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 ワンマンバスの自動放送とは、停留所や乗り換えの案内。そしてCMまで多彩な放送をするアレだ。じつはコレ自動又は運転士の操作で放送を実現している。

 しかし「都合の良い」タイミングで注意喚起の自動放送が流れることも。もしや誰かが見てるのか!? 一体バスの車内放送はどんな仕組みなのか!?

文/写真:古川智規(バスマガジン編集部)


やっぱり見てた!? 運転士の機転で放送!

 例えばマナーに反して車内でスマホを使用して通話をしている乗客がいたとしよう。周りの乗客からは白い目で見られるが、そんなことを意に介する人であれば通話なんか最初からしない。

 運悪くビジネス上の電話がかかってくることはあるが、それならば電話に出て「バス乗車中だから降車後にかけなおす」と一言いえば済むし、これならば誰も文句を言わない。

都合よく流れる自動放送のヒミツ

 しかしバス車内で延々と打ち合わせや世間話を電話でする人はいる。こういう場合、運転士が自分の声で放送をする場合もあるが、それでは特定の乗客に向けて注意をすることになるので、狭い車内では角が立つ。そんな時に「携帯電話での通話は周りのお客様の迷惑に……」と都合よく自動放送がながれる場合がある。

 実はあの放送はあらかじめ仕込まれた内容が、任意のタイミングで運転士の操作により流れる仕組みになっている。他にも立っている乗客がいてスマホを操作している場合は「手すりにつかまるか着席するかしてくれ」という内容の放送を聞いたことはないだろうか。

プッシュボタンのうち、1〜0の10個、事業者によって別の使用法もあるが、多くの場合、簡易アナウンスの音声が仕掛けられている

 多くの乗客が降車するターミナル停留所の前では「バスが止まるまで座っていてくれ」という内容の放送を手動で流すことができる。また雨天では「傘の忘れ物が多いので注意」の放送を流すこともできる。

 具体的には次のような例による。
・吊り革や手すりにおつかまり下さい
・車内奥にお進み下さい
・バスが停止してから席をお立ち下さい
・携帯電話などはマナーモードに切り替え、通話はご遠慮下さい
・車内換気のため、窓開けにご協力下さい
・座席は譲り合ってご利用下さい
・ドア横の黄色い床部分にはお立ちにならないで下さい
・車内ではマスクの装着にご協力下さい
・座席に手荷物を置かないようお願いいたします

バス会社で微妙に違いも!

 これらのメモリーできる数や放送内容は事業者により異なるが、注意喚起の内容はほぼ似たり寄ったりだ。鉄道でも同じ仕組みの放送装置があり、特に多いのは駆け込み乗車があり車掌がドアを再開閉して発車直後に流れる「駆け込み乗車は大変危険ですので……」というアレだ。

鉄道車両でも同様の仕組みがある(京王5000系)

 タイミングよく都合の良い注意喚起放送が流れたら、それは偶然ではなく運転士はちゃんと認識していて意図的に流している。決して運転士は見て見ぬふりをしているわけではないことを知っていただきたい。無用なトラブルに発展しないため、安全運行のために完成されたシステムなのである。

投稿 バスの車内放送ってタイミングよすぎない!? どーなってんの?自動車情報誌「ベストカー」 に最初に表示されました。