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Image:NASA

今年7月に打ち上げられ、月へ向かっていた電子レンジほどの大きさのキューブサット「CAPSTONE」が、11月14日に行われたエンジン燃焼によって、月を周回する軌道に到達した。NASAによるとCAPSTONEは、地球と月の重力がバランスするポイントに位置する月長楕円極軌道(NRHO:Near rectilinear halo orbit)に投入された。

NRHOはNASAの月探査計画「Artemis」において、月近傍の有人拠点となる宇宙ステーション「月軌道プラットフォームゲートウェイ」が使用する予定の軌道。月との距離は、最接近時には月面から1500km以内になるため、探査のためにゲートウェイから月低軌道へ移動する所要時間が半日ほどですむという。

CAPSTONEはNRHOを飛行する最初の宇宙機となり、初の月周回軌道で運用されるキューブサットになった。NASAは、CAPSTONEがさらにNRHOを正確にトレースできるよう、今後5日以内に2度のマヌーバを実施する予定だ。そして、その後軌道を維持していることを確認するためのデータをチェックする。

なおCAPSTONEの役割には、NRHOのほかにも、宇宙船間ナビゲーションを司るソフトウェア技術「CAPS(Cislunar Autonomous Positioning System)」の実証試験も含まれている。

CAPSは将来のミッションにおいて、探査機が地球からの追跡に頼ることなく位置を把握可能にするためのもの。CAPSTONEはNASAの月周回探査機LRO(Lunar Reconnaissance Orbiter)と直接通信し、宇宙空間での自らの位置を知ることが可能になる。このソフトウェアもまた、Artemis計画においてミッションをサポートする技術のひとつとして役立てられる予定だ。