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イライラするのは損! 前走車のブレーキランプがひんぱんに光るのはこれが原因かも?

 高速道路でイライラすることのひとつに「前走車が頻繁に光らせるブレーキランプ」がある。今までなら、そんなクルマは初心者やサンデードライバーが運転してるものと相場が決まっていたのだが、近頃は意外な理由でブレーキランプが点灯するのだ。最近のクルマならではのその理由とははたして?

文/藤田竜太、写真/ベストカーWeb編集部、AdobeStock

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■ブレーキを踏んでないのにブレーキランプが光る?

イライラするのは損! 前走車のブレーキランプがひんぱんに光るのはこれが原因かも?
高速道路では車間距離を広めにとり、無駄なブレーキを減らすことで渋滞の発生を防止できる。ところが最近、ブレーキを踏まなくてもブレーキランプが点灯するケースが目立つという(beeboys@AdobeStock)

 高速道路では、前走車との車間距離が詰まり、後続車がブレーキを踏み、それを見た次の後続車もブレーキを踏み……とこうしたブレーキの連鎖が渋滞の原因になることが知られている。

 ゆえに、たいして混んでいるわけでもないのに、ブレーキランプを頻繁に光らせる人は、白い目で見られやすいし、ヘタクソ扱いされやすく、ブレーキランプがうっとうしいので嫌われたりすることも多い。

 そうしたブレーキの無駄踏みを避けるには、車間距離を広めにとるのが有効で、渋滞発生を防ぐには、車間距離を40m以上開き、渋滞吸収走行を心がけることが推奨されている。

 ところが最近、ブレーキを踏まなくてもブレーキランプが点灯するケースがある。

 「ブレーキペダルを踏んだ覚えがないのに、ブレーキランプが頻繁に点灯していたようで、後続車から危険なドライバーだと思われ、パッシングされた」といった相談が、国民生活センターに寄せられ話題となっている。その回答は次の通りだ。

 「車間距離保持システム利用時、車種によっては高速道路での軽微な速度調整の際にも、ブレーキランプを点灯させるものがあります」

■アダプティブ・クルーズ・コントロールがランプを光らせる

イライラするのは損! 前走車のブレーキランプがひんぱんに光るのはこれが原因かも?
ACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)が作動することで自動的にブレーキがかかり、ブレーキランプが点灯するのだ。前走車のブレーキランプに過剰に反応する前に、ACCが作動している可能性を考えたほうが冷静に運転できる(Aleksandr Kondratov@AdobeStock)

 要するに、ACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)が働き、車間距離を一定に保ちながら走る「追従走行」のために自動的にブレーキをかけたことが原因。

 ACCをセットすると、軽微な減速の場合でも、各メーカーが独自に定めたブレーキランプの点灯基準を超えていれば、フットブレーキのシステムが起動してブレーキランプが点灯する。

 ACCでは車間距離の設定を「近め/標準/広め」といった具合に選べるようになっているが、どの設定でどれだけの速度差だと自動的にブレーキが働き車間距離を調整するかというのは、車種ごとに違うので一概には言えない。

 ただ車間距離の設定を広めにしておいた方が、ブレーキランプが点く頻度は減らせるはず。ただし、車間距離が広ければ広いで、後続車からいやな顔をされることもあるので、その加減が難しい……。速度と交通量、そして車線に合わせて“いい感じ”に調整するしかない!?

 肝心なのは、まずこうした事情を知っておくことだ。

 後続のドライバーとしては、頻繁にブレーキランプが点いたり消えたりするのは愉快なことではないだろうが、まず知識としてACCを利用しているクルマはそういうことがありうることを覚えておく。

 前走車のドライバーが嫌がらせをしようとしたわけでも、ヘタクソなわけでもない可能性があることを理解しておこう。

「なんでコイツ、ブレーキばっか踏むんだよ!」と過剰に反応する前に、『ちょっと待てよ。もしかしてACCか?』と考えた方が、精神的にも楽でいられるはずだ。

 さらにいえば、EVのワンペダルドライブを使っている場合や、トラックなどの大型車で排気ブレーキを使ったときにも、ブレーキペダルを踏まなくても、ブレーキランプが点くことがあるので要注意だ。

 回生ブレーキでも「減速度1.3m/s2」を超える場合はブレーキランプの点灯義務があり「減速度0.7m/s2を超え1.3m/s2以下」の場合でも任意の点灯が可能となっている。

■車間距離を取ってブレーキを踏まない運転が基本

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ACCの作動を抑制するためにも、適切な車間距離をとって運転することが重要。安全運転にはもちをん、快適な運転にも車間距離は大事なのだ(naka@AdobeStock)

 MT車を含め、車間距離さえ適切にとっていれば、エンジンブレーキによる速度調整だけで車間距離がコントロールでき、ブレーキランプが点くような減速はしなくてすむはず。エンジンブレーキの効き具合を感じながら、車間距離を逆算して走れるようになるのがひとつの理想だ。

 ただし、多段ATやCVT、欧州車に多いコースティング機能のついているクルマは、高速道路を巡航中にアクセルをオフにしてもエンジンブレーキの効きがかなり弱い。このためフットブレーキに頼って車間距離を調整する機会が増えることはやむを得ない。

 もちろん、流れに乗って一定の速度で走ることができず、目線が近いために前走車のペースに左右され、「前走車が離れたらアクセルを踏んで加速し、追いついたらブレーキを踏む」のを繰り返すのはスキルの問題といえる。

 また2ペダル車で、左足ブレーキ派の人も、ブレーキが不要なところでも無意識のうちに左足がブレーキパダルに触れて、ブレーキランプが点いていることがあるので気をつけてほしい(ブレーキが不要なときは、左足はフットレストにのせておこう)。

 とにかく、ACCなどのシステムに熟知した上で、ブレーキの無駄踏み(ブレーキとブレーキランプの連鎖)を減らしたい。たとえ前走車のブレーキランプがちょくちょく点いたとしても、イライラせずにドライブを楽しみたいものだ。

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