実業家のイーロン・マスク氏に買収されたTwitterでは、全従業員の半数におよぶ約3700人が解雇されたかと思えば、必要な人材だったため復帰を願うメールが送信されるなど、混乱が続いている。それらは正社員が対象だったが、続いて契約社員が約4400人解雇されるとの噂が報じられている。
このニュースは最初にPlatformerのCasey Newton氏が「契約社員の解雇が始まっている」と報じ、その後、Axiosなど複数のメディアが別々に裏付けを取っているものだ。さらにNewton氏は、約5500人の契約社員のうち約4400人を解雇したと具体的な数字を付け加えている。
この大規模な解雇は、サイトの稼働を維持するコンテンツモデレーション(書き込みの監視)や中核となるインフラ関連サービスに大きな影響を与えると予想されている。マスク氏がCEO就任直後、コンテンツモデレーションのポリシーを見直すと発言した直後、Twitter上で人種差別やヘイトスピーチが増加したとの報告もあり、それに続く格好だ。
またTwitter社は、解雇された契約社員らに何の通知もしていないようだ。多くの人々はTwitterの社内システムに突然アクセスできなくなったことで、クビになったと知ったという。ある管理職は「子どもの安全に関するワークフローに重要な変更をしている最中に、契約社員の一人が何の通知もなく解雇された」とSlackに投稿しているそうだ。
さらに直近2週間分の給料が支払われないかも、と心配している契約社員もいるという。なぜならTwitterが11月初めに正社員の数を半減させた後、多くの契約社員が正社員のいないチームに配属されたため、タイムカードにサインをする人がいなくなったからだ。また社内の担当者が解雇されたため、誰に報告すればいいか分からない契約社員もいるそうだ。
マスクCEOは有料プラン「Twitter Blue」に加入すれば誰もが認証済バッジを与えられる、つまり「認証済バッジを月額8ドルで買える」リニューアルを打ち出した。すると悪ふざけで企業や有名人の公式アカウントになりすます偽物が横行したため、Twitter Blueの受付を一時停止。さらには、広告世界大手Omnicom Media Groupがクライアントに、Twitterへの広告出稿を一時ストップするよう勧告する事態に発展している。
Twitter社の収入は依然として広告頼りであり、大手広告主である大企業のブランドイメージを守るべき立場にあるはずだ。が、信頼・安全性チームは大規模に解雇され、最高情報セキュリティ責任者(CISO)のレア・キスナー氏や最高プライバシー責任者のDamien Kieran氏も辞任を表明している。
マスクCEOは経営再建を急ぐため大規模なリストラに着手したと思われるが、通知なく契約社員を解雇したり、プラットフォーム内での治安を守るスタッフを真っ先に首切りしていては、Twitterの社会的信用にも大きなダメージとなりかねない。今後、方針の見直しがあるか注視したいところだ。
- Source:Axios
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