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新型セレナ発表直前でも現行型が売れまくり!! さすがの実力と次期型に必要な性能

 ファミリーカーとして人気のある、トヨタ「ノア/ヴォクシー」や日産「セレナ」、ホンダ「ステップワゴン」などのミドルクラスミニバン。なかでも、ヴォクシーとセレナの争いは熾烈で、2011年から2013年まではセレナが登録台数で勝っていたが、2014年から2017年まではヴォクシーに軍配が、その後、2018年と2019年はセレナが勝利し、2020年と2021年はヴォクシーが勝利、と、2モデルは、長年にわたって一進一退の攻防を続けている。

 今年2022年は、1月にヴォクシーがフルモデルチェンジをうけているが、9月までの登録台数はセレナが45,382台であるのに対し、ヴォクシーは38,254台と劣勢。半導体をはじめとした部品不足の影響があるため、人気が販売台数に直結しているとは言えない状況だが、セレナはモデル末期であるにもかかわらず、根強い人気があるようだ。

 そんなセレナも、2022年11月下旬に新型が発表されるという情報がある。発表直後に2Lのマイルドハイブリッド仕様が発売し、1.4L+e-POWERは来春発売とのこと。つまり現行型はモデル末期であるにも関わらず売れまくっているというわけ。現行型の魅力を振り返りつつ、ライバルに対し、後発となる次期型セレナに期待したいことを考えてみよう。

文:立花義人、エムスリープロダクション
写真:NISSAN

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ファミリーが欲しい装備が満載の現行セレナ

 初代セレナは1991年に登場。セミキャブオーバーのスタイリングで、イマイチ垢抜けなかったそれまでのミニバンからの脱却に成功し、マルチシートアレンジなど実用面での使い勝手も向上。乗用車感の強いモデルとしてユーザーの選択肢を広げることに成功した。

 2代目は、FFフラットフロア化でさらにパッケージングの効率化を図り、両側スライドドアなどでさらに利便性を向上させ、3代目はモダンなデザインとクラストップレベルの室内空間でファミリーカーとしての地位をしっかりと獲得。続く4代目はワンタッチオートスライドドアやスマートシンプルハイブリッド、アイドリングストップ、エマージェンシーブレーキなど快適性、安全性が大幅に向上した現代的なモデルとなった。

 現行型となる5代目は2016年に登場。クラストップレベルの室内空間を維持しつつ、スタイリッシュなデザインにプロパイロット、ハンズフリーオートスライドドア、デュアルバックドアなど、ファミリーにとって欲しいと思える装備や仕様が満載のモデル。人気カテゴリーであるゆえ、ライバルも強豪ぞろいなのだが、冒頭で触れたように、ここ10年ほどは、ヴォクシーと人気を二分する状況がつづいている。

初代セレナ「キタキツネ」。オーテックが手掛けたモデルで、ファミリーでのレジャーに最適な装備と力強い見た目が特徴だ

セレナ人気の理由その1:派手すぎないデザイン

 ファミリーカーの選択肢となるには、まずはママさんの心を掴む必要があるが、それにはやはり、「見た目」が重要だ。

 セレナは、日産のVモーショングリルを中心に、フローティングルーフやシュプールライン、ブーメランランプシグネチャーなど、全体的に流れを感じるスタイリッシュなデザインが採用されている。

 ミニバン全体では、アルファード/ヴェルファイアの影響で、大迫力のグリル、いわゆるオラオラ顔が人気となり、ライバルのノア/ヴォクシーもその路線をとっている。セレナも2019年のマイナーチェンジで、ハイウェイスターに、ノア/ヴォクシーのような大型のグリルを採用したが、あまりにもクセが強いわけでもなく、かといって個性がないわけでもない。

 ファミリーカーであるゆえ、ここのバランスは意外と難しいと思われるが、ちょうどいいバランスに仕上がっていると思う。インテリアの質感も十分にあり、ユーザーの所有欲をしっかりと満たしてくれる。

 また、初代セレナから設定されているスポーティな仕様の「ハイウェイスター」や、上質で洗練されたリッチな「AUTECH」、モータースポーツのスピリットを感じさせる「NISMO」など、ユーザーの嗜好に合わせたラインアップも魅力的だ。

セレナ人気の理由その2:メカニズムがいい

 セレナは、国内日産において販売を支える重要なモデル。それだけに、現行セレナには日産の最新技術が積極的に投入されている。

 現行モデルデビュー時には、日本の自動車メーカー初の技術となる「プロパイロット」を、真っ先にセレナに搭載したほか、e-POWERも、ノートに続いて2番目に採用。プロパイロット含む先進運転支援システムは、度々の改良で機能向上を果たしている。アダプティブLEDヘッドライトの設定や、踏み間違い衝突防止アシストの全車標準装備化など、ファミリーにとって欲しいと思わせる装備の拡充も十分だ。

燃費の改善とガソリン車の継続、そして質感高い内外装を!!

 気になる次期型セレナについて、期待したいのが、まずは燃費の改善だ。現行セレナe-POWERのWLTCモード燃費は18.0km/Lと、新型ステップワゴンe:HEV(19.6km/L)や新型ノア/ヴォクシーハイブリッド(23.0km/L)に差をつけられている(いずれも2WD)。次期型セレナには、当然e-POWERが搭載されるだろうが、静粛性を高める狙いも含め、現状の1.2L直列3気筒エンジンから、新型エクストレイルに採用した1.5L直列3気筒のVCターボに切り替えるなどの大改良を期待したいところ。

 また、日産車といえば、フルモデルチェンジを機に、e-POWER車のみとなって、ガソリンモデルがなくなってしまうケースがつづいているが、次期型セレナでは、ライバル車と同様に、価格を抑えたガソリン仕様も残してほしいところだ。

 デザインに関しては、ボディにカモフラージュをした最終段階のテストカーが、神奈川県内の一般公道で確認されており、おそらく、ノートやアリアのようなシャープで先進性のあるフロントマスクで登場するのだろう。この新しい日産のデザインは、バランスが取れていて、個人的にはカッコいいと思う。インテリアにも、ノートやアリアで採用した最新型のデュアルディスプレイ「モノリス」を搭載し、質感の高い内装になるものと考えられる。

 先進装備に関しては、ライバルである新型ノア/ヴォクシーが、渋滞走行時のハンズオフも可能となるなど、さらに先へと進んだ技術を備えていることから、このあたりも、次期型セレナに期待したいところだ。

 奇抜なデザインへと走るよりも、これまでセレナブランドが築いてきたデザインを踏襲し、現行型セレナが登場したときのようにしっかり独自性を示し、存在感を主張してほしいと思う。

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 ミニバンには、「家族全員が快適に過ごせる空間」があることが求められる。2列目、3列目、どこに座ってもゆったりと過ごすことができ、開放的で気持ちのいい景色をみることができ、シートの配置やアレンジ、ユーティリティなど、かゆいところに手が届くような細やかな配慮が必要だ。

 歴代セレナはしっかりそれを研究し、モデルチェンジのたびに進化させてきた。ライバル2車種が既に新型へと切り替わり、最後発となったセレナ。それだけに、あらゆる点をしっかり進化させることが必要だ。

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