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期待感が高かったのに売れなかった数奇な運命を辿ったクルマたち

 大型新人と言われながら活躍できなかった選手が山のようにいるプロ野球をはじめとするスポーツの世界。それと同様に、クルマの世界でもデビュー前やデビュー直後は評価が高かったのにもかかわらず、その後はパッとせず尻つぼみ……というモデルは多数存在する。

 ここでは、今でこそ名車というべき個性溢れるモデルながら、現役当時はパッとしなかった数奇の運命を辿った4台を紹介しよう。

文/FK、写真/ホンダ、三菱自動車、FavCars.com

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平均点は高かったもののすべてが中途半端だったアルテッツァ

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4輪で大地をしっかりとつかむような佇まいとショートオーバーハングシルエットでスポーティ感を高めたアルテッツァ。写真はRS200

 当時、日本で途絶えていたFRのスポーツセダンとして1998年10月に登場したアルテッツァ。

 プログレのプラットフォームをベースに110mmのショートホイールベース化とフロント20mm&リア25mmのワイドトレッド化を行ったうえで、エンジンのフロントミッドシップ搭載や重量配分の適正化によって軽快なハンドリングを実現した一台として記憶に残っている人も多いだろう。

 エンジンはヤマハのシリンダーヘッドを採用した200psの2リッター直4 DOHC16バルブ(3S-GE型)と160psの2リッター直6 DOHC24バルブ(1G-FE型)の2種類。トランスミッションも4気筒車には6MTの他に、ステアリング上のスイッチでマニュアル変速が可能なステアマチック付きの5ATを設定(後に6気筒車にも6MTを追加)。

 コンパクトなFRモデルということから、発売当時はAE86の再来と騒がれたアルテッツァの評価は高く、第19回 1998~1999年 日本カー・オブ・ザ・イヤーも受賞。生産台数も約8年間で11万台超と恥ずべき数字ではないものの、今なお不人気車のイメージが払しょくできない一代限りのスポーツセダンは、どっちつかずのコンセプトが仇になった!?

デザインか? それとも運動性能か? MR-Sに足りなかったのはナニ?

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MR-Sのスタイリッシュなエクステリアは、空力解析や風洞実験などをもとに最適なフォルムを模索。フェアリングやアンダーカバーを設置するなど、徹底した空力性能向上も図られている

 国内ではMidship Runabout-Sportsのネーミングを与えられた、MR2の3代目に相当するMR-Sは1999年10月に登場。

 車重は1トンを下回る軽量化が行われ、パワーよりも軽快なハンドリングを優先して開発が行われた結果、そのコンセプトどおりロングホイールベース&ショートオーバーハングと軽量・高剛性を融合した新設計のオープン専用ボディに140psを発生する直列4気筒DOHC16バルブ1.8リッターVVT‐iエンジンの組み合わせは、ハイレベルな操縦性と走行安定性を実現。

 ステアリングシステムも電動ポンプの油圧でアシストする小型軽量のEHPS(エレクトロ・ハイドロリック・パワーステアリング)を採用し、車速感応制御を高精度に行うことで低速から高速まで優れた操舵フィーリングを提供した。

 2000年8月には、クラッチ操作を行わずにシフトレバー(ステアリングシフトスイッチ)を操作することで連続的なシフト操作が可能な日本初のシーケンシャルトランスミッション搭載車が追加され、大きな話題となった。しかし……人気も販売もいまひとつで2007年7月に販売を終了。賛否両論あった個性的なデザインも今となっては懐かしい。

自動運転レベル3技術で時代を先取りする伝説的を残したレジェンド

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数多くのセンサー類を目立たないように内蔵し、自動運行装置搭載車であることをさりげなく主張しながらもフラッグシップセダンとしての品位と風格が高められたレジェンド

 道を使う誰もが事故に遭わない社会の実現を目指すべく、“Safety for Everyone”のスローガンのもとに安全技術の研究・開発を世界に先駆けて取り組んできたホンダが、2021年3月に発売した新型レジェンド。

 その話題の中心となったのは、Honda SENSING Eliteの搭載によって実現した自動運行装置=トラフィックジャムパイロット(渋滞運転機能)だった。

 これは、ホンダが国土交通省から自動運行装置として型式指定を取得した自動運転レベル3に適合する先進技術で、高速道路走行中に渋滞が発生すると一定の条件下でドライバーに代わってシステムが周辺を監視しながらアクセル・ブレーキ・ステアリングを制御して円滑な運転操作を支援してくれるという優れもの。

 約1000万通りにも及ぶシミュレーションとテスト車両による高速道路約130万km走行の実証実験によって実現した高い安全性と信頼性を確保したシステムに、ホンダのチャレンジングスピリットを感じずにはいられなかったが、残念ながらレジェンドは新型の発売からわずか8カ月後の2022年1月に販売終了となり、文字通りレジェンドとなってしまった……。

i-MiEVは三菱の技術を知らしめた世界初の“量産型電気自動車”だったが……

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i-MiEVは優れた応答性と低速から高いトルクを発生する電気モーターの特性を活かしたレスポンスの良い力強い走りを実現

 2009年7月に市場投入されたi-MiEVは、電気自動車に対する長年の研究開発から得られたノウハウと高度な車両統合制御技術のMiEV Operating Systemを導入した電気自動車として期待を集めた一台だった。

 1回の充電で160kmの走行距離を実現(10・15モード)して日常ユースのニーズに応えたi-MiEVは静粛性と快適な走りに加え、小型・軽量・高効率の永久磁石式同期型モーターの搭載で発進時から最大トルクを発生し、軽快かつトルクフルな走りも披露。

 また、コンパクトな車体でありながら床下に大容量の駆動用リチウムイオンバッテリーを配置したこと、高出力&高効率のモーターをはじめとするパワーユニットをラゲッジルーム下に搭載したこと、さらにはリアミドシップレイアウトならではのロングホイールベースとの相乗効果で高い居住性も確保されていたが……発売当時のメーカー希望小売価格が438万円ときわめて高価だったことから価格面で苦戦を強いられることとなり、2021年3月末に生産終了に。

 しかし、電気自動車の先鞭をつけたi-MiEVのDNAは、2022年6月に発売されたekクロスEVへ受け継がれている。

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