日産京都自動車大学校が2022年の東京オートサロンに向けて完成させたフェアレディZのコンセプトモデル「Z340」。2022年に復活した新型フェアレディZをオマージュしたこのマシンは日産のデザイナーの目にもとまった。
「僕たちの作ったZと並べようよ」。この日産の現役デザイナーのひと言をきっかけに、日産自動車と日産自動車大学校のとてつもないコラボレーションが実現された。
現役のカーデザイナーが整備学校にやってきた、衝撃の様子をお届けしよう。
文/写真:ベストカーWeb編集部
【画像ギャラリー】これ市販してもいいんじゃ!? 学生のセンス光る新型Zオマージュモデルを見よ(8枚)画像ギャラリー■日産がガチで作った新型Zコンセプトだったが……
2022年1月のオートサロン。華々しくお披露目されたのが新型フェアレディZだった。伸びやかなスタイルで往年のZをオマージュしたデザインに日本のみならず世界中のファンが釘付けになった。
標準車でも充分かっこいいのだが、日産はコンセプトカーとして「カスタマイズドプロト」を出展。S30のZ432を彷彿とさせるオレンジにオーバーフェンダー、そしてホワイトレターのタイヤなどまさにツウ好みの1台。
会場では「これは販売するのか」など担当者が質問攻めになっていたことが思い起こされる。そんなカスタマイズドプロトから離れた場所で、もう1台のフェアレディZが展示されていた。
それが日産京都自動車大学校が制作した「Z340」。先代のフェアレディとなるZ34をベースにS30風にカスタマイズしたモデルで、例年の同校のカスタマイズモデルと同等の超ハイクオリティな1台だった(ちゃんと車検取れるのもさすが)。
そんなZ340もグランプリオレンジのカラーを身にまとい、もしかして日産と日産京都自動車大学校は打合せしていたのかというほど似たコンセプトになっていた。
■偶然似てしまった理由はZへの愛
この2台、見れば見るほど細部が似ている。カラーリング、ホワイトレターのタイヤ、4分割のマフラーテールなどどう見ても打合せした感じにあふれている。とはいえ本当に似てしまっただけだという。
「大学校さんのZを見たときに”おおっ”と思わず唸っちゃったんですよね。同じカラーだし、細部も同じ。打合せしたかのようにテイストが似ていて本当に驚きました(笑)」。
そう語るのは日産デザイナーでカスタマイズドプロトをデザインした森田充儀さん。学生たちの声も聞いているとやはりフェアレディZを理解しようとすると必然と伝説的なモデルであるZ432を意識するし、そこにあるのはフェアレディへの世代を問わない憧れがある。
そして2022年7月、日産京都自動車大学校のオープンキャンパスでついに2台のコンセプトカーが出会った。うむー、見れば見るほど似ている……。学生で昨年この「Z340」を担当した卒業生はこう語った。
「日産の本物のコンセプトカーとこうやって横に並べてもらえたことはとても嬉しい。クルマ好き、日産好きの思いが向かったベクトルがこの2台の共通項だと思っています」と語ってくれた。
■「デザインの正解を僕に求めるのは違う」
単にコンセプトカー同士が並ぶだけでも大きなイベントだったのだが、今回は日産からオープンキャンパスに駆け付けたデザイナー森田さんのレクチャーもあった。実は学生たちは2023年のオートサロンへ出展するクルマのヒントを得ようと質問を用意していた。
じっくりと学生の質問に耳を傾ける森田さん。しかしコンセプトカーのデザインについて「正解」を求める学生たちの質問に穏やかに口を開いた。
「デザインというのは答えがたくさんある。誰に向けて、どんなシーンで乗ってほしいのか、それだけで答えはまったく違うものになります。デザインの正解を僕に求めるのは違います」。
まるで美大の1年生前期の授業のような雰囲気(体験したことはないが)だった。日産車のデザインを担うプロの言葉はあまりにも重い。もしかすると「なんで教えてくれないのか」と思った学生がいたかもしれない。
しかし何度も森田さんの言葉を反芻して、自問自答して、彼らが思い描くデザインの1台が生まれるはずだ。その答えは2023年のオートサロンで登場するはずだ。
【画像ギャラリー】これ市販してもいいんじゃ!? 学生のセンス光る新型Zオマージュモデルを見よ(8枚)画像ギャラリー投稿 学生作品ってレベルじゃねー!! 日産現役デザイナーも驚嘆!! 若者センス爆上げの新型Zコンセプトカーが凄い は 自動車情報誌「ベストカー」 に最初に表示されました。