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11月11日(木)にMediaTekのExecutive Summitで、同社のクライアントコンピューティングビジネス部門のバイスプレジデント兼ゼネラルマネージャーであるAdam King氏は、エントリーレベルのChromebook向けチップセット「Kompanio 520」および「Kompanio 528」を発表しました。新しいチップはKompanio 500の後継であり、CPU、GPU、ビデオコーデックがアップグレードされて電力効率が向上し、より高解像度のディスプレイがサポートされるようになっています。

どちらの製品も、2つの高性能コア「Arm Cortex-A76」と6つの高効率コア「Arm Cortex-A55」を組み合わせたヘテロジニアスな8コアCPUとなっており、4つのCortex-A73と4つのCortex-A53を備えたKompanion 500から大幅にアップグレードされています。メモリは、3733MHzで動作するLPDDR4X RAMにアクセスします。

クライアントコンピューティングビジネス部門のバイスプレジデント兼ゼネラルマネージャーを務めるAdam King氏は、新しいKompanionチップのシングルコア性能の向上について説明しました。

520と528の唯一の違いは、高性能コアの周波数で、520では2GHz、528では2.2GHzとなっています。

講演の中で、Adam King氏は、前世代と比較してシングルコアのパフォーマンスが80%、マルチコアのパフォーマンスも15%、それぞれ向上したと述べました。

“シングルコアのパフォーマンスは、前世代と比較して80%向上しました”

MediaTekは、特にワットあたりのパフォーマンスに関しては、ヘテロジニアスではない一般的なChromebook向けプロセッサ「Celeron N4500」に対してかなりのアドバンテージがあると説明しています。特定のタスクを実行するための消費電力が少ないことは、二酸化炭素の排出量が少ないと見なすことも出来る(電力生産によって二酸化炭素が排出される)ので、電力効率が高いほどESG(環境、社会、ガバナンス)指標が向上するはずです。

クライアントコンピューティングGTMのシニアディレクターを務めるVictor Tyan氏は、「特にMediaTekの低電力プロセッサが生成するエネルギベースの温室効果ガス排出量が、競合プラットフォームと比較して40〜60%少ない高負荷の処理においても、Kompanio製品のサステナビリティの利点は非常に重要です」と述べています。

電力効率と性能をIntel Celeron N4500と比較

GPUの面では、どちらの新型チップも「Arm Mali-G72 MP3」が「Arm Mali-G52 MC2 2EE」に置き換えられています。「これら2つのGPUは、パフォーマンスの観点では非常に近く、ほとんどの人にとって実際の使用状況では目立った性能の違いは見られないでしょう。しかし、それでもより優れたGPUが必要な場合には、Mali-G52 MC2の方が最適です」とTech Centurionでは説明されています。より正確な結果を得るには、それをテストする必要がありそうです。

MediaTekはGPUが20%高速になったと紹介

新しいデュアルコアAPUは、AIによる低照度ビデオのリアルタイムのノイズリダクションといったAI機能や、仮想グリーンスクリーンと画質向上(画像内の様々な部分に最適化された色調やコントラストの調整)に使用される画像のセグメンテーションとタグ付けの支援等を提供します。

ISPも改良され、最大32MPのカメラをサポートします。この特徴では、スマートフォン向けSoCの技術が活用されています。各メーカーは、近い将来では最大解像度のカメラは使用しないかもしれませんが、例えば5MPに簡単に縮小することも出来ます。これによって、既存のラップトップに搭載されているWebカメラ(ほとんどが0.7MP)よりも大幅に改善されます。

強化されたマルチメディアエンジンは、VP9 ハードウェアデコーディングとH.265 エンコーディングにそれぞれ対応しており、前世代(VP9ソフトウェアコーデック)のH.264 エンコーディング及びH.264/ H.265 /HEVC デコーディングからアップグレードされています。このシステムは現在、FHD 60fpsの動画撮影に対応しており、Kompanio 500のFHD 30fpsから強化されています。MediaTekは、マルチメディアユニットについて、2倍のパフォーマンスを発揮すると述べています。

Kompanio 520/528はそれぞれFHD+のディスプレイとFHDの外部ディスプレイをサポートしており、前世代のチップセットと比較してサポートする解像度は2倍になっています。

ChromeOSは優れたセキュリティ実績で知られており、Victor Tyan氏は、MediaTekがGoogleと緊密に連携して、ベリファイドブートやウイルス対策、マルチユーザーサポート等の最新セキュリティ機能を同社の最新プロセッサに統合していることも付け加えています。

まとめ


「Kompanio 520」と「Kompanio 528」は、非常にお手頃価格のChromebookセグメントにおいて、そのパフォーマンスと高い電力効率の点から見て非常に有望です。

MediaTekは、バッテリーは1日中持つと説明しており、これによってバッテリー切れの不安が軽減され、学生が勉強に集中出来るようになるでしょう。この特徴を証明するために、同社は教育系展示会でのブースの写真を公開しました。そこでは、Kompanioを搭載した様々なChromebookが、電源ケーブルが1本も置かれていない状態で展示されていました。

配線の無い教室で子供たちが自由に動き回るほうが確実に安全なので、学校等の教育機関はこの点を大いに評価するでしょうし、IT担当者は全てのコンピューターを管理しやすいため、この機能を大いに気に入るかもしれません。

この記事は、編集部が日本向けに翻訳・編集したものです。

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