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「マイナス21秒ロマン」印象的だったスポーツカーのキャッチコピー4選 あなたはいくつ覚えてる?

 カタログやテレビCMなどで使われる、クルマのキャッチコピー。犬のテレビCMが印象的なトヨタ新型「シエンタ」は「いいことできた!」、初代をイメージさせるCMが印象的な新型ステップワゴンでは、「よゆう じゆう for YOU」など、クルマの魅力をひとことで表したキャッチコピーは、インパクトが強く、いつまでも頭に残るものが多い。

 個人的には「いつかは クラウン」という往年の名コピーの韻を踏んだうえで「あなたにとっての新しさ」をアピールする新型クラウンの「DISCOVER YOUR CROWN」は、すばらしいコピーだと思う。

 今回は国産スポーツカーが最も盛り上がっていた1980年代後半から1990年代に絞り、印象的だった名キャッチコピーを振り返ろうと思う。

文:吉川賢一
写真:TOYOTA、NISSAN、HONDA、MAZDA

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性能の高さを直接的にアピールした、日産「スカイラインGT-R」

 80年代後半の国産スポーツカーとなれば、スカイラインGT-Rシリーズははずせない。1989年に登場したR32型スカイラインのキャッチコピーは、「超感覚スカイライン」。先代R31までの四角いデザインから脱し、丸みを帯びたスタイリッシュなデザインへと進化させ、運動性能を重視し、ボディやパワートレイン、サスペンションなども完全に刷新された。GT-Rが16年ぶりに復活したということも話題となったが、GT-R専用のキャッチコピーはなかったようだ。

 続いて、1994年に登場したのがR33型スカイラインGT-Rだ。この代からGT-R専用のキャッチコピーが生まれており、R33型スカイラインGT-Rは「マイナス21秒ロマン」。R33型スカイラインGT-Rは、プロトタイプが、ニュルブルクリンク北コースで先代GT-Rのラップタイム8分20秒」21秒上回る、7分59秒を記録したことが由来となる。また、他のCMのフレーズ、「最新のGT-Rが、最高のGT-Rだ」、「私達の国には、GT-Rがあることを誇りたい」にも、心打たれた若者が多かったのではないだろうか。

 第2世代GT-Rの集大成として、1998年に登場したR34スカイラインGT-Rのキャッチコピーは、「人に翼を」。正確には「そのとき、空気を味方につける。そのとき、私を解き放す。」のフレーズがその前に付いていた。エアロダイナミクスを考慮した大型のリアスポイラーやフロントバンパー形状、アンダーフロアへのパネル追加など、ダウンフォースを稼ぐ設計が存分になされていた。販売期間はたったの3年7カ月、いまや業者向けオークションで、落札価格が5000万円を超える個体も登場するほど、超希少なスポーツカーとしても有名だ。

 ちなみに、2007年に登場した第3世代GT-RのR35型GT-Rのキャッチコピーは、「新次元のマルチパフォーマンス・スーパーカー」であった。

R33スカイラインGT-R。プロトタイプが、ニュル北コースで先代のタイムを21秒上回ったことから、キャッチコピーは「マイナス21秒ロマン」

あの名車をイメージさせた、トヨタ「スープラ」

 1986年に登場したA70スープラ。登場当初のキャッチコピーは「TOYOTA 3000GT」だった。これは、トヨタの名車「トヨタ2000GT(1967年~1970年)」をイメージしたもので、テレビCMの中では、「あのとき私が見た夢を、今度は君が見るだろう。」に続くフレーズとなる。かつて親世代が憧れた2000GTから20年後、その子供たちが夢見るクルマになっていく、ということなのだろう。さらに、ルーフが外せる「エアロトップ」モデルの発表時には、「夢の続きは、光と風を連れてきた」とも続けていた。

 続いて、1993年に登場したA80スープラのキャッチコピーは「THE SPORTS OF TOYOTA」。スカイラインGT-RやマツダRX-7など、強烈な個性を持った当時のライバルスポーツカーに対抗するため、「これがトヨタのスポーツカーだ」とアピールしたかったのだろう。6速MTや3.0Lツインターボを搭載、特徴的な大型リアウイングを装着し、丸みを帯びたスポーツカーフォルムでライバル車と競った姿は、いまなお印象深い。生産は2002年に終了となったが、映画「ワイルドスピード」に登場したことで人気が再燃、いまだに話題に上がる名車となった。

 ちなみに、A80の生産終了から16年経った2019年に復活したスープラのキャッチコピーは、「Supra is back」と、そのままだった。

「夢のようなクルマができた」、ホンダ初代「NSX」

 1990年に登場した初代NSXのキャッチコピーは「Our dreams come true.」。テレビCMでは、NSXがサーキットを走るカットをわずかに見せながら、エンジンサウンドを聞かせる、という流れで、「緊張ではない。開放するスポーツだ。」のフレーズもしびれるものがあった。なおNSXとは、Nがニュー、Sがスポーツ、Xが未知の世界を指しており、「New SportsCar X」の略である。

 V6エンジンを運転席後方にレイアウトし後輪を駆動するMRを採用、世界初のオールアルミモノコックボディとしたクルマの構成だけでなく、最終テストドライバーに、中嶋悟氏やアイルトン・セナといったF1ドライバーがステアリングを握るなど、ホンダのチャレンジ精神が存分に投入されていた初代NSXは、まさに夢のようなクルマであった。2001年には特徴だったヘッドライトを固定式に変更するなど、幾度かのマイナーチェンジを経て、2006年1月末までの16年間、一度もフルモデルチェンジされることなく製造され続けた。

「楽しさ」をアピールするものが多かった、マツダ「RX-7」

 もう一台、90年代の国産スポーツカーを盛り上げたのがRX-7だ。1985年10月に登場したRX-7(FC3S)のキャッチコピーは、「NEW ADULT SPORTS」。オーケストラのBGMにのせて、「もしかしたら、まだあなたの知らない楽しみが、ここにある」、「スポーツカーを操る、奥深き喜びをあなたに。」というメッセージも加わり、大人のスポーツカーとして売り出していた。また、大きめの入力荷重が加わったときのみにリアタイヤのトー角が可変するトーコントロールハブを採用したことから、当時流行だった後輪操舵にあやかって、マツダは「四輪操舵感覚」とCMで謡っていたのも印象的だった。

 続く、1991年にデビューしたアンフィニRX-7(FD3S)のキャッチコピーは「ザ・スポーツカー」。こちらもオーケストラ風のBGMにのせて、真っ赤なボディのFDが颯爽と走り去るCMのシーンは実に印象的で、2000年以降に登場した後期型のテレビCMでは、「ザ・ロータリースポーツ」がキャッチフレーズで、サブメッセージは「大人だって、遊びがなくっちゃ。」と、「楽しさ」をアピールするフレーズが多かったようだ。

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 自社のスポーツカーを誇るメッセージや、どんな風にスポーツカーを乗って欲しいかというお客様へのメッセージ、そして他社のスポーツカーへの牽制が込められたキャッチコピーなど、こうして振り返ると当時の様子が思い起こされ、非常に面白い。90年代のスポーツカーのキャッチコピーなど、また機会があればご紹介していきたい。

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