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「かわいいでクルマを選んでいいんじゃない?」家族のように愛される新型シエンタの魅力

 2022年8月23日に登場した新型「シエンタ」。工夫が凝らされた室内空間や新設計されたプラットフォームの採用で、先代よりも魅力を大幅に高めた。また、新型シエンタのCMに登場する小型犬「シエン太」がかわいいと大きな話題になっている。

 新型シエンタはスポーティ路線のデザインだった先代から、かわいらしさを感じられるデザインに雰囲気を変えた。なぜ、ヒットモデルだった先代から大幅に路線変更したのだろうか? その背景には、ライバル車「フリード」を販売する「ホンダ」にあり!?

文/まるも亜希子、写真/TOYOTA、HONDA、ベストカー編集部

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「ワン!」キュートなCMで話題の新型シエンタ「路線変更」大成功??

優しさやかわいらしさを感じられるエクステリアデザインになった新型シエンタ

 トヨタの売れ筋コンパクトミニバン、新型シエンタのデザインが何かと話題です。第一印象は、「アクア路線になったんだな」と感じました。

 2021年7月に2代目へとフルモデルチェンジした、ハイブリッド専用コンパクトカーの先駆けであるアクアは、アグレッシブなスポーティ路線のデザインが特徴的だった初代から、ふっくらとした豊かさと上品さのあるデザインに路線変更して登場しました。

 その背景には、室内スペースも後席が広くなり、充分にファミリーユースが可能となっていることや、走りのイメージを強調しているヤリスとの差別化を図ったことが予想できます。同じトヨタ内で、ユーザーを食い合うことがないように、そして多様化するユーザーの好みを全方位でカバーできるようにと、トヨタの先読み戦略には頭が下がるばかりです。

 でも、シエンタは現在、トヨタ内にガチライバルはいません。なぜ、路線変更したのでしょうか。これはあくまで個人的な考察ですが、3つの理由があると考えます。

 そもそも初代のデザインは「スポーツバッグ」をテーマにしていました。某有名スポーツ選手が発表会に登場したのをご記憶の方もいると思いますが、当時、東京オリンピックの開催が決まり、世間はスポーツ熱がいつにも増して高まりつつありました。

 子供の部活に熱心になるファミリーも多く、シエンタはその送り迎えにも打ってつけ。ちょっと斬新だけどスポーティ路線のデザインはそんなシーンにもピッタリで、なるほどと思ったものです。

 でも今は東京オリンピックも終わり、空前のアウトドアブームは続いているものの、そうした人たちの多くはSUVを選びます。今の時代に、スライドドアのコンパクトミニバンを選ぶのはどんな人たちでしょうか? 

 ここで見えてくるのが1つ目の理由。SUVを選ばないファミリー層が、シエンタのターゲットということです。休日のたびにガンガンアウトドアに出かけるのではなく、普段のお買い物や駅までの送り迎え、愛犬を連れてちょっと近くの公園までのお散歩。そんな日々を大事にする人たちや、日常の中に楽しさや幸せを感じる人たち。

 今、そういった人たちが選ぶのはスポーティなデザインではなく、どこかほっこり癒されるデザインだったり、品のあるノーブルな雰囲気だったり、愛犬と同じように家族の一員としてかわいがれるようなデザインではないでしょうか。

「かわいい」でクルマを選ぶのはあり!! 気になるライバル車「フリード」の存在

 2つ目の理由は、「かわいい!」と女性の心をわしづかみにして大人気となっている、スライドドア軽ワゴンの台頭です。とくに、初代が大ヒットしたダイハツ・ムーヴキャンバスは、2代目となる新型が登場したばかり。

 まさに「映え」の代名詞のような人気モデルで、まだまだその人気は衰えそうもありません。もしムーヴキャンバスのユーザーがなんらかの理由で軽ではなく登録車で「次」の愛車を検討したとき、また本当はムーヴキャンバスが欲しいけど「軽はちょっと……」と敬遠する人たちの好みに合う「かわいい」クルマはどれくらいあるでしょうか。

 スライドドアを備える国産車だと、ほぼ見当たらないのです。「かわいい」でクルマを選ぶのは変でもなんでもなく、女性にとってはよくあること。映え重視のご時世ではもはや「ぜんぜんアリ」なんです。そこにスッと居場所を見つけたのが、新型シエンタということかもしれません。

 ちなみに気になるのは、ルノーやシトロエンの欧州スライドドア車たち。ネット上では新型シエンタのデザインが似ているという声もあるようですが、少なくとも狙った路線はそっち方面ではないかと感じます。かわいいけど、かわいすぎない。初代がそうだったように、やや箱型に回帰したボディフォルムと相まって、家族のクルマとしての安心感や懐の広さを感じさせるところも、ムーヴキャンバスを卒業した人たちに響くような気がします。

2019年のマイナーチェンジでフリードに追加された、クロスオーバースタイルのCROSSTAR

 さて、3つ目の理由は国内では唯一のガチライバルである、ホンダ・フリードの存在でしょう。フリードもそう遠くない時期に新型へとスイッチすることが予想されますが、現在のホンダデザインを見ていると、例えばステップワゴンには癒し系とスポーティ系の2タイプのデザインが用意されました。トヨタがなにか情報を掴んでいるのかどうかはわかりませんが、普通に考えるとフリードもそうなるのではないかと思われます。

 もしくは、マイナーチェンジで登場したクロスオーバー風のCROSSTARをもっとアウトドア寄りにデザインしてくる可能性も大。となると、かわいい系、癒し系、上品さといったキーワードで選べるコンパクトミニバンは、新型シエンタの独占場となるはず。どうなるのか、新型フリードの登場が楽しみです。

 ということで、路線変更した新型シエンタのデザインは、SUVを選ばないファミリー層の今の気分、使い方に合うところが大きく、「かわいい」でクルマ選びをするユーザーの目にも留まりやすいと考えられると思います。

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