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 2022年秋、マツダはロードスターとCX-8に一部改良&特別仕様車を加えた。さらにロードスターには新色を追加、CX-8には特別仕様車を含む2つの新グレードを設定した。

 自分には似合わないと思っていた色の秋物のコートを見つけて、袖をとおしてみたら意外と良かった……というような、今までになかったシックなカラーを設定したロードスターと、2つの異なる雰囲気をまとったグレードを用意したCX-8、マツダ2022秋の改良を伊藤梓氏がレポートする。

文/伊藤 梓、写真/塩川雅人

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■ロードスターに意外とマッチするアーシーカラー

一部改良と同時に新色が追加されたマツダ ロードスター。彩度をおさえたシックな色合いの中に、足元のブレンボのレッドが差し色になって非常にスタイリッシュだ。トレンチコートに赤いヒールの女性を連想する

 現行モデルのND型ロードスターが発売されてから約7年。何度も商品改良が行われてきたが、デザインに大きな手は加えられていない。外装の変化といえば、新しいボディカラーや幌の追加だ。

 今回の商品改良も同様の追加になるが、その新しいカラーリングは、これまでのロードスターのイメージをガラッと変える驚きのチョイスだった!

 これまで、ロードスターのボディカラーの中で、色だけでパッと目を引くのは、マツダを象徴する「ソウルレッドクリスタルメタリック」だったと思う。他にも綺麗な色はあっても、どれもさりげないカラーリングだったので、落ち着いた印象のものが多かった。

 そのラインナップに、CX-5の“フィールドジャーニー”から始まったカラーで、アウトドアを連想させるような「ジルコンサンドメタリック」が追加された。色としては派手ではないのに、ロードスターというスポーツカーに塗ることによって、新たな個性が際立っている。

 最初は「流麗でスポーティなロードスターのデザインに、カーキ色でタフな印象のカラーリングは合うのかな?」と思っていたが、実物を見ると、「新しいロードスターの魅力発見!」と驚くくらい、よく似合っていた。

 現代のファッションで言えば、彩度が低くグレイッシュな“くすみカラー”に分類されるような色合いで、ロードスターの場合は、アクティブな印象を与えるだけではなく、トレンドカラーをさりげなく取り入れておしゃれに見えるところが◎。

 カラーデザイナーの狩野梓さんに話を伺うと、ロードスターの新たな魅力を引き出し、より多くの人にロードスターを楽しんでもらうフックになればという狙いがあるという。

 ソフトトップでいうと、おすすめはRSグレードだそう。幌のブラックとボディのジルコンサンドメタリック、そして足元には差し色のブレンボのレッドが入ることで、より全体の印象が引き締まる。

 また、ハードトップのRFでジルコンサンドメタリックを選ぶと、本来ならボディ同色になるサイドミラーカバーやルーフトップがブラックになるそうだ。ジルコンサンドメタリックをボディ全体に塗ると少し重たいボテッとした印象になるため、ソフトトップと同様のカラーリングを模しているという。

 オーナーの好みでマットブラックのデカールなどを大胆に貼ってもかっこいいとのこと。遊び心次第でまだまだ化けそうなカラーリングだ。

 さらに、もうひとつ追加されたのは、特別仕様車の「ブラウントップ」。ソフトトップモデルに、ブラウンの幌とRFにも設定のあるテラコッタの内装を組み合わせ、足元には高輝度塗装の16インチアルミホイールを装着している。

 これまでもブラウンの幌に明るいタンカラーの内装を組み合わせた「キャメルトップ」という特別仕様車があったが、それと比較すると、インテリアがより深い色のテラコッタになっているのが特徴だ。インテリアもそれに合わせて、テラコッタのステッチが施されているところもポイント。

 今回の展示車両のボディカラーはプラチナクォーツメタリックだったが、それがまたブラウン系の幌と内装とよく似合っていた。個人的には、「キャメルトップ」のインテリアのタンカラーも素敵だと思ったが、テラコッタとの組み合わせの方が、どんなボディカラーでも大人っぽく乗れそうだと感じた。

■スポーティー&高級感!! 2つのグレードを追加したCX-8

同じく一部改良をうけたマツダ CX-8。「スポーツアピアランス」と特別仕様車の「グランドジャーニー」の2つのグレードが追加された

 また、3列シートのSUVであるCX-8にも商品改良が加えられたので紹介しよう。

 全体的なデザインは、兄弟車であるCX-5と統一感のあるものになった。フロントバンパーは、CX-5同様になり、リアは新たにCX-8独自のデザインに変更され、サイズは変わっていないが、より迫力のあるどっしりとした印象になった。

 そして、グレードが見直され、新たに「スポーツアピアランス」と特別仕様車の「グランドジャーニー」が追加されている。

 スポーツアピアランスは、各所にグロスブラックの塗装を施すことで、名前の通りスポーティな印象が強められている。

 CX-5には「フィールドジャーニー」というアクティブな印象の特別仕様車があるが、CX-8の「グランドジャーニー」は、それよりも上質なデザインになっていて、キャンプというよりもグランピングに行くような高級感がある。

 今回は撮影のみで試乗はできなかったが、スプリングを変更したり、ダンパーのセッティングを調整することで、ピッチ方向の揺れを少なくし、乗り心地はさらに向上しているという。また、アクセル操作に対してのレスポンスもさらにドライバーの感覚に合うようにリニアに進化している。

 徐々により良く進化しているCX-8だが、開発当初から一貫して守っているものがある。それは、安全性能だ。SUVで3列シートという特殊なパッケージのため、特に3列目の衝突安全性能については、法規を満たすだけではなく、マツダ独自の基準を設けて開発しているそうだ。

 国内法規では50km/hでのフルラップ衝突、US法規では80km/hでの70%オフセット衝突で、燃料が漏れないことが基準になる。

 マツダでは、80km/hでの70%オフセット衝突で燃料が漏れないだけではなく、3列目の生存空間を確保する、そして、非衝突側の後席ドアが人力で開くことという項目をしっかりクリアしている。

 法規を基準に考えるのではなく、リアルワールドで起こりうる危険を想定して設計されているので、実際のユーザーがより安心して使えるモデルになっている。

 また、衝突テストの結果、上記の基準を満たしているのはもちろん、衝突側の後席ドアも開けることができたという。CX-8は家族で使う人も多く、安全性は特に関心が高いところ。先進の安全装備だけではなく、元々のクルマ作りからしっかりと考えられているところはマツダらしいと感じた。

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