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アルファードが欲しい…と来店しているお客さんに販売店はどう対応しているのか?

 アルファードのオーダーストップが発表されて、そろそろ半年が経過する。新車は注文できず、良質な中古車もほぼタマ切れ状態。アルファードに乗りたいと願うユーザーは、長期的に苦戦を強いられている状況だ。

 数カ月前には「キャンセル待ちなし」、「展示車販売なし」という厳しい販売店の懐事情をお伝えしてきたが、約2カ月経過した現在、その様子は変わってきたのだろうか。2022年も年の瀬となる今、アルファード販売現場の最新事情をお伝えする。

文/ジョー城ヶ崎、写真/トヨタ、ベストカー編集部

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オーダーカットやキャンセル待ちが発生? ディーラーに動きが出てきた

 2023年に登場するとみられるアルファードの新型モデル。その登場スケジュールに合わせて、現行型のアルファードは早々にオーダーストップされた。

 オーダーストップが出された当時、アルファードの推定納期は1年程度。そのため、オーダーストップから1年後が、新型の登場時期になるのだろうという目算も立てやすかった。しかし、その後も部品不足や円安、資材高騰などの影響があり、オーダー分の生産が順調に消化できているとは言いがたい状況が続いている。

 こうした状況をみて、一部のディーラーでは、6月末ごろまで受け付けられた現行型アルファードのオーダー分すべての生産が、新型発表までに終わらないのではないかという心配の声も聞こえてきた。最悪の場合、オーダーカット(受注取消)が出るのではないかと、戦々恐々としている。

 先日、大混乱を巻き起こしたハリアーのオーダーカット。続いてアルファードもとなれば、販売を担当するディーラーの信用は地に落ちる。余裕を持ったオーダーストップだったからこそ、オーダーカットはないと信じたいが、果たして新型登場の予定日までに、現行型の生産を完了することはできるのだろうか。

 また、各ディーラーでは、アルファードのキャンセル車というのもポツポツ出始めてきた。長すぎる納期、そして新型の影が現実味を帯びてきて、待ち切れずキャンセルをする注文者が少数だが出てきている模様。

 運が良ければ、キャンセル車に巡り会ったり、キャンセル車と入れ替える今の試乗車や展示車の販売が行われたりすることもあるだろう。本気で新車の現行型アルファードが欲しいという人は、年末まではあきらめずにディーラー周辺を動き続けても良いと思う。

アルファードが欲しいというユーザーへの対応策は?

2023年に登場するとみられる新型アルファード(画像はベストカーによる予想CG)

 アルファードのオーダーストップ、そして新型登場予定の情報が広く浸透している昨今だが、まだまだ「新車のアルファードが欲しい」とディーラーに足を運ぶユーザーは多いという。

 こうしたアルファード難民に対して、丁寧に「来年(2023年)新しいモデルが出る」という話を伝え、「しかし今は注文できないから成す術なしです」と、丁重にお断りするしかないのがディーラーの苦しいところ。せっかく来店してくれたお客様を無下に帰すのは、居た堪れないという。

 新型の登場時期を尋ねられるケースも増えてきたというが、メーカーからの正式な発表・発売日が届いていない今、時期を伝えることはできないようだ。筆者も複数のトヨタディーラーへアルファードの登場時期を尋ねてみたが、「来年(2023年)5月」というワードは出てこなかった。

 オーダーストップがいつまで続くのかということも、メーカーからは発表されていないから、「今は買えない」「注文再開もいつになるかわからない」と答えるしかない。営業マンの立場は厳しい。

 頼みの綱でもあった、アルファードのコンプリートモデル(全国100台限定車)の情報も鳴りを潜めてしまい、当初予定されていた11月下旬の案内も、行われるのか微妙な状況だ。

 生産体制が安定しない今、メーカーもディーラーもイレギュラーな対応を迫られ、生きた心地がしないだろう。新型登場よりも、生産の安定化を望む声が、販売現場では非常に多かった。

ディーラーでは中古車確保も一苦労

モデルチェンジ1年前という異例の早さでオーダーストップとなったアルファード

 トヨタ認定中古車として、全国で販売されているアルファードは500台超だ。しかし、3年落ちまでの超高年式車をターゲットにすると、186台と大きく絞られる。

 また、この186台のうち、販売地域を全国へ広げているのはわずか18台しかない。残りの168台は同一都道府県内や自社(在庫ディーラー内)でしか売らないと決めている中古車になっていて、居住地域によっては、購入できるアルファードがほとんどないという状態が常態化している。

 中古車展示場が大きなトヨタディーラーに話を聞いてみたところ、アルファードの中古車は、入ってくる量が極めて少なく、展示場に並べたら即売れていく状態だという。手間のかかる認定中古車サイトへの掲載や、利益の少ない全国販売にしなくとも、自社へ来店するお客様の中で、すぐに買い手がつく。そのため、ネットに載せる必要もあまり感じないようだ。

 良質な個体は残価設定ローンの満了時期にあたり、ディーラーへの車両返却を選んだユーザーのモノがほとんどで、月に2台も買取ができればいい方。自社内で買取から販売までを行いたいので、買取専門店などにクルマが流れないよう、前オーナーに提示する買取額は非常に高いそうだ。そのため、整備を行い、利益をのせた中古車の販売価格が、新車の販売価格を超えることも珍しくないという。

 新車の納期が長く、利益確定ができないディーラーの現状を助けているのが中古車の存在。中古車販売には今最も力が入っており、もちろんアルファードを希望するユーザーへの案内も行っているが、こちらも新車同様、売りたくても売るクルマがないという状態が続いているようだ。

 各メーカーの各モデルで、新車の販売には苦慮するなか、アルファードのように、これほど早くオーダーストップし、長期間に渡って売ることができなくなったクルマは珍しい。

 生産側も販売側も、そしてアルファードを求めるユーザーも頭を抱える状態があと半年近くは続きそうだ。今の苦労を吹き飛ばすような新型のデビュー、そして生産の安定化が早期に実現することを、筆者も切に願っている。

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