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 冬支度の季節。雪の多い地域にお住まいの人は、スタッドレスタイヤの準備などされていると思う。

 いっぽう「年に1~2回しか雪が降らない」というエリアに住んでいる人は、冬用タイヤに頭を悩ませているはず。夏冬2セットのタイヤを抱えるのはお金もかかるし、履き替えもめんどう。保管場所だって確保しなければならないためだ。

 そんな人におすすめなのが、オールシーズンタイヤ。少し前までは数の限られた少数派的な存在だったが、近年はタイヤメーカー各社が新商品を投入し、ラインナップが充実してきた。そこでオールシーズンタイヤとは何かを解説しつつ、各社の最新製品を紹介してみよう。

文/ベストカーWeb編集部
写真/横浜ゴム、トーヨータイヤ、ブリヂストン、ダンロップ、グッドイヤー、ミシュラン、コンチネンタル、ピレリ、AdobeStock(トップ画像=kelly marken@AdobeStock)

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突然の雪を気にせず走れる安心感

ひと冬に2、3回、パラつく程度に雪が降るというような地域にお住まいの人には、オールシーズンタイヤという選択肢も考えられる(kichigin19@AdobeStock)

 改めて解説すると、オールシーズンタイヤとは夏場の乾いた路面から雨天、軽微な積雪路まで、1年を通じて使用できる全天候型タイヤのこと。

 静粛性や摩耗性など、夏タイヤに求められる要件を確保しつつ、突然の雪も乗り切れるグリップ能力を備えているから、これさえ履いておけば突然の雪の知らせに悩まされることなく、クルマ生活が送れるというわけだ。

 もちろん「冬用タイヤ規制」がかけられた道路だって通行できる。ちなみに冬のタイヤ規制には「冬用タイヤ規制」と「チェーン規制」があるのだが、後者の「チェーン規制」がかかった道路は、スタッドレスタイヤも含めてチェーン装着が必須だから間違えないようにしたい。

 オールシーズンタイヤかどうかを判断するには、タイヤ側面(サイドウォール)に「スノーフレークマーク」があるかどうかをチェックしたい。これはアメリカの試験材料協会(ASTM)が過酷な寒冷地でも性能を発揮すると認めた証で、日本もこのマークがあるタイヤを冬用タイヤとして認証している。

 「M+S」という刻印もあるが、これは「マッド+スノー」を意味し、雪はもちろん泥濘地の走破性も高いことを表す。SUVでキャンプなどに行くという人には役立つ機能といえよう。

 もちろんオールシーズンタイヤも万能ではない。夏タイヤと冬タイヤの相反する要件を両立させているため、静粛性や耐摩耗性、乗り心地、雪上グリップなどは専用タイヤよりも劣ることを頭に入れておきたい。

 特に気を付けたいのは凍結路面での性能。スタッドレスほどの食いつきは期待できないので過信は絶対禁物だ。

 またオールシーズンタイヤにもスノープラットフォーム(冬タイヤとしての摩耗限界を知らせる印)があり、冬タイヤとしての能力が夏タイヤよりも早く終わる。燃費性能の目安となる低燃費タイヤのラベリングについても、オールシーズンタイヤは非対応のものがほとんどなので注意しよう。

 そういった知識を頭にいれたうえで、各社のオールシーズンタイヤをチェックしてみよう。

多様なラインナップから好みのタイヤが選べる

●ヨコハマタイヤ BluEarth-4S AW21(ブルーアース4S AW21)

ヨコハマタイヤ BluEarth-4S AW21

 ドライ路面でしっかりと走れる剛性を持たせつつ、雪上路面で効果的な溝を多く配置した独自の専用パターンを採用。

 幅広トレッドを採用して広い接地面積を確保するとともに、特長的なV字ダイバージェントグルーブとクロスグルーブが、雪面でのエッジの確保と排雪に威力を発揮する。14インチから19インチまで計32サイズを展開。

●トーヨー CELSIUS(セルシアス)

トーヨー CELSIUS

 専用開発されたトレッドコンパウンドには、シリカの分散を向上させるアクティブポリマーを採用。トレッド面のアウト側にドライ&ウェット性能、イン側にスノー性能を重視したパターンを配するという非対称パターンを持つオールシーズンタイヤ。

 14インチから18インチまで全19サイズを展開。ハイエースに適した「セルシアス・カーゴ」もあり。

●ブリヂストン MULTI WEATHER(マルチウェザー)

ブリヂストン MULTI WEATHER

 路面環境の複雑な日本(雪が「昼間に融けて夜凍る」を繰り返す)では、オールシーズンタイヤの発売に慎重だったブリヂストン。

 2021年に系列タイヤショップであるコックピット/タイヤ館で「マルチウェザー」というオールシーズンタイヤの販売を始めた。13インチから18インチまで全25サイズを展開し、幅広いニーズに対応している。

●ダンロップ ALL SEASON MAXX AS1(オールシーズンマックスAS1)

ダンロップ ALL SEASON MAXX AS1

 常温ではサマータイヤと同等の硬さを持ち、低温下でも硬くなりにくい新開発の「超マルチコンパウンド」を採用。独自のスイッチグルーブや幅広のセンターリブと相まって優れた雪上性能を発揮する。

 ウェットブレーキやロングライフなどの面では、同社のスタンダードサマータイヤを凌ぐ性能を持つ。乗用車から商用車まで幅広いサイズ展開も魅力。

●グッドイヤー VECTOR 4SEASONS GEN-3(ベクター フォーシーズンズ GEN-3)

グッドイヤー VECTOR 4SEASONS GEN-3

 オールシーズンタイヤの草分けであるグッドイヤーからは、人気のベクター フォーシーズンズがGEN-3(第3世代)へと進化した。

 冬性能はもちろん、ウェット&ドライ路面での走行性能を一段と高めつつ、時代が求める燃費性能や長寿命といった環境性能も付加されている。車重の重いSUV向けに設計された「GEN-3 SUV」もある。

●ミシュラン CROSSCLIMATE 2(クロスクライメート2)

ミシュラン CROSSCLIMATE 2

 新開発のトレッドコンパウンドを採用し、ドライ、ウェット、雪上路面など、刻々と変化する路面状況に幅広く対応する。

 センターからショルダー部にかけて、溝面積が広くなる新設計で、従来品に比べて大きく切れ込んだV字角の新トレッドパターンを採用。排水・排雪性能に貢献し、ウェット、雪上路面においてより高いパフォーマンスを発揮する。

●コンチネンタル AllSeason Contact(オールシーズンコンタクト)

コンチネンタル AllSeason Contact

 シリカ・コンパウンドが、年間を通じて優れたグリップ力とブレーキ性能を発揮。ハイドロプレーニング対策のオープンショルダーと高剛性のパターンの組み合わせで、一年を通じてクルマをきちんと制御できる。

 釘や突起物によるトレッド面の穴を、インナーライナー上に配した粘着性の高いシーリング材が即座に密封する独自のテクノロジー「ContiSeal」を採用。

●ピレリ CINTURATO ALL SEASON SF 2(チンチュラート オールシーズンSF2)

ピレリ CINTURATO ALL SEASON SF 2

 SUV向けを軸に多彩なオールシーズンタイヤをラインナップするピレリ。乗用車向けのチンチュラート オールシーズンに新製品が登場した。

 長寿命化とさまざまな気象条件での安全性に焦点を置き、都市部でのドライブとツーリング走行での製品性能を満たすように設計。パンクに強いランフラットテクノロジーとシールインサイドをサイズにより使い分けている。

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