11月10日、MotoGPライダーのマルク・マルケス(レプソル・ホンダ・チーム)は、スペイン・マドリードのハラマ・サーキットで、レプソルが開発したバイオ燃料の走行テストを、MotoGPマシンとほぼ同等の性能を発揮するホンダRC213V-Sで行った。
レプソルとホンダがテストしたのは、レプソルの研究センターであるテクノロジーラボで開発中の、パフォーマンスを損なわずにCO2排出量を低減することを目的とした再生可能燃料だ。レプソルは、競技用バイオ燃料として、すでにダカールラリーで再生可能燃料、フランスF4シリーズで100%非化石由来の燃料を供給した実績がある。
マルケスはその燃料を使用してハラマ・サーキットでRC213V-Sを走らせた。今回のテストでは先進のバイオ燃料が使用されたが、エンジン性能を損なわずに、通常の燃料と同等の性能を発揮したという。
MotoGPを統括するFIM(国際モーターサイクリズム連盟)は、MotoGPで2024年までに使用燃料の最低40%を、そして2027年までには100%を非化石由来の燃料に置き換えていくという方針を発表している。そのため、HRCのエンジニアとレプソルの研究者は、このテストで得たマルケスのインプレッションをもとに、2024年MotoGPシーズンに向けた最良の燃料開発を続けていく。
また、レプソルは、2023年前半に初めての先進バイオ燃料工場をスペイン・カルタヘナで設立、25万トンの再生可能燃料を生産予定だという。さらに、ビルバオの合成燃料工場は、2024年に実証レベルでの生産に入る予定だ。これらの工場は、2025年までに13万トン、および2030年には20万トンの再生可能燃料の生産能力を実現し、2050年の排出ガスゼロに大きく近づく計画の中で、イベリア半島でのリーダーとして大事な役割を担っている。
■マルク・マルケス
「有意義なテストだった。バイオ燃料と通常の燃料の違いが分からないくらいで、ハイレベルなパフォーマンスを維持する目的が達成できたのではと思う。レプソルがサーキットに新たに製品を持ち込むときは、もちろんさまざまなテストを実施した上だとは思うが、こうやって実際にサーキットでテストを行い、最高のレースをするために重要となる、湿度や気温などによる性能の変動がないかを確認することも重要だ」
「ライダーとしては、エンジンレスポンスを重視する。きれいな回転の伸び、最初アクセルを開けた瞬間の立ち上がりの感触が重要で、時にはアグレッシブすぎる燃焼を起こしたりもする。今回はスムーズだった。また、最大限のパフォーマンスが要求される高回転域でもエンジンは至ってスムーズだった」
■ドロレス・カルデナス(レプソル・テクノロジー・ラボ)
「こういったタイプの燃料で重要なのは、通常の燃料とのフィーリングの違いが分からないことになる。ポイントは製造法にあって、大きく2タイプある。ひとつはバイオマス残留物由来の再生可能燃料、もうひとつは、CO2と再生可能な水素の合成燃料になる」
「FIMはサステナビリティに向けたロードマップを発表していて、最初のステップは2024年に最低40%の非化石由来の燃料を使用すること。レプソルでは既に開発を進めていて、実はすでに100%再生可能燃料をフランスF4選手権に供給している。また、レプソルのラリーチームも、前回のダカールでは50%のバイオ燃料を使用した。今度はMotoGPの番だ」