9月16日、ミツビシは、2022年11月21日から26日にかけて、タイとカンボジアで開催されるAXCRアジアクロスカントリーラリーに挑む“チーム三菱ラリーアート”の参戦体制を発表した。既報のとおり、ミツビシは同チームに対し技術支援を行っていく。
復活した“RALLIART”ブランドを掲げ、東南アジアのタイとカンボジアの2カ国を舞台に行われる過酷なクロスカントリーラリーに参戦するチーム三菱ラリーアート。ダカールラリー2連覇の経験をもつ増岡浩が総監督として参画する同チームは16日、2022年のAXCRに向けて『ミツビシ・トライトン』の3台体制を敷くことをアナウンスし、あわせて同大会での上位入賞を狙う3名のドライバーを明らかにした。
改造クロスカントリー車両に属するT1仕様のトライトンをドライブするのは、リファット・サンガー、チャヤポン・ヨーター、サクチャイ・ハーントラクーンの3名だ。インドネシア・ジャカルタ出身のサンガーは、同国スプリントラリー選手権のチャンピオン。43歳の彼はインドネシアラリー選手権でも2002年から3連覇を飾った実力者だ。
タイ・ウドーンターニー出身のヨーターは1987年生まれの35歳。主要タイトルの獲得経験はないが、数多くのラリー/レースに出場しタイのクロスカントリーラリーやスーパーカーGTCでの優勝経験を有する。
最年長59歳のハーントラクーンは30年以上のレース経験を持ち、1996年のダカールラリーで『ミツビシ・パジェロ』をドライブするなど、ミツビシ車に精通している。AXCRではリファットとチャヤポンをサポートする役目を負う。
「ラリードライバーはひとつひとつ異なるコーナーをいくつも駆け抜けていく。だからこそ重要なのはドライバーの意のままの操縦性と走破性、悪路をものともしない高い耐久性と信頼性、そして的確かつ迅速にナビゲートしてくれる優秀なコドライバーの存在だ」と語るのは、8月末に行われた3日間の耐久テストで初めてトライトンをドライブしたリファット。
彼は、デュアルダンパーの新採用がやエンジンの軽量化、出力特性の見直しなどが行われたテストののち、「僕たちのトライトンは、悪路走破性と耐久性が飛躍的に高められていることを確認できた」と好感触を語った。
■増岡浩総監督「トライトンは順調に仕上がっている」
6月に実施された前回の耐久試験から引き続きテストに参加したチャヤポンは、「ラリーはスピードがすべてではない。ドライバーとクルマとの一体感を極限まで高め、攻めるところと守るところ、緩急をしっかりコントロールしていくことが、勝利を収めるために重要なことだ」とコメント。
今回のテストでは本番を想定したスピードで走行した彼は「操作に対して正確かつ俊敏に反応する素晴らしい仕上がりとなった」と、トライトンに大きな手ごたえを感じている。
チームの総監督を務める増岡は、2022年AXCRに参戦する3名のドライバーについて、「実力あるドライバーを迎えることができ、光栄に思います」と語った。
「リファットはスプリントラリーでの実績は充分ですから、長丁場のクロスカントリーラリーの戦い方をチームとしてマネジメントすれば良いパフォーマンスを発揮してくれるでしょう。チャヤポンはクロスカントリーラリーでの経験も豊富で、乗る度にパフォーマンスが上がっており期待が持てます」
「トライトンも2回の耐久試験を通じて問題点を洗い出し、それらを克服することができました」
「11月のシェイクダウンテストを実施して本番に臨みますが、私たちのトライトンはここまで順調に仕上がっており、ドライバーたちは力強く逞しい走りを披露してくれると思います」
ミツビシ開発部門のエンジニアも帯同し、テクニカルサポートを行う万全の体制でAXCR本番にチーム三菱ラリーアート。タイのタントスポーツが運営する同チームのドライバーラインアップ、およびチーム体制は以下のとおりだ。
■チーム三菱ラリーアート 2022年アジアクロスカントリーラリー参戦体制
総監督 | 増岡浩(三菱自動車) |
チーム代表 | シャユット・ヤンピシット(タイ:タントスポーツ) |
テクニカルディレクター | コーポン・アマータヤクン(タイ:タントスポーツ) |
テクニカルサポート | 田中泰男(三菱自動車:車体) |
テクニカルサポート | 柴山隆(三菱自動車:エンジン) |
ドライバー/コドライバー | リファット・サンガー(インドネシア)/シューポン・シャイワン(タイ) |
ドライバー/コドライバー | チャヤポン・ヨーター(タイ)/ピーラポン・ソムバットウォン(タイ) |
ドライバー/コドライバー | サクチャイ・ハーントラクーン(タイ)/キッティサック・クリンチャン(タイ) |