる開発スタッフが移籍してしまったため、Google検索の代わりとなる自社製エンジンを立ち上げるまで「少なくとも4年」かかるという。そこで開発チームの予算を大幅に増やす必要がある一方で、検索市場で比較的小さなシェアしか持っていないMicrosoftのBingと、Googleと同様の契約を結ぶかもしれないと伝えられている。

その間、アップルはVenkachatary氏らが開発した技術をApple MusicとApp Storeの検索を強化することに投入するという。目下同社は広告ビジネスを重視しており、少なくとも現在の収益から3倍に増やすことを視野に入れているとの報道もあったが、その戦略には未来の独自検索エンジンも織りこみ済みかもしれない。