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3ヵ月近くにわたって、自民党と世界平和統一家庭連合(旧統一教会)とのかかわりを追及しているTBS『報道特集』がSNSで話題を呼んでいる。

同番組は15日、「検証10弾・細田議長と教団の関係」とのテーマで、細田衆議院議長と旧統一教会との関係を追及していた。

村瀬キャスター「教団関係者の影が…」

ネット上で問題視されているのは、特集内の「デジタル献花に信者の影響?」と題した放送だ。10月1日から同番組のキャスターに就任した村瀬健介氏が「こんなところにも影響を及ぼそうとしていた教団関係者の影がありました」と述べ、取材VTRがスタートした。

「報道特集」でまたも物議を醸すTBS(mizoula /iStock)

VTRは次のようなナレーションで始まる。

安倍元総理への弔意を示すために行われたデジタル献花プロジェクト。20代と30代の経営者らが立ち上げたとされていて、先月末の締め切りまでに52万人あまりが献花した。

VTRでは、「デジタル献花プロジェクトは祝福2世が発案・実行したものだ」という趣旨のメールを、旧統一教会のグループメールを通して受け取った信者の声とともに紹介していた。「祝福2世」とは、旧統一教会の信者同士が合同結婚式で夫婦となり、生まれた子どもの世代を指す。

メールの内容はこうだ。

古参信者A氏によりますと、今回行われた「安倍元総理へのデジタル献花プロジェクト」は世界日報のB氏ら20代、30代の二世によって立ち上げ実行されたものだったそうです。

このメールをもとに「デジタル献花に旧統一教会が関係していたのか?」と取材は進められていく。村瀬キャスターが、メールの中でデジタル献花を立ち上げたと紹介された人物(B氏)を直撃したが、B氏はデジタル献花プロジェクトと自身のかかわりを否定していた。

TBS「報道特集」より

さらに番組では、古参信者A氏にも取材する。A氏はB氏から「デジタル献花の活動を頑張っている」との報告を受け、ほかの信者にも献花をするように次のようなメールを送ったことを認めた。

2世が始めた安倍元首相のデジタル献花プロジェクト、小生も献花しましたが、再度のメールです。1人でも多くの人に知らせていただけたら幸いです。

A氏は実際に「2世が始めた」とメールに書いたが、「2世=祝福2世」ではないという。A氏は、昭和世代の自分から見たら20代・30代は2世で、旧統一教会の人であるかどうかは関係ないと苦しい言い訳をしていた。

報道特集はさらに、「信者がデジタル献花にかかわっていたのか」を旧統一教会にも取材している。旧統一教会側の見解は「混乱をきたすような言動は今後慎むよう、そのような信者を見かけましたら注意を促したいと思います」というものだった。

取材内容を偏りなく見れば、旧統一教会の古参信者が、ついつい見栄をはってしまい事実ではないメールを出した可能性はないのだろうか。地方には、真偽不明の地元の戦国武将の末裔がゴロゴロいるが、その類のものではないか。要は与太話だ。

信者いる?いない?あえて結論付けず

たまったものではないのは、「安倍元総理デジタル献花プロジェクト」の本当のメンバーだ。番組では、「プロジェクトメンバーの中に旧統一教会の信者はいない」というメンバーの声が紹介されていた。しかし、番組ではそう結論付けられていなかった。メンバーの中に旧統一教会の信者がいるともいないとも、あえて結論付けずに話題は次に移った

これを受け、番組が放送された翌日、「安倍元総理デジタル献花プロジェクト」のツイッターアカウントは次のようなメッセージを出した。

昨日 報道特集が「デジタル献花に信者が影響?」と題して、旧統一教会の方々にデジタル献花との関係を問う取材をしていましたが、彼らは実行委員会のメンバーで無いことを断言します。「立案者が信者」も事実ではありません。このような発信をあえてしないといけないことが残念です。

ツイートから1日あまりで3.4万件の「いいね」が付けられ、1.2万件リツイートされているが、大半が「安倍元総理デジタル献花プロジェクト」に同情的だった。

TBSは献花した52万人に謝罪せよ。

TBSを名誉毀損で訴えていい案件。またもや報道による嘘、捏造、印象操作の類。

題名や放送のキリトリで更なるデマが拡散中、TBSは無責任にもほどがある。

匿名の証言者の言葉を重用し、無関係だとする当事者の言葉は無視。関係性が確証されてないのに、さも関係があるかのように匂わせて終了していて、えも言われぬ気持ち悪さだけが残った

報道特集は「デジタル献花に信者の影響?」と題して報じるならせめて、「番組が取材した限りでは、プロジェクトのメンバーの中に旧統一教会の信者はいなかった」など、放送の中で付け加えるべきではなかったか。