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結局、プリンに手を出したあけみを食堂に残して、世之介は二階のベランダに出た。 そろそろ五月も終わり、さっき帰宅する車の窓を開けた時、懐かしい夏の夜の匂いがしたのである。 ベランダに出ると、世之介は背伸びした。深呼吸してみるが、夕方に嗅いだ夏の夜の匂いはしない。 すぐそこにある一歩の…