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タイムリミットは3時間!! 盗まれたランボルギーニを追うのは廃車寸前のヒョンデ ステラ!! 映画「ステラ SEOUL MISSION」

 今回は2022年11月11日から絶賛公開中の映画『ステラ SEOUL MISSION』をご紹介しよう。タイトルのステラは、1983~1992年まで生産されたヒョンデのセダンのことで、主人公の愛車として活躍する。

 劇中ではそんなステラを主軸にランボルギーニやレクサス、マセラッティなど多くのクルマが登場し、カーチェイスなど見所も多い。今勢いのあるある韓国エンターテインメント映画をご紹介しよう。

文/渡辺麻紀
写真/(C) 2022 Daydream Entertainment & CJ ENM All Rights Reserved.

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■父が遺したヒョンデ ステラでウラカンを追う!!

主人公ヨンベが父の遺したヒョンデ ステラで疾走(?)する!

 『パラサイト 半地下の家族』(2019)がアジア系では初のアカデミー賞作品賞や監督賞に輝き、世界中から熱い視線を浴びている韓国映画。

 ドラマでも『イカゲーム』(2021)がインターナショナル規模で大きなブームとなり、今年のエミー賞ドラマ部門では作品賞・監督賞を始め6部門で受賞と言う、こちらもアジア系で初の快挙を成し遂げた。

 日本でも『愛の不時着』(2019)等が配信され社会現象にまでなり、韓国エンタメの“沼”にハマる人が続出している。

 そんな熱すぎる韓流ブームのなか、公開されたのが韓国映画『ステラ SEOUL MISSION』。韓国で大ヒットしたというアクション・コメディだ。

 タイトルの「ステラ」は、韓国の国産車、1980年代に人気を博したヒョンデ ステラのこと。自動車金融業界で働く主人公ヨンベが、輸送船に届けるはずのスーパーカーを納品を頼んだ幼馴染に盗まれてしまい、彼を追いかけるために走らせる車がステラなのだ。

 埃をかぶったオンボロのステラは、亡くなったばかりの父親のもの。かつてタクシー運転手をしていたときに乗っていた車である。ヨンベは父と確執があり、その車に乗るのさえためらいがあったが、タイムリミットは3時間。仕方なくステラを走らせる。

 整備工からは廃車を勧められるくらいのオンボロぶり。最高速度も50km/hくらしか出せず、ほかの車に「歩いたほうが早い」などとヤジられる始末。窓は手動で、すぐにハンドルが取れてしまい、運転席側ドアの開閉も出来なくなる。

 走っていると突然、カーラジオが鳴り始めたり、熱くなったエンジンで何と目玉焼きを作るというベタな描写まで。町角に停めていると女子高生が珍しがってツーショットの記念撮影するほどだ。にもかかわらず、やっぱり高級車だったということなのか、カーナビもついていて、走行中に突然、喋り出したりする。

■ステラの原動力は「家族愛」!?

多くの高級車が登場する今作。筆頭はやはりロッソマーズレッドのランボルギーニ ウラカン

 そんなステラが追いかける幼馴染が盗んだ車は、ロッソマーズレッドのスーパーカー、ランボルギーニ ウラカン。何でもお値段は3億ウォンというから、日本円で3000万円ほどだろうか。キズひとつなくピッカピカに磨かれていて、ステラとは文字通り雲泥の差、天国と地獄ほどの落差がある。

 言い忘れていたが、本作の自動車金融会社の車庫にはベンツやBMW、ポルシェ等の高級車がズラリ。おそらくローンを返せなくなった人たちの車で、それを東南アジアに売りさばいて稼いでいるようだ。だからなのか、社長の車はベンツやレクサス、ヨンベが最初に乗っている車もアウディだったりする。

 さすがにステラとランボルギーニのカーチェイスというのはないのだが、ステラvsレクサスは本作の見どころアクションのひとつ。

 山道を舞台に、幼馴染が運転するヒョンデのキャリアカー(最初はランボルギーニを乗せていた)を、ステラを走らせるヨンベが追いかけ、そのヨンベを社長チームが乗ったレクサスが追いかける。

 ここで勝つのは普通ならレクサスだろうが、今回はステラ。レクサスはエンジンがかからずすぐにリタイヤという情けなさ。社長チームには「高級車のくせに!」「国産車に負けてるよ!」と悪態をつかれる始末だ。

 オンボロにもかかわらず、なぜかトンでもなく強いステラなのだが、そこにはいかにも韓国映画らしい「家族」を巡るエピソードが用意されている。おそらく、多くの人がそこにホロリとしてしまい、大ヒットしたのだろう。

 ちなみにステラはヒョンデが1983年から1992年まで製作していたセダン。それまでライセンス生産していたイギリスフォードによるフォード コーティナの後継車になる。エンジンとトランスミッションは三菱自動車、シャシーはコーティナのマークV。

 デザインはイタルデザイン時代のジョルジュ・ジウジアーロが手掛けている。1983年から1992年まで430万台が生産されたという。

 ということはつまり、メイド・イン・コリアにこだわった気合の入った車だったわけで、本作でも少年時代の主人公が、父が一大決心して購入したこの車に大喜びするエピソードがある。その名の通り、家族のステラ=星のような存在だったのだ。

 撮影で使われているステラは1987年製。1988年に開催されたソウルオリンピックの公式自動車に指定されたモデルだという。

 スタッフは韓国各地の中古車センターを捜し回り、やっと2台のステラを入手。劇中で高級車を打ち負かす頼もしいステラだが、実際にも素晴らしい走りをみせてスタッフ&キャストを驚かせたという。

●解説●

 自動車金融業界で働くヨンベは、社長にスーパーカーを任されるが、あろうことか借金に苦しむ幼馴染に持ち去られてしまう。そんなとき父親が亡くなったという連絡を受け帰省するヨンベだったが、彼を追いかけて社長たちがやってくる。

 タイムリミットは3時間。その間にスーパーカーを取り返さなくてはいけないにもかかわらず、足になりそうなのは父の遺した廃車寸前のステラだけだった。

 監督は『あの日、兄貴が灯した光』(2017)等のクォン・スギョン。脚本は、日本でもヒットした『エクストリーム・ジョブ』で注目されたぺ・セヨン。主人公のヨンベには『応答せよ1994』(2013)等で人気の高いソン・ホジュン。

 社長役には『イカゲーム』(2021)、マ・ドンソク主演の『犯罪都市』(2018)等で悪役を演じているホ・ソンテ。

 監督のクォン・スギョンは、ステラについて「車が大好きだった幼少期。お金持ちの友人の父親がステラを持っていて、とても憧れていた」。そして、本作撮影のために『ワイルド・スピード』シリ―ズ(2001~)や、アカデミー作品賞を獲得したロードムービー『グリーンブック』(2018)等を参考にしたという。

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『ステラ SEOUL MISSION』
2022年11月11日(金)シネマート新宿ほか全国公開
監督:クォン・スギョン『あの日、兄貴が灯した光』 脚本:ペ・セヨン『エクストリーム・ジョブ』
出演:ソン・ホジュン「応答せよ1994」、イ・ギュヒョン「刑務所のルールブック」、ホ・ソンテ「イカゲーム」
2022/韓国/韓国語/カラー/98分 映倫:G 英題:Stellar: A Magical Ride 配給ファインフィルムズ
(C) 2022 Daydream Entertainment & CJ ENM All Rights Reserved.

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