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かつての「タフギア」が復活か? 新型エクストレイルが歴代で最も爆売れしているワケ

 2022年7月20日に発表、25日から発売を開始した4代目となる新型日産 エクストレイル。発売2週間で受注が1万2千台を突破する好調な滑り出しとなっている。

 e-POWERやe-4ORCEの導入やVCターボの採用など、注目のトピックが盛りだくさんとなった4代目エクストレイルの魅力と人気の秘密を遠藤徹氏が解説!

文/遠藤 徹、写真/NISSAN

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■歴代エクストレイルで最高の滑り出し!

2022年7月20日に発表、25日から発売を開始した新型日産 エクストレイル

 日産が2022年7月20日に発表、同月25日から発売開始している「新型エクストレイル」が絶好調の滑り出しを見せている。日産によると、2022年8月7日時点の受注台数は1万2213台で、歴代モデルでは今回の4代目モデルが最も多いスタートダッシュだという。

 同受注台数の内訳は、駆動方式別だと90%が電動駆動の4輪制御技術「e-4ORCE」モデルとなっていて、グレード別では最上級の「G」が61%、中間の「X」が37%、最も廉価の「S」が2%となっている。

 首都圏の販売店によると、2022年8月上旬現在の納期は2023年2月となっていた。その後は8月23日現在でさらに先送りされ、2023年5月上旬にずれ込んでいる。推定受注累計台数は1万5000台以上に達した。

■エクストレイル好評価の要因とは

 新型エクストレイルの好評価の要因を首都圏にある日産店、日産プリンス店の営業関係者に聞いてみた。

 「外観デザインが歴代モデルで最も人気の高かった2代目モデルに似せたことで、直線を強めた塊感のある逞しさが一段と感じられる。

 パワーユニットに新たに開発した1.5Lターボのe-POWERを搭載したことで、静かで高トルクな走りのポテンシャルアップが図られている、電気の力で4輪を総合制御するe-4ORCEによってあらゆるシーンでの『走る、曲がる、止まる』が飛躍的に向上し、ハイクォリティな作りと操作性のよさなどが受けている」

 などとコメントしている。

 販売店の発表、展示会、試乗会は2022年8月6~7日、13~14日と連続して開催したが、実際にハンドルを握ることによってそのよさがさらに浸透し、受注台数も加速度的に伸びている状況にある。

 従来モデルも4WD車が中心でシリーズ全体の80%以上を占めていたが、新型車ではさらに10ポイント以上も4WD比率が高まっているのは、e-4ORCEの採用が大きく影響しているようだ。

 ボディカラーはモノトーンのブリリアントホワイトパールを中心にダイヤモンドブラック、ブリリアントシルバーの人気が高い。2トーンは全体の20%程度を占めている。

 パワーユニットは従来の2LガソリンNA、2Lハイブリッド(1モーター2クラッチ方式)から1.5Lターボのe-POWERに1本化したわけだが、これが今のところ成功しているといえる状況にある。

■好調の裏で気になるエクストレイルの不安点

1.5Lターボのe-POWER1本に絞ったのは成功といえるが、価格設定が割高になったことは若干の不安材料といえる

 ただ、日産にとっては新型エクストレイルが軽自動車EV「サクラ」に次ぐヒットの予感となりそうだが、不安部分がまったくないわけではない。クォリティ、性能、同クラスSUVとしての出来は万全といえるが、1.5Lターボのe-POWER1本に絞ったことで、価格設定が割高になったことである。

 車両本体価格はメインの4WDで380万9128円~482万8828円、FF352万8628~462万8628円と200万円台のグレードがなくなっている。

 これに対してライバルのトヨタ RAV4(PHEV車を除く)は293万8000~430万4000円、スバル フォレスターの299万2000~363万円、マツダ CX-5の276万6500~417万100円であり、新型エクストレイルよりも約80万~100万円も安いのである。

 新型エクストレイルは発売されて4カ月ほどの新型モデルであるから、これら車両本体価格にオプション&付属品50万円程度を装備しても、10万円程度しか値引きをしていない。

 これに対してライバル他車は改良を受けつつも発売後2年半以上が経過した古いモデルがほとんどだから30万円以上も値引きするので、さらにエクストレイルよりも割安で買える状況にある。

■残価設定クレジットで支払額に負担感はないが納期の長期化を懸念

販売店側の懸念は、やはり長期化する納期の動向のようだ

 今後、エクストレイルは現在の最高グレードから中間のXと次第に買い得のモデルに売れ筋がシフトして行くのが確実だから、その時点で割高な価格設定が受注ブレーキに拍車をかけることも予想される。

 首都圏にある日産店で、新型エクストレイル2列シートGのe-4ORCEで4WD(メーカーオプション付車両本体価格458万円1500円)にカーアラームスタンダード、ウィンドウ撥水ベーシックパックプラス、ボディコートなど約40万円の付属品を付け、法定&法定外費用も含めて弾いてもらうと支払い合計は525万円弱と出た。

 初回の値引き提示額は5万円が提示された。これを頭金100万円、5年60回の均等払いによる残価設定クレジットで組むと、実質年利4.9%で初回4万7000円、毎月均等払い4万3000円程度となった。

証言:首都圏日産店営業担当者

 「新型エクストレイルの滑り出しは絶好調といえるが、手放しで喜べる状況ではない。納期が長引き、販売代金が充分に入手できていないので、収益上は厳しい状況にあるからだ。

 新開発の1.5Lターボのe-POWER車に1本化したことで、走りや静粛性が向上、クォリティアップで売りやすくなったが、価格が大幅にアップした。購入者のほとんどが残価設定クレジットだから、毎月の支払額にあまり負担感がないのが今のところは追い風になっている。

 今後、次第に売れ筋が下級グレードシフトしていき、ライバル車との競合が頻繁化するようになると、価格競争力の弱さがネックになる可能性がある」

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