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年寄り扱いは禁物! 昭和を生きた高齢者がいま乗るべきクルマ4選

 クルマは移動を快適にするツールだが、運転には知力も体力も使う。特に重要なのは、周囲の状況を正確に把握して、的確な判断と操作をする能力だ。これが衰えると、運転ミスが生じて、事故を発生させる危険性も高まる。

 では、こうした能力の低下が心配される高齢の方々は、どんなクルマに乗ればいいのか。ひと口に高齢者といっても生き方や考え方はさまざまだから、さまざまなクルマが候補になってもいいはずだ。そこで今回は、ご高齢ドライバーを4つのタイプに分け、それぞれに合ったクルマを、クルマ生活に詳しい渡辺陽一郎氏に指南してもらった!

文/渡辺陽一郎、写真/TOYOTA、BMW、ベストカー編集部

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■安全性も大事だが魅力的なクルマであることも重要

団塊の世代に属する人達は初代セリカや初代フェアレディZに憧れた世代。概して運転が上手で、クルマに関して一家言を持っている人達だ

 高齢者のためのクルマ選びを考えるうえでは、複数の条件がある。

 まず安全装備は、なるべく充実させたい。安全装備が大切なのは高齢者に限らないが、前述の通り高齢になると、運転ミスが生じる心配が強まるからだ。運転ミスをある程度までカバーできる安全装備は特に大切だ。

 ミスを抑えるには、本質的に運転のしやすいクルマであることも求められる。ボディは比較的コンパクトで、視界や取りまわし性の優れた車種が好ましい。

 体力が衰えていることを考慮すると、乗降性も大切だ。着座位置が極端に低かったり、逆に高いクルマは、腰の移動量が多いために乗り降りがしにくい。着座位置が適度で、スムーズに乗り降りできるクルマが好ましい。

 これらの条件は、安全面まで含めて扱いやすさに含まれるが、それだけでは満足できないだろう。高齢のドライバーには、運転経験が豊富で、さまざまなクルマを乗り継いだ人も多く含まれるからだ。いかにも「高齢者向け」といった雰囲気のクルマは敬遠される。

 つまり年齢や性別を問わず、多くのユーザーが「これが欲しい!」と思えるような魅力のあるクルマで、なおかつ高齢のドライバーにも相応しい車種を探さねばならない。

 特に第二次世界大戦後に生まれた団塊の世代に属する人達には、1960年代から1970年代の初頭に運転免許を取得した人が多い。

 当時はトヨタ 1600GT/2000GT/初代セリカ、初代日産 フェアレディZ、ホンダ Sシリーズなど、スポーツカーが華々しく登場した。購入できなくても関心は高く、最初の「クルマ好き世代」に位置付けられる。

 そして景気の良かった1980年代には、ちょうど働き盛りで、トヨタ ソアラ、日産 シーマ、ホンダ レジェンド、あるいはメルセデスベンツやBMWなどの輸入車を所有した人も多いだろう。

 そのような人達は、概して運転が上手で、クルマに関して一家言を持っている。初心者ドライバー向けのような車種を提案しても、敬遠されて当然だ。そこであくまでもクルマ好きの目線で、高齢ドライバーに推奨できる車種を考えてみた。

スポーツカーを乗り継いだクルマ好き:スズキ スイフトスポーツ(202万8400円/6速MT)

スズキ スイフトスポーツはスポーツカーを乗り継いだクルマ好きにオススメ。動力性能が適度に高く、操舵感にも優れるので走るのが楽しくなる

 ベテランドライバーも満足できるコンパクトカーの最高峰はスイフトスポーツだ。直列4気筒1.4Lターボエンジンと相まって、動力性能は適度に高い。操舵感や走行安定性も優れているから、峠道の走りも楽しい。ドライバーが自分の手足のように操れる。

 ボディがコンパクトだから街中でも運転しやすく、乗降性も悪くない。走行性能や内外装の質を考えると、価格も割安だ。

 そして6速MTなら、ペダルの踏み間違いによる急発進事故も防げる。MTで急発進させるには、デリケートなペダル操作が必要になるからだ。MTを乱暴に扱えば、発進すらできない。安全装備や運転支援機能も充実している。

■野山が好きなアクティブ派:トヨタ ライズ1.2Z(203万9000円/CVT)

トヨタ ライズはアクティブなアウトドア好きにオススメ。SUVらしいデザインながら運転がしやすい。高齢者向けに見えないのに高齢者にもやさしいクルマだ

 アクティブなカッコ良さを重視するなら、コンパクトSUVのライズを推奨したい。外観がSUVの普遍的なデザインだから、幅広い年齢層に適する。

 SUVだから着座位置も適度に高く、乗り降りがしやすい。水平基調のボディスタイルによって視界も良く、狭い駐車場でも運転しやすい。縦列駐車も比較的容易に行える。

 このようにライズは、実際に運転すると高齢ドライバーに優しいクルマだと気付くが、車両の雰囲気は適度に野性的で愛玩動物風のイメージはない。「運転しやすそうですね」「可愛いクルマですね」などと言われないところに、ライズの魅力がある。

■高級志向のプレミアム派:日産 ノートオーラG(265万4300円)

日産 ノートオーラは高級志向の人にオススメ。内装も乗り味も上質な「隠れた高級車」。見る人が見れば分かるさりげないプレミアム感が所有欲と優越感をくすぐる

 ノートオーラはノートの上級シリーズだ。全長が4m少々のコンパクトカーだが、インパネなどの内装を上質に仕上げた。「小さな高級車」的な雰囲気も感じられ、過去にLサイズセダンやスペシャルティクーペを所有したベテランドライバーも、不満を感じないだろう。

 パワーユニットはハイブリッドのe-POWERのみで、エンジンは発電、モーターが駆動を担当するから、加速感は電気自動車と同様に滑らかだ。

 しかもノートオーラの動力性能は、ノートよりも少し高められて、加速に余裕を感じる。ノイズは小さく、まさにプレミアム感覚のコンパクトカーだ。

■輸入車好きのお洒落派に:BMWミニ クーパー3ドア(349万円)

BMWミニ クーパーはおしゃれな輸入車好きにオススメ。コンパクトで取り回しがよく運転しやすいという高齢者に適した特性を持ちながら、操舵感は適度に機敏で、運転の楽しさを満喫できる

 運転のしやすいサイズで、個性が強く、上質なクルマが欲しいなら、少し価格は高いがBMWミニが良いだろう。3ドアボディは全長が3865mm、全幅も3ナンバーサイズながら1725mmに抑えた。最小回転半径も5.3mだから、混雑した街中や駐車場でも運転しやすい。

 その一方で操舵感は適度に機敏で、運転の楽しさを満喫できる。内外装も個性的で適度な刺激が心地よい。「趣味はクルマ」という人にはピッタリだ。運転しやすいのに、高齢ドライバーのイメージをまったく感じさせない。

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