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 しげの秀一原作『MFゴースト』(講談社「ヤングマガジン」連載中)の2023年TVアニメ化が決定。2022年1月4日にはアニメ化を記念し、ティザービジュアルが公開された。

 本作のアニメ化にあたり、実車を使用した音声収録を実施しており、特報映像内に登場するそれぞれのクルマには生の収録音が反映されている。 今後アニメに登場するクルマにも実際の走行音や効果音が使用される予定だ。

 その実車の音声収録が2021年12月某日、JARI(日本自動車研究所)城里テストコースで行われるというので、ベストカーWebが同行取材!

 真冬の寒空の下、アニメ『MFゴースト』第2回目の音ロケが日本自動車研究所で実施された。早朝はマイナス3℃と、この時期らしい気温だったが、日中は8℃まで上昇してくれたことがありがたかった。

 今回のロケに持ち込まれた車両は9台。全車の収録をするためには効率よく進行しなくてはいけなくて、1台に費やせる時間はわずかだ。2023年にアニメ化が発表された『MFゴースト』に登場するマシンの音ロケが実施された。

 レポートVol.6の今回は、日本車勢にスポットをあててみたい。今回はチューニングカーのオンパレードだ!

文/プリウス武井
写真/森山良雄、中島仁菜
画像提供/音速movies
撮影協力/講談社、エイベックス・ピクチャーズ、BLITZ、ヴォイス・アクターズ・レーシングチーム
車両協力/BLITZ
©️しげの秀一・講談社/MFゴースト製作委員会

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■ホンダ シビックタイプR/『MFゴースト』登場キャラクター・前園和宏

ホンダ シビックタイプR(FK8型)。専用の2L 直4VTECターボエンジン(320ps/40.8kgm)を搭載。FFらしからぬハンドリングを実現した、ホンダレーシングスピリットの象徴的モデルだ

 まずは2017年7月に復活したホンダ シビックタイプR。ドライバーは28歳の前園和宏(まえぞの かずひろ)。カーナンバーは13。主人公の片桐夏向やヤジキタ兄妹に抜かれる描写で今のところいいところはなく、ホンダファンにとっては歯がゆいところ。しかしながら神15に入る実力を持つドライバーでもあるので今後に期待したいキャラクターでもある。

 今のところ神15の中では唯一FFで戦うのが前園。実際、FK8型タイプRの旋回性は、よくぞここまで仕上げたと感心するほどFFぽくない味付け。とはいえ駆動輪のフロントタイヤには負荷がかかるし、320psというエンジンパワーは加速時のタイヤマネージメントに苦労する。MFGのレギュレーションではグリップウエイトレシオというルールで履けるタイヤが規制されるので、コースによっては我慢のドライビングが必要だ。

 音ロケではBLITZのデモカーを持ち込んで収録。吸排気とECUチューニングが施され352.6ps/48.2kgmと大幅にパワーが増大。アクセルレスポンスもノーマルよりも反応がよくなっていて、ホイールスピン厳禁の高速周回路において0-100km/h加速はわずか6秒。さらに最高速度は263km/hを記録。

 ちなみに今回の音ロケでは高速周回路を半周しか使っていないので、もしフルコースで走行できたら280km/hは軽く超えるほほどのポテンシャルを持っている。とはいえ2Lターボで260キロオーバーというのは驚きの速さだ。

 このタイプRはエキゾーストも変更されていて全開走行時の音は最高。サスペンションはBLITZ製 ZZ-R SpecDSC PLUSを装着。路面ギャップがある一般道では凹凸を吸収するのにコーナーではタイヤの性能を活かせるサスペンションだ。

 『MFゴースト』の中でも、前園シビックタイプRはチューニングが施されているけど、BLITZのシビックタイプRはお手本のようなチューニングメニューというは付け加えておこう。

■トヨタ GRスープラ/『MFゴースト』登場キャラクター・諸星瀬奈

トヨタ GRスープラ。17年ぶりに復活した5代目モデルは、トヨタとBMWとの共同開発で生まれた。歴代スープラ同様「ロングノーズ・ショートデッキ」スタイルを採用する、トヨタのフラッグシップスポーツだ

 次にスポットを当てるのはトヨタ GRスープラだ。この車両も一旦カタログから消滅したが、復活を果たした1台だ。

 本作『MFゴースト』では最も注目される男が駆るGRスープラの音ロケでは、声優レーシングチーム・VART(通称ヴァート)スープラを持ち込んだ。このスープラは公道からサーキットまで走れるようチューニングが施されている。製作を担当したのはVARTのテクニカルサポートをしてくれているBLITZ。ベースとなっているのはSZ-R(2Lターボ)だ。

 VARTスープラは、ECUの交換はせず新たに開発したパワスロというパーツを付け、ブーストアップを図った。それに伴いスロットルレスポンスはノーマルよりも向上している。

 エキゾースト本体もノーマルを活かしテールのみ交換。0-100加速では6.5秒。最高速は219km/hを記録。見た目は300km/hくらい出そうな雰囲気だけど、搭載されるエンジンのスペックを考えると86よりも少し速い程度。SZ-Rとしては悪くないトップスピードだと思う。また、超高速域での走行がでは終始安定していて追加装備されたリアウイングがいい仕事をしている

 ブレーキは開発中だったビックキャリパーキットIIに変更。キャリパーは鍛造製造で軽量、高剛性を両立。ノーマルよりも耐フェード性も高く、ATのスープラではブレーキ制動性はマストで欲しいところ。レース用のブレーキは公道では扱いことが難いことが多いけど、このブレーキはサーキットと一般道が両立できるまさにVARTが求めていたブレーキだ。

 装着しているタイヤ&ホイールはダンロップ ディレッツアZIII+ENKEI RS05RR製。さらにサスペンションはBLITZ製 ZZ-R SpecDSC PLUSに変更している。乗り味はノーマルよりもしなやかなにコーナーでは高い旋回性を確保している。ノーマルよりもロールセンターが低くなっている効果でステアリングを切り込んだ際、ロール感も軽微で安心してコーナーにアプローチできる。

劇中車は3.0L 直列6気筒ターボエンジン(387ps/51.0kgm)を搭載した「RZ」。パワーはおとなし目だが、上位勢を撃墜する速さを見せている

 GRスープラはトランスミッションの反応が鈍いのが残念。乾式クラッチではないので全開で走行すると、性能の低さが露呈する。正直、パドルは使わずATで走るほうが速く走れる。

 『MFゴースト』でスープラに乗るドライバーは群馬出身の諸星瀬奈(もろぼしせな・21歳)。第3戦ペニンシュラ真鶴からMFGに参戦。高橋兄弟が主宰するドライバー育成プログラム「ドリームプロジェクト」出身のドライバーで勝つことを義務付けられた男。デビューレースでいきなり神15に入る実力を持ち、藤原拓海の弟子である夏向とのバトルはアニメ版においても見ものだ。

■トヨタ 86/『MFゴースト』登場キャラクター・片桐夏向

主人公である片桐夏向が駆るトヨタ 86。劇中では、オートショップ『スパイラルゼロ』を経営する奥山広也が手掛けた、サスペンション、ブレーキ、吸排気系などをチューンした芦ノ湖GT仕様と重なる

 このパートでは最後となる車両は主人公の片桐夏向(かたぎり かなた)が駆るトヨタ86。86もまた復活組の車両だ。

 カナタ・リヴィントン/片桐夏向(かたぎりかなた)19歳。最年少ドライバーで藤原拓海の弟子。『頭文字D』ファンにとっては郷愁を感じることだろう。

 開幕戦の小田原パイクスピークはほぼノーマルの86で挑んだが、神がかったドライビングセンスで予選を突破。決勝でも並外れたドライビングで注目を集めた。第2戦ではマシンをアップデート。『MFゴースト』では毎戦ごとに86がアップデートされるのも注目ポイントだ。

 本作ではマシンスペックは詳細には語られていないのでさまざまな憶測が飛んでいるが、ここだけの話、このVART86が芦ノ湖GT仕様だ。VART86を製作したのはBLITZ。原作とも深いかかわりのあるショップだ。

 芦ノ湖GT仕様は、ECUチューニングと吸排気、アクセルスロットルコントロールなど最新の電子パーツが装着されている。マフラーはチタン製。エキゾーストマニホールドも変更し、ECU専用セッティングで最高出力は220psまでにアップ。ノーマルと比較すると、アクセルレスポンスが抜群に向上していて、停止状態からの加速は軽快でトルク感が増大している。

 0-100km/h加速では8秒。数字だけみるとライバルのクルマよりも劣るが、音ロケを実施したJARIの高速周回路は、路面にタイヤ痕禁止のためゼロ発進加速では派手なホイールスピンはしないよう慎重に加速した。のちにインカー映像でも確認したが、かなりのタイムロスをしているのは明らかで、実際は7秒台では走れる実力を持っている。最高速は210km/hを記録。200km/hまでの到達スピードは32秒だった。

 ブレーキはキャリパー、ローターともに大型化されたBLITZ製。サスペンションはBLITZ製 32段式ZZ-R SpecDSC PLUSに変更に伴い機械式LSDにアップデート。さらにFIA格式のロールゲージも装備しボディ剛性が格段にアップしコーナーリングマシンへと変貌している。車両重量は1200kg台と軽量だ。具体的な仕様を知りたい方はBLITZのホームページにあるVARTのバナーをクリックすれば確認できる。

撮影車両は、人気声優レーシングチーム・ヴォイスアクターズレーシングチームが「エビス12時間耐久レース」などに出場したVART86。劇中車と同じく、実戦で磨かれたマシンだ

 芦ノ湖GT仕様86のエキゾーストノートはハートを揺さぶられ最高の音なのでアニメでは最も注目するポイント。日本車勢のレポートはここまでだが、『MFゴースト』音ロケレポートはまだまだ続く!

 今後も『MFゴースト』に登場する車両の音声収録を予定しています。最新情報が入り次第、お伝えしていきますので乞うご期待!

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■TVアニメ『MFゴースト』放送情報:2023年放送予定

■スタッフ
原作:しげの秀一(講談社「ヤングマガジン」連載)

■MFゴーストとは……
『MFゴースト』は、しげの秀一原作にて、2017年より「ヤングマガジン」(講談社)で連載中の漫画作品。単行本の累計発行部数は350万部を突破。同じく「ヤングマガジン」にて1995年から2013年まで連載され“公道最速伝説”を描いた『頭文字D』の近未来の世界観設定のもと、実在する公道でのカーレースバトルを描いている。原作コミックス最新巻、第14巻が好評発売中!

■イントロダクション
『頭文字D』より未来、西暦202X年。車の自動運転が普及した日本。そんな時代に、公道の自動車レースが開催されていた。世界中で人気を集めるレースの名はMFG。ポルシェ、フェラーリ、ランボルギーニなど最速を誇るマシンが次々に参戦していた。一方、イギリスのレーシングスクールを卒業したドライバー、カナタ・リヴィントンは、ある目的を果たすため日本に帰国するのであった。

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MFゴースト(15) (ヤングマガジンコミックス) MFゴースト(15) (ヤングマガジンコミックス)

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