クルマというと、ヘッドランプやドアなどを見ても分かる通り、左右対称=偶数のイメージが強い。しかしながら、数は少なくとも奇数の数々を持つクルマたちも存在する。
そこで、全3回にわたりちょっと違和感のある「奇数なクルマ」について大特集! 今回は「パワートレーン」に関する奇数についてご紹介。直5エンジンやトリプルターボ……などなど、珍しくも超魅力的な奇数のパワートレインの数々をご堪能あれ!!
※本稿は2022年8月のものです
文/ベストカー編集部、写真/ベストカー編集部
初出:『ベストカー』2022年9月26日号
■5気筒エンジンが存在した!?
まずはエンジンの気筒数から。今では3気筒がコンパクトカー、軽自動車では主流になっているので、奇数が主役、と言えなくもないが、5気筒は今も昔も少数派。
なかでもVWボーラなどに搭載されたV5というのは違和感の塊。V型=偶数の概念を覆しているわけだが実は、直5を微妙にオフセットさせたもの。
そのほかホンダ、アウディ、ボルボは直4と直6のいいとこ取りということで5気筒エンジンを搭載していた。
■奇数気筒のエンジンが珍しいのはクルマだけ?
クルマでは特に奇数気筒は1、3、5気筒に限定されるが、航空機用星型エンジンに代表されるように、奇数気筒は珍しくない。
というか星型エンジンは7、9気筒など奇数気筒しか存在しない。14気筒もあるが、これは7気筒×2で奇数配列が基準となっている。
そのほか2輪ではホンダがレース用にV3、V5を開発し、NS400Rなど一部の市販モデルに搭載されていた。
■バルブやターボの数にも奇数アリ!!
バルブ数で燦然と輝くのは5バルブで1989年に三菱がミニカダンガンで初の市販化。
吸入空気量を増やすために吸気バルブを1本追加したわけだが、燃焼解析が進んだ結果、5バルブは効率が悪いことが判明して廃れてしまった。
クルマ界は基本的に数が大きいほうが偉い、という風潮があり、1個より2個、3個とエスカレート。ターボもそうで、BMW、アウディはトリプルターボを市販。まぁ、アウディは2個のターボ+電動コンプレッサーの構成だが。
同じくハイブリッドもホンダはNSX、レジェンドは3モーターハイブリッド!! 両方すでに買えないのは悲しいが、ホンダのチャレンジスピリットを感じさせてくれた。
古いところではフェアレディZ432(日産)。名前の432は、4バルブ、3キャブレター、2カムシャフトを意味するのは有名だが、3つのキャブレターは只者じゃないスペシャル感にあふれている。
■排気系&トランスミッションの奇数は?
お次は排気系。1990年代までは2本出しのデュアルがスポーティの証だったが、その上を行くのが3本出し。
デュアル×2の4本出しよりもカッコいいし、違和感というよりもスパルタンさが倍加される。市販モデルで先鞭をつけたのはフェラーリF40で~す。
本企画はGRカローラ(トヨタ)、新型シビックタイプR(ホンダ)が3本出しのマフラーで登場したことがそもそものきっかけ。
GRカローラは「左右+真ん中」という超スパルタンな配置。一方シビックは旧型と同じように見えるセンター3本出しだが、開発者曰く微妙に違うらしい。たぶん排気効率がアップしているに違いない。
そのほかではLFA(レクサス)は上2本、下1本で逆三角形に配置。侮れないのがミニカダンガン。1989年デビューということでほぼF40と同じ時期に3本出しマフラー(右リアに配置)で登場しているから凄い!!
トランスミッションはポルシェが7速MTを初採用、ATの多段化が進むなか、フェアレディZは9速ATで登場。
ちなみに、現在日本車で購入できる3ATは軽商用車に残るのみで乗用車はゼロ。一方DCTはフリードハイブリッド(ホンダ)が7速DCT、NSX(ホンダ)が9速DCTと奇数なクルマ。
そのほか驚きなのはケンワースW900Lはシフトレバーが3本!! 3本を駆使して20速を変速する!!
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