コロナ禍の影響もあってか、今や空前のアウトドアブーム。キャンプ場に行くとSUVやミニバン、さらには軽自動車などさまざまなクルマで楽しんでいるが、やはりボンゴフレンディこそがピッタリなクルマではないか!! と感じている人も少なくないハズ。
1990年代に純正でありながらポップアップルーフを付けていたアレだが、今出せば爆裂ヒットとなりそうな気もする。でもでも、なぜあれからというもの似たモデルが出てこないのか!?
文/鈴木ケンイチ、写真/MAZDA、HONDA
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■電動ポップアップルーフが標準も300万切り!! ボンゴフレンディは激安も空振りに……
今、キャンピングカーの人気が高まっています。一般社団法人日本RV協会が発表した「キャンピングカー白書2022」を見ると2021年の国内のキャンピングカーの売上総額は、前年比109.1%の635.4億円。10年前となる2011年の210.9億円の約3倍もの伸びを見せています。
国産のキャンピングカーの生産台数も右肩上がりで、2011年の3815台から、2022年には8165台に。こちらは約4倍も増えているのです。
こうしたキャンピングカー人気の今こそ復活してほしいクルマ、というか装備があります。それが1995~2006年にかけて発売されていた、マツダの「ボンゴフレンディ」のオートフリートップです。
これは、今でいう「ポップアップルーフ」のこと。屋根の天板が高く起き上がり、クルマの上に別室が生まれるという機構です。オートフリートップは、「オート」とあるようにポップアップルーフの開閉が電動であることが売りです。
マツダのミニバンである「ボンゴフレンディ」は、そんなオートフリートップ(ポップアップルーフ)、ノーマルルーフ、そしてサンルーフという3種類を標準グレードとして用意して販売していたのです。
ちなみに、価格は2.5リッターのディーゼル・エンジンの8人乗りでノーマルルーフが約226万円、サンルーフが約246万円、オートフリートップが約260万円でした。
ノーマルに対して約35万円高という価格は、それほど高額だったわけではありません。また、メーカー純正ということで、ディーラーに行けば、誰もが買えるというのも魅力でした。
ただし「ボンゴフレンディ」が発売されていたのは、15~25年ほども前のこと。当時もRVブームと呼ばれていましたが、やはり今ほどキャンピングカーが売れていたわけではありません。そのため「ボンゴフレンディ」は年間新車販売ランキングで一度も年間10位に入ることもなく、2006年に生産終了となります。
ちなみにライバルであった「ステップワゴン」「エスティマ」「ノア」はベスト10の常連となっています。残念ながら「ボンゴフレンディ」は、人気者になることができませんでした。記憶に残るものの、記録には残らないクルマとなりました。生まれた時代が早かったのでしょう。
■車中泊ブームの今こそポップアップルーフだ!! わずらわしさ皆無
しかし、「ボンゴフレンディ」が空振りとなった15~25年前と現在では状況が異なります。キャンピングカーの人気は、確実に年々高まっています。また、水回りを完備した完璧なキャンピングカーだけでなく、クルマで寝るだけという車中泊という文化も根付きつつあります。
2022年夏からテレビ東京では「絶メシロードseason2」というドラマがスタートしました。これはサラリーマンが週末に車中泊をしながら、絶滅しそうな食堂を訪ねるという内容です。
タイトルにもあるように、今年の放送は2020年に続き2回目となります。コロナ禍という逆風の中でも、続編が誕生したのは、それだけ人気があるということでしょう。
そうした車中泊のようなライトなキャンピングカー使用に向いているのがポップアップルーフではないでしょうか。
普通のミニバンであれば荷物をどかして、2列目、3列目のシートをフラットにすることで、ようやく寝室スペースができあがります。ところがポップアップルーフであれば荷物を積んだまま、さっと屋根を立ち上げて、寝室スペースを作ることができるのです。
ポップアップルーフの利便性の高さは、実際に販売されているキャンピングカーに数多く採用されていることからも証明できます。とあるキャンピングカーのビルダーでは、3ナンバーの大型ミニバンだけでなく、5ナンバーのミニバン、さらには軽自動車にもポップアップルーフが設定されています。
■モデリスタやオーテックに期待!! 今こそ純正オプションで復活の時では
とはいえ、メーカーでのライン生産となれば、年間数千や数万の単位での販売数が求められることでしょう。その数が辛いというのであれば、せめてメーカーオプションなどで設定するのはいかがでしょうか。
ちなみに、トヨタにはモデリスタ、日産にはオーテック、ホンダにはアクセスという、カスタムを得意とする部門が存在しています。そうしたカスタム部門でポップアップルーフを設定することを期待します。
もしも、メーカーが用意すれば、ポップアップルーフへの敷居が一気に低くなることになります。そうなればポップアップルーフのクルマが増え、ひいては車中泊やキャンプの人気も高まるのではないでしょうか。
クルマで遊ぶ文化が盛り上がれば、それだけクルマの人気も高まります。ぜひとも自動車メーカーさんは、ポップアップルーフの採用をご検討ください!
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